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Kendrick Lamar「The Blacker The Berry 」/「俺は2015年最大の偽善者だ」と彼は言った

 まだ自分の中ではちゃんと咀嚼できていないのだけれど、それでも書いておこう。 

ケンドリック・ラマーの新曲「ザ・ブラッカー・ザ・ベリー」。突如配信されて世界中を震撼させている新作『To Pimp a Butterfly』に収録されている。

タイトルは2PACの「Keep Ya Heads Up」のパンチライン「the blacker the berry, the sweeter the juice」から。曲の中ではそれが実際にサンプリングされている。

この曲がYouTubeの公開されたのは、グラミー賞の翌日だった。そのグラミー賞授賞式のパフォーマンスで「ハッピー」を歌ったファレル・ウィリアムスは、曲中に「Hands up, don't shoot」のジェスチャーを示した。

2014年8月9日にアメリカ合衆国ミズーリ州ファーガソンにおいて、18歳の黒人青年マイケル・ブラウンが白人警察官によって射殺された。11月、警官は不起訴処分となった。

「#BlackLivesMatter」というハッシュタグは、2014年を象徴する言葉となった。(http://id.fnshr.info/2015/01/31/blacklivesmatter/)

2015年1月には、映画『セルマ』が全米で公開された。キング牧師(マーティン・ルーサー・キング・ジュニア)を中心に、1965年の公民権運動を描いた映画だ。コモンとジョン・レジェンドが歌う主題歌「Glory」は、第87回アカデミー賞で歌曲賞を受賞した。

授賞式のパフォーマンスでは、アラバマ州セルマのエドモンド・ペタス橋を復元したセットが組まれた。1965年、黒人たちと警察官の衝突で多くの血が流された場所だ。

ジョン・レジェンドは授賞式で「今もなお、正義への闘いは続いているのです」と語った。「1850年に奴隷だった黒人の数よりも、現在、矯正管理下にある黒人の数の方が多いのです」とスピーチした。

そして3月7日。1965年3月7日の「セルマ大行進」からちょうど50年経った節目の日に、オバマ大統領がそのペタス橋を訪れ「行進はまだ終わっていない」とスピーチした。

http://www.afpbb.com/articles/-/3041837

そんな状況のなか、ケンドリック・ラマーは「I'm the biggest hypocrite of 2015」とラップを始める。直訳するならば「俺は2015年最大の偽善者だ」と。

リリックはここで読める。

http://genius.com/Kendrick-lamar-the-blacker-the-berry-lyrics

気になって調べてみたら、こういう解釈のブログ記事も見つかった。

http://ameblo.jp/vegashokuda/entry-11988226342.html

2015年のアメリカで、アフリカン・アメリカンとして暮らすこと。そのシビアな現実が見て取れる。(21/100)

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