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BiSHとBMTH×BABYMETALと2020年のガバ/ロッテルダム・テクノ

BiSHの新曲「STORY OF DUTY」がすげえ良かったです。

何がいいって、まさかこの2020年にガバ/ロッテルダム・テクノを繰り出してきた……?という。

デビュー当初からずっと追ってきてるグループだし、最近はずいぶんメジャーでの引き合いも多いし、特に『アメトーーク!』の「BiSH大好き芸人」あたりからは芸能人のファンも増えてコマーシャルな存在になってきたところで、かつ曲のスタイルも定着してきたところでの、これ。思わず作曲者のクレジット調べちゃいました。松隈ケンタさんだった。さすが。

ガバとは何か。いちおうWikipediaにはこんな感じで解説あります。

ガバ(GabberまたはGabba)は、音楽の一ジャンル。ロッテルダムテクノ (Rotterdam techno) とも呼ばれ、ハードコアテクノの一つに分類される。特徴の一つに曲のBPMの速さが挙げられる。140以上の高速BPMの曲も多く、なかには300近いBPMの曲も存在する。全てにおいて非常に破壊的な特徴を持つ。そのひとつとして、キックドラムの音にディストーションをかけた「ガバキック」を使用することが挙げられる。

まあ、基本的にはものすごく、ものすごく頭の悪い音楽ジャンルだと思います。たいてい速いテンポでスピーカーが割れるようなキックの音がドゥンドゥン言ってる。

だいたいこんな感じです。

で、基本的にはガバとかロッテルダム・テクノって90年代で一回終わったジャンルだと思ってたんですよね。

なんでこんな2020年代に?と思ってたら、ここに来てまさかの符号があった。


というのも、ブリング・ミー・ザ・ホライズンが新作でまさにガバ/ロッテルダム・テクノ路線の曲を出してきたのです。それがアルバム『POST HUMAN: SURVIVAL HORROR』の「Itch For The Cure (When Will We Be Free?)」〜「Kingslayer  feat. BABYMETAL」。これがめちゃめちゃ良いのですよ。

最初は「ついにブリング・ミー・ザ・ホライズンとベビメタがコラボかぁ!」と話題性から受け止めてたんだけど、聴いてるうちにハマってしまった。

ブリング・ミー・ザ・ホライズンはテクニカルなバンドだしメタルにいろんな要素を融合させて新しい音楽性を開拓してるから、こっちは”頭が悪い”感じはあんまりないんですけど、それでも鳴ってるビートはまさに90年代のハードコアテクノ直系。「Itch For The Cure (When Will We Be Free?)」と「Kingslayer」の2曲は連作のような扱いになっていて、「Kingslayer」は特にイントロで鳴ってるレイヴシンセのフレーズがキーポイントになってる。

そして決め手は1分30秒からの展開。

SU-METALが日本語で「♪ 暗い この見えない世界〜」と歌うとこで鳴ってるのが、まさにガバキック。マジかと思いました。

一応補助線を引いておくと、90年代のハードコアテクノやドラムンベースが00年代以降のメタルやポスト・ハードコアと合流する流れはちゃんとあって、その象徴になっている一つがPENDULUM。

PENDULUMが2011年に活動休止してからはメンバーはKnife Partyとしての活動にシフトしているわけで、そのあたりを追っていけば(Skrillexの動きともかぶるけど)00年代のメタルコアが2010年代のEDMに流れ込んでいるというのも、当然ある。

Knife Partyの「Internet Friends」なんて、まさにガバキックの系譜ですからね。

おそらくBMTHの新譜にもそんなインスピレーション源があるのかも。


あと、面白いなーと思ったのはGenius.comにあったこの曲についての記述。

Kingslayer is a reference to Call of Duty, where when you kill the top player on the other team you are awarded the Kingslayer medal.

曲名の「Kingslayer」は、ゲーム『Call of Duty』をモチーフにしてるとのこと。

そう考えると、BiSHの「STORY OF DUTY」はゲームアプリ「Call of Duty: Mobile」のタイアップソングなわけで。

僕はゲームをプレイしてないからわからないけど、ひょっとしたら「Call of Duty」にガバ/ロッテルダム・テクノを彷彿とさせる要素があるのかも。

ともあれ、同じ週にリリースされたBiSHとBring Me The Horizon×BABYMETALの新曲、間違いなく意識してないはずなのに偶然の符合が生じている状況がめちゃめちゃおもしろいです。

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