田中茉裕「ゆるして (demo) 」／息を呑む曲

ピアノと歌だけで、これだけ揺さぶられるとは……。

すごい曲。名曲だと思います。一人で深夜に聴いていたら、なんでかわからないけど、泣きそうになった。胸の奥底のほうまで手を突き入れて、えぐられるような感じがあった。

田中茉裕さんのことを初めて知ったのは、２年半前、2012年の冬のこと。ミニアルバムに収録されていた『小さなリンジー』という曲が、本当に素晴らしかった。

そのときのツイート。

田中茉裕さんの『小さなリンジー』を聴いてる。繰り返し、何度も聴いてる。不思議なほど惹きつけられる。『MARQUEE』の新人特集でも書いたけれど、あっという間に「間合いを詰められる」歌い手だと思う。いまのところ今年No.1の出会いかも。http://t.co/IlCIQqn0

— 柴 那典 (@shiba710) 2012, 2月 23

で、そのあとすぐに、学芸大学の小さなライブハウスで彼女のライブを観た。それも息を呑む体験だった。

学芸大学メイプルハウスで田中茉裕のライブを初めて観た。いやあ、凄かった。息を呑んだ。あんなにおっとりして天然でふわふわしてるのに、ひとたび歌うと場の空気がガラリと塗り変わる。間合いに踏み込まれる。「小さなリンジー」の曲もよかったけど、今日初めて歌ったという新曲の迫力がヤバかった。

— 柴 那典 (@shiba710) 2012, 2月 28

もうその頃には、奈良美智さんとか、佐野史郎さんとか、いろんな人たちのあいだで彼女の存在は評判を呼び始めていた。次の作品を待っていたけれど、どうやら、体調を崩して、しばらく活動を休んでいるみたいだった。

でも、久しぶりに彼女の歌声が聴けた。ツイッターによると、ライブはまだだけれど、音楽活動は復帰したみたい。そして届いたのが、この曲。

聴いていると、この人は「曲を作っている」「歌を歌っている」というよりも、むしろ「音楽に引っ張られている」んじゃないだろうか？と思ってしまう。そんな純度の高さが音の響きにあらわれている。

不世出の才能の持ち主だと思います。（84/100）