渋沢栄一が提唱した「合本主義」

梶原コメンテーターは良いところに着眼されました。資本主義の父と云われる渋沢栄一は「資本主義」という言葉を使った形跡がありません。ただ、「合本主義」という言葉を使っていました。会社を支配する大株主より多数の少数株主の体制の方が会社が創造する価値を多数へ分配できて、国が富むと考えたからです。

渋沢栄一とガチンコしたと云われる三菱財閥の創氏である岩崎弥太郎は才能がある経営者が資本も通じて会社を舵取るべきと考えたようです。理がある考えで、現在でも同じような経営者・投資家の存在感があります。

一方、栄一はあくまでも合本主義によって会社の利益が多数へ還元され、国が富むことを目指していました。そういう意味で、日本の家計の金融資産における株式・株式投資信託の保有が欧米より劣ることに、栄一は嘆いていたでしょう。

また、現在、日本の株式市場の最大な大株氏として支配力が増しているのは日本銀行です。株式ETFという間接的な経由で株主になっているので支配されているという感覚が会社には無いかもしれません。でも、良い会社も悪い会社も無差別に買い付けて市場の価格発見機能を損なう日銀の莫大な株式ETF買いに、渋沢栄一が今いたら、かなり立腹していると想像します。

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