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髙室典子さんの助産塾 2020年夏

「ベテラン助産師から経験と知恵を聴く」
~待つお産を守る・トータルでお産を担う助産師になる~のシリーズ
高室さんの4回連続講座(7/1~8/19)無事終了しました。

「親になるスタートのところにいるのが助産師」と、高室さん。
お産をあつかう助産院をかまえるまでの道のりを、
ご自身の出産、子育て、勤務しながらの修行、産婆さんから学んだこと、
日々の出産準備クラス、妊婦健診、分娩、産後ケアの実際
経営論、プロとしての肚の覚悟を、わかりやすくお話してくださいました。

妊婦さんとの対話は、きめつけない、おしつけない、
妊婦さんご自身が身体づくりや、心のもやもやに気づいて行動していく、そのきっかけをつくる対話をすること。
相手を尊重し、
支援者の満足ではないこと、
結果のみではなく過程を大切にすること、
相手の感覚を大切に不快なことはしないこと
一人一人の今に、「まる」をみつけていく寄り添い、などなど
産前・分娩・産後 トータルで関わる現場の話をおしみなく講義いただきました。

分娩の様子は、写真や動画をみせていただきました。
手の圧、まあるく、かえり、ひねり
我のない、すいつく手
無駄のない動線。
自分を失わない、落ち着いた動き自体が、
もろもろにあるのを想像してました。
お作法が美しいから、場がちらからないし汚れない。
美しくまとまった胎盤にも、
手の感覚で行われる手仕事の手早さを、ものがたっていました。

産後ケアは、①休養、②受容される体験、③授乳がうまくいくように。そして、夜タイムに昼間には言えなかったママの心の声を聞いてあげる時間をつくっていること。

分娩介助で困っているケース
産後の寄り添いで困ったケース
「創業計画」を書いてみる などなど、
毎回宿題があり、受講者の皆さんは一生懸命課題を通じて自分に向き合って取り組んでくださいました。

自分のケアの価値は? 
どうしたら愛される助産師になる? 
どうしたらまた来たいと思える場をつくれる? 
創業計画書の文章、予算書まで見本にみせてくださいました。 
この「おてまえ」は、どこでも習えるものではない、貴重な視点でした。


最終回は、受講者みんなが宣言をしました。
助産師として宣言したことが、実る日はいつになるだろう。
あんがい思ったよりも早いかもしれない。
いずれにしても、「私はこういうケアがしたかった」と心の目が開いてしまったら、もう自分に嘘はつけない。

「また会いたい、またここに来たい」そう思ってもらえる助産師になる! 
そんな決意であふれた最終回となりました。 


【こんなプログラムでした】

1回目:今さら聞けない安全なお産へのわざpart1(妊婦時代が大事)
科学の時代になり、自然なお産を望む人がいても自然な暮らしをしていない身体は、そう簡単に自然なかつ安全なお産にはならない。まず妊婦健診は相手を見ることから始まる。どんな考えを持ってどんな暮らしをして、どのくらいの覚悟や思いがあるのか、どんな素敵ないいところを持っているのか・・などなど。安全で安心したお産は、妊婦の時からの関わりが大事。一度も救急搬送のない助産院エ・ク・ボのお産を改めて振り返り、見えて来たもの。

2回目:今さら聞けない安全なお産へのわざpart2
お産の主役は、助産師じゃない!!産む人が納得のいくこと、家族で迎えるお産のクライマックスを影で支えるのが助産師。相手の満足度をきちんと妊娠中からアセスメントすることが大事。そして「産んだ(自分で)!!」という達成感を、味わってもらうことが、その後のその人の育児や生き方にもつながる。こんなに大事な仕事なのです。そして、会陰など切開しなくても介助できる技をご紹介。

3回目:産後ケアと寄りそうケア
「寄りそう支援」とは? その人のためになる支援、優しい支援とはどんなことかを考えてみましょう。妊娠中から継続しておつきあいしているお母さんと、産後の初対面からケアがはじまるのとでは随分違います。親密感をどうつくる? お産の傷つき、授乳困難、母娘や夫婦の関係性、あらゆる角度から読み解き見極めること、可能性を信じること。目の前にいる女性に教えること、教えないこと、そしてそのタイミングも、一人一人をよく感じて行う。その判断が助産師自身の肚力を鍛えます。

4回目:助産師の自律を目指すためには
女性に寄り添いたいと願い、天職と感じて進んで来た道も、助産師の7割が資格を活かして働いていないという現状。実際に病院で働いてみると過酷な労働環境や上下関係、患者さんの急変によるトラウマなど、辞める理由はたくさんあります。「助産師は起業家」であると言われた時代もありました。いくらでも自分の足で立って貢献できる仕事がある、助産師の仕事は、まだまだ未知数が多い。病院にいても開業しても稼いでいける道があります。社会の中での仕事として確立するための方法や手段がある。社会的な仕事を意識して働くこととは。助産師の自律・自立とは? 


【講師 髙室さんよりメッセージ】 

「産むのはあなた、育てるのはあなたと覚悟を決める。
 気づきのチャンスを与えるのが助産師」

人が変わっていくのがみえる。
妊婦さんが、今まで娘として甘えてばかりだったのに、もうちょっとしっかりしなくちゃという意識がめばえて、だんだんと顔つきが変わってくる。生んだ後のお母さんの顔になる瞬間、赤ちゃんに向ける笑顔、家族に向ける笑顔が好き。絆ができているなあと思う瞬間に、私の心もしあわせで満ちていく。 
若いころは、病院の中でも地域でも、産婆さんにいろいろ仕事をみせてもらった。ある日、自宅出産のお供についていくと、産婦さんの顔をみるなり、産婆さんは「まだ生まれないっしょ」と、靴もぬがずに帰ってしまった。そして、そろそろかなあとまた戻ってきて分娩の支度をしたら、赤ちゃんがつるりと生まれる。なんでわかるんだろう??という疑問が糧になった。
若いころにはわからなかったことも、今ならわかる。
その人の最初から関わっていると、ちょっとした変化がわかっていくる。その積み重ねで、「まだ生まれないっしょ」の感がつかめてくる。経験の積み重ねに裏打ちされたエビデンスがあるから、だから「あ、こうしようとか」「これは変だ」と判断ができる。 
妊婦健診から、その人の全身をみる。心も身体も全部みて、その人に寄り添わなければみえない部分がある。その中に、どうもこうも、心の中でもやもやする予感さえ出てくる。その妊婦さんと肚の底で繋がらないような、この人を助けるのは自分の役割かどうかも、肚でわかってくるようになる。
入ったものは出てくる、だから産前が大事。その人を知るってことがとても大事。


【講師】髙室典子(助産院エ・ク・ボ)
札幌 助産院エ・ク・ボ 院長 https://jyosaninekubo.tumblr.com/

【受講者の皆さんより感想をいただきました】
 
■「枯渇していたらだめ、溢れてやるもの、笑顔の人のところに人は集まるでしょ。」本当にその言葉が納得できる愛が溢れるお人柄にとてもとても惹かれております。
わたしは、お産が怖いです。怖いという気持ちが強くて今まで苦手分野でしたが、怖いと思ってていいとの言葉にもとても励まされましたし、今は本当にお産を学びたい!もっと勉強したい!と思えています。

■こんなにも奥深く、学びの多い講義の奥に、高室先生の表面的ではない、本当に優しさ、愛、強さが溢れているなと感じていました。
そして、行動力!やりたいと思ったことは、行動してみる!
頭でばかり考えてしまって、なにかと理由をつけて、動き出せないそんな自分でした。
やらない後悔よりも、やって後悔ですよね。
高室先生、皆さまとご一緒させていただいて、お話をお聴きすることで、みなさまの熱意や強さ、愛も感じることができ、お母さんや赤ちゃん、そのご家族のために何かしたい!という同じ目標を持っている皆様と出会えたことに感謝です。
赤ちゃんがNICUに入院してしまったお母さん、思いがけず帝王切開でのご出産になってしまったお母さん、理由があり病院での出産が必要なお母さん、そんなお母さんたちこそ、地域のMy助産院、My助産師は必要だと思っています。My助産師制度がまだできていなくても、私にできることは何か考え、微力ではあるけど、できることを始めていきます!
そして、お母さんたちの想いを先入観なく聴き、その想いをそのまま受け止めて、より良い方向に向かっていけるような助産師に少しずつ近づけるように努力していきたいと強く思いました。

■夢を叶える覚悟をする、三年計画を立てて実現可能にしていく、助産院を継ぎたい
そのために今、何をしていくか改めて見つめる機会になりました。
笑顔で過ごせるように手助けをしたい。ミッションを明確に動いていきたいと思います。

■受講する前は、お産怖いし、助産院を引き継がないといけない使命感みたいなものを感じるだけで、正直開業したいとも、お産の介助をしたいとも思えてない自分がいました。
怖い思いから色々言い訳して目を背けてたんだなぁと気付きました。
「怖いのが先、じゃなくて、それを沈めていく。」が目からウロコでした。
怖いのにフォーカスして、立ち向かわなくてもいいのか…
沈めといていいのか!
それなら、怖くてもやって行けます~!
なので、もう、やりたいもんはやりたい!で、いいかも!

■「命の現場」から離れ、もうその世界に戻ることはないと心に決め数年過ごしてきました。
ですが、今また改めて、初心に戻り、なぜ自分が助産師になったのか、そしてなぜ助産院を目指そうと思ったのか、その原点を思い出すことができました。
ママと赤ちゃんが幸せな笑顔でお産を迎えられること。
そして、その笑顔がずっとずっと続くこと。
人生のはじまりの1日が、最高に幸せであるように。
そんなママたちの居場所をこれから先も守っていきたいです。そして、未来に繋いでいきたいです。そんな想いが、今心のなかに広がっています。

■頭と心がパンパンです。。。
高室先生のママたちと助産師たちにむける大きな愛と強い覚悟を感じました。助産師は、職業ではなく、生き方そのものだと感じています。
だからこそ、技術、知識だけではなく、助産師そのものの生きざまや人間性も大切であること。
目の前のママたちが何を求め、必要としているかを知り、自分の価値観ではなく、一人一人に本当に必要なケアや関わりができること。
たくさんたくさん大切なことを教えていただきました。

■高室さんの生い立ち、やりたいと強く思い続けて行動し、事業計画を立て、助産院業務以外の計画も立てていく、後世に引き継いで行く事すべて、行動的で前向き、さっくりとしたお人柄を感じました。
今まで経営者をそばで見て来なかったので、これからはたくさんの経営者を探して情報を得ていきたいです。

■細かいところまで惜しみ無く沢山の事を伝えて下さり、本当にありがとうございました。
いつも自信がない私には、高室先生の沢山の知識と技術と大きな愛であたためられ、少しずつ自信をつけていく機会になりました
私も高室先生のように、妊婦さんやママ達に、安心と自信を与えられるような助産師になりたいです。そこを目指して、これからご縁のある仕事を頑張っていきたいと思います。

■毎回毎回講座で私は心揺さぶられました。
どう思う?って気持ちを出してあげる声かけをすること。
産む人が言いたいこと言えずにいたらいいお産にならないし、分娩第一期にどれだけ寄り添えたかが信頼関係を築くということ。
育児って毎日自分に○を増やしてくことで、○をもらうばかりでなく自分で○をつけていくことなんだということ。
それから創業計画どう手をつけていいのわからなかった私には、自分の大好きなお店になんでまたいきたくなるのかと置き換えてみて考えるということで私も計画できそう!って思いました!
それからモヤモヤすること書き出してどうしたいかが経営理念になるし、私はそのためにどうありたいかがコンセプトになる。そうやって教えてもらって計画書いてみようと思いました。
この4回で教えて頂いたこと、自分の心が揺れ動いたことを忘れずおかあさんの側にいたいとおもいます。
今置かれている勤務助産師としては宣言したとおりお母さんが自分に○をつけれるように私も支援していきます。だからこそ、支援する自分自身にも○をつけれるようになります。
そして開業する決意は今持てませんが、自分が自律していくために自分の強みと足りないもの、そしておかあさんの生の声を知ることも取り組みたいと思います。

■出産後にキレイで素敵な笑顔となるお母さんたちが、産後に笑顔が少なくなってくることへのケアでうまくいかないお母さんたちの想いや頑張りに、自分の価値観が前のめりとなって寄り添っていると言えない自分がいました。
【中途半端なかかわりはしないでほしい】と先生が言った言葉、胸に刻んで、本音で話せる頼りになる助産師になるための足りないスキルを身につけるすべきことがはっきりしたら、とても楽になりました。
いまさら聞けないことも一つひとつ丁寧に教えてくれて感謝しています。前向きに一歩行動を起こすことに勇気をもらえたし、悩むばかりではなくそういう自分の変化を感じることが出来ました。
創業計画を書くという作業で見えてきたことで、やりがいをもって取り組めそうです。仲間がいるという事、この講座で考え話し合ったことを大切に皆さんとのかかわりを積極的に、高室先生への相談券も大切使いたいと思います。

■高室典子先生、麻紀子さん、西川さん、一緒に受講していただいた方々の溢れんばかりの愛、行動力、赤ちゃんや、お母さんたちその周囲の人への想いに共感するとともに、日本、そして世界に同じ想いを持ちながら活動している方々がこんなにたくさんいることはとても心強いことだなと思いました。
私一人にできることは本当に微々たるものかもしれない。でも、目の前のお一人の女性、赤ちゃんの幸せを心から願って応援できない人に多くの人を心から幸せにすることはできないのだと思いました。目の前の一人の女性、目の前の一人の赤ちゃんとしっかり向かい合い寄り添っていくことをこれからも続けていきたいと改めて感じることができました。
今、この瞬間に目の前にいる女性、赤ちゃんが安心でき、今しかないこの子育ての一瞬一瞬を幸せに過ごせる、そして女性たちが「私はこれでいいんだ、私は幸せ、私はできる!」と心から感じてもらえるような、黒子としてのサポートができる助産師になりたいと思いました。




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