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バーチャルオンリー型取締役会という言葉

バーチャルオンリー型取締役会とは、何のことなんだろう、と思っていたらzoom(テレビ電話会議システム[1])等を用いて行う取締役会のことのようです。

バーチャルオンリー型取締役会は適法に開催可能か?


 取締役会議事録に開催場所を記載する必要があることから(会社法施行規則会社法施行規則101条第3項第1号ニ)考える必要があるのかなと思いましたが、考える必要はないと感じます。

 そもそもzoomなどを使っていても、参加者は現実の場所にいるので、その場所をそれぞれ記載すれば良いからです。なので、バーチャルオンリー型取締役会というのは存在しないと考えられます。

バーチャルオンリー型取締役会は適法に開催可能か?


場所を「オンライン」と記載出来るか、というのも無理なのではないかと感じます。各取締役はオンライン上にいるわけではないからです。ほとんどの場合、モニターの前にいて、モニターを置いている場所が物理的場所があります(本社内、自宅、ホテル、カフェ、etc.)。

会議を開催するには、最低2人以上の人が必要で、開催場所はその人に紐づいています。
開催場所を単に会議が行われた(ような)場所、と考えるとオンラインという記載や、議長のみ所在場所を記載するということも考えることが出来ます。

ハイブリッド出席型というのもあるようです。私はこれも無理だと感じます。議長のみの所在場所を書いても、他の取締役がどこにいるのか分からなければ、定足数に関わってきます。

法務局で何も言われなかったから大丈夫、という考えも有りでそのように実務を行っても問題がない方は良いと思います。ただ、登記が問題なくなされれば争いが起きないかといえば、そうではないことは実務を行っている方なら少し感じることがあるのではないでしょうか。

上記の点よりも関心があることは、

・議事録に、出席者の音声が即時に他の出席者全員に伝わり、相互に適時的確な意見表明が可能な仕組みとなっていることを確認した。」のような文を入れること[2]。
・取締役会をzoomなどで行うのであれば、取締役会議事録もデジタルで作成可能な環境を作って、必要な人には紙で渡せるようにすることだと思います。
[1] 登記研究662号p171

[2] 会社法369条4項ほか