Capはどう決めればいいのか?
J-kissの発行要項例
1 発行価額 1個○○円
2 次回資金調達 総額〇〇円以上の株式による資金調達
3 ディスカウント 0.8
4 ポストキャップ ○○円
ディスカウントとは
新株予約権1個と引き換えにもらえる株数を定める基礎となる値
「次回資金調達」時の株価から割引して株式を買えるイメージ
例では0.8(2割引き)
ポストキャップとは
「ディスカウント」と同じく、新株予約権1個と引き換えにもらえる株数を定める基礎となる値
投資家に保証するミニマムの株数が定まる
「ディスカウント」を基礎に定めた株数と、「ポストキャップ」を基礎に定めた株数を比較し、投資家に有利(低額)な方が採用される。
次回株式資金調達時における株価が、大きく上がっても、ポストキャップより高くならないように上限を設ける。
J-kiss SAFEユーザーガイド
スタンダードはCaoのみ。
CapとDiscountは別バージョンとして記載。→削除。
CapとDiscountを使っているものが増えている。96%、2023年。アメリカ。
二重の絞りで検討する試み
1段目:現在おおよそのVal交渉ベースで不合理な範囲を排除
バリュエーションの交渉ベース
バリュエーションの種類
今回のラウンドで投資家が妥当だと考える額、起業家が妥当だと考える額、合意した額の3つ。
次回のラウンドで投資家が妥当だと考える額、起業家が妥当だと考える額、合意した額の3つ。
合計で6つの種類。
ポストキャップを決める場合、今回のラウンドで投資家が考えるバリュエーションの額と、次回のラウンドで起業家が考えるバリュエーションの額の間に定まると想定。
今回のラウンドで投資家が考えるバリュエーションの額と同じなら、株式発行で資金調達すれば良いので、一円でも高くしないと意味がない。
次回のラウンドでスタートアップが妥当だと考える額より高く設定する場合、投資家が損する可能性が高いので、1円でも安くしないと。
ディスカウントを無視して考えてみた場合。
(1)まずは論理的に不合理な範囲のCapを設定しないようにする。
例:株式でのValとJ-kiss/CEでのCapが同額などありえない。
(2)Capは発動することが前提
・投資家は早期に出資したリスクをCapで回収する。J-kissはそういう使い方を想定した仕組みになっていると思われる。
・スタートアップとしては、Capを発動できるような現実的な額を提案する方が良い、という指摘。
(3)J-kissならCapは比較的高めベースで考えてOKでは?
・Cap&Discountで最恵国待遇もついているのでかなり投資家寄り。
・最恵国条項の削除を考える可能性。
2段目:同分野の相場や次回Val達成見込みなどからFIX
アメリカでは、政府がデータを取って、事業分野ごとにある程度相場が形成されている。
日本では、J-kiss/CEの統計があるわけではないので、同分野他事例との比較はしづらい。
今後の課題として、データを取り始めるべきではないか。→誰が。
次回バリュエーション(株価)の達成可能性
・投資家が取るリスクに相応しいCap。
Capの重要性の程度について
・Capの細かい数字をギリギリ詰めるのはあまり有益ではない。
・まずは複数パターンのシミュレーションをしてみること。5ぐらい。
シミュレーション例
1、創業者が100%持っている状態からスタート
2、第1回J-kiss発行
1,000万円の調達
次回資金調達は1億円以上の株式による資金調達
以下Capを1億円、2億円、4億円、6億円として試算
3,2の直後に資金調達
バリュエーション 5億5,000万円
1株5万円×2,000株で1億円を調達
4億円(Cao発動)、6億円(Cap不発動)
最恵国条項について
日本固有の問題として、いちいち登記が必要
最恵国条項もデフォルトで入っている
そのため通常J-kissは1度に1種類しか発行されない
投資家間の競争原理が働きづらい
削除して複数パターンのCEの同時発行も一考の余地あり。
Capを高くしてくれる投資家に多めに発行して、必要資金を調達する。
統計データによる相場観の醸成
やはり統計が欲しい
J-kissのデータを持っているWebサービス、スマートラウンドなどが出始めている。
CAPは「次回の資金調達時の」バリュエーション、「現在の」バリュエーション、どっちが正しい?
バリュエーションとcapは別物。
交渉の範囲の幅を決める参考値として、どっちも正しい。
そもそもバリュエーションは計れない。先送りが出来るから株式ではなく新株予約権で発行している。事業計画で決めるとしたら、次回の資金調達時。
バリュエーションのデータをとる必要性
・スタートアップに、開示するメリットはあるのか分かりませんでした?
・Capは登記から拾えるが、算定方法が分からない。バリュエーションは登記されない。
・現状、同事業分野の登記情報を取得して、参考として算定する方法もあり、との指摘。
(Cap付きの)CEを使うべきではないケース
・バリュエーションが割ときっちり決められる場合は、
・J-kissで調達すると、発行体がディスカウントして売却するので、損になる可能性がある。
・18か月以内に次回資金調達という期間制限と株式転換。売り急ぎの可能性リスク。→機能していない。止めるか、伸ばす可能性もあるのでは、と指摘。資金が動かないなら、登記もされない。
2回目のJ-kiss発行時に、1回目のJ-kissの期間を、2回目のJ-kissとそろえる契約をすることも。
・計算とかあまり好きじゃない人。