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菊地成孔

ジャズミュージシャンの菊地成孔さんの喋りも非常に密室芸感のあるリズム的なものを優先させてて同世代的なノリを生むグルーヴを持っていると感じます。

そこに時代的な差異として情報量や掛け合いのテンポ感とかのコミュニケーションの型そのものや共有されている模範の癖とかの変容はあると感じますが、パスを受けた時の繋げ方、1ターンの尺のはみ出ていい範囲、等を体得している点ではARuFaさんと近い波及範囲であると思います。

ただARuFaさんと異なるのはフリとコナシで言えば菊地さんはフリ役的な側面でその場の空気をコントロールしてゆく傾向が強く、それは一人喋りの時に如実に表れているのではないでしょうか。なので張り芸的な声の使い方はほとんどしていません。


そして対峙している時のトークだと雰囲気も込みでもう少し間合いを測って引き込んでからペースを徐々に掴んで自己管理の効くゾーンを仕上げ、そこで自らにフリを連打するような一人喋り的沸点を作りそしてなだらかに相手へのフリへ帰結し舵を取らせる、というような立ち回りを意識している気がします。

進行やコメンテーターの役割をほぼほぼ担っているのに持ち回りとしては一応それを相手に任せていて、その境界線を接近戦によってアシスタントなのにイニシアチブを取っている状態に持ってゆくのが非常に上手いと思います。


人数が増えてきても基本的にはそういったゾーンを積み上げによって仕上げスポット的にそこに居座るようなテクニックを駆使します。そしてそこを起点に個々人同士での潤滑油的な働きをしながら全体の空気感少しずつだけコントロールしてゆきます。

この最小単位の寝技によって煙に巻ける領域がかなり広く設けれているのが菊池さんの密室性の高い喋りの特徴です。これをジャズ的なパターンとアドリブのバランス感覚とも捉えられるのかもしれません。

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