古川ロッパ
昭和の喜劇俳優、古川ロッパさんもまた進行気質だと思います。
もともと声帯模写を得意とする芸人さんから人気を博したためか矢継ぎ早ではなくゆったりと安定したリズムとテンポの中に少しのくすぐりが入ってます。やってる笑いの種類も上品というか今だとおぎやはぎみたいな昭和の上流階級的な演出を加えてそこに遊び人的なシニカルさを持った言葉遊びなどのジョーク(この動画の「くじらと卵の似てるところはどちらも木登りができない」とか)をやっていたのだと思います。
所作の完成度もサイズ感を押さえて自分の届く範囲の中でクオリティを上げているやり方で音楽性、密室性を感じます。この確固たる自分のペースを持っていてその事に自覚的である点と人前だと捉えている範囲の広さを踏まえると雰囲気としてはちょっと荒俣宏さんとかに近いかもしれません。
こういう事が出来るのは知識や教養や育ちはもちろん大事なのだと思いますが、個人的に感じるのはやはり喋り方なのだと思います。自分のペースにしてしまう引き込みが上手いトーク術によるハッタリがかませるかが一番重要で今だとタモリさんやふかわりょうさんとかがこのタイプのピン芸人だと思うのですが、それこそ喋り方のモノマネが上手いので自分の立場や雰囲気に合わせるがゆえ若い頃は早口な傾向があってそこから年齢を重ねる中で徐々に年相応な場を支配するゆっくりとした言葉数の少ない喋り方になってゆくのが相場なのだと思います(逆に言うとそれが出来るかどうかがでかい)。ロッパさんはどうだったのかトークをしている資料があれば観てみたいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?