人と真正面向いて喋る時「どこ見て喋ってんの!?」と本気で心配されることがあったりなかったり

もしやと思い、マイクロUSBケーブルを探す。見つけた。自宅のパソコンとソレを繋げる。よし、認識する。パソコンのデータフォルダを漁り、好きなMP3ファイルを覚えさせる。
プレイステーション・ポータブルは私のゲーム欲を満たすだけでなく、デジタルデトックスできる機会を与えてくれる実力派だ。

お医者様に「お酒の量が増えないように気をつけてくださいね。」と忠告されてからというもの、減らすつもりがなく(それは意地を張っているわけでも、減らしたくても減らせないわけでもない)そんな簡単に増えないだろうと高を括っていたのである。
ある日、昨晩開けたばかりのウォッカが台所で突っ立っているところをみかけた。凝視した。誇張なしで半分しか残っていない。
「今までの飲酒量と比べると増えていますよ。」と突きつけられた。また別の日も、その翌日も。やはり半分、飲んでしまうのである。
こりゃいかん、お医者様の言いつけを守らねば。一滴も飲まない日を生成した。ははは、懐かしい。眠れないなあ。目を瞑り横になり、黒を見ている。考え事は特にない。ただ黒い。寝つけないが気づいたら朝がきていた。少しは眠れたのだろうか。あの、ひどく生々しい悪夢を見なかったことは幸いだった。次にお医者様に診てもらうまでは一旦、現状維持で過ごそうと考えた。

待ちに待った通院の日。
「検温してから受付してください!初めての方ですか?」
ん?そうだったっけ?
名前を呼ばれるまで、何を見るわけでもなくぼんやりして空間と一体になりたいな、なんて思いながら椅子に凭れる。とある診察室に吸い込まれていくクランケは2分も経たずに放出される。闇の深さが窺える。
私の名前が呼ばれる。このお医者様はよく話を聞いてくれるので好きだ。診察室に入るといつもの先生の隣に研修医の佇まいをした白衣の男がいた。顔はよく見れなかった。
経緯を話すとお医者様は「いきなりやめるとじょうずに眠れないから徐々に減らしていくんだよ。」と教えてくれた。前回出したやつは飲んだ?いやあ、飲んでないです。(※ お薬の用量用法はきちんと守りましょう。)
「じゃあ今回ね、お酒と一緒に飲んでも大丈夫なやつ出すから。それ飲んでみよう。お酒たくさん飲んでも眠くない時に飲んでみてね。」うん、わかった〜。「じゃ、また今度ね〜。」会計で、国民健康保険に加入していなかった期間に10割負担した医療費の幾らかを返してもらった。先月のガス代が諭吉2枚を無に帰した。

昨晩もお酒を飲みはしたが、時計を見て流石に眠ろうかと思いあのお薬を飲み下して眠りについた。

目を開ける、醒めがいい。カーテンを開けると朝日を感じるのできっと朝なのだろう。朝の習性を遂行し、確か今日は仕事の話を聞きに行くんだよなと思い出す。

「冬だけど小指、痛くならなかった?」喫茶店のママに心配してもらう。ああ、全然痛くないですよ。セット、ください。
テレビでは星座占いが放送されている。私は11位らしい、そしてゴール直前でミスるらしい。ゴール自体がないからミスることもないな。
いろんな人がママに向かって「いってきます」と言い、お店のドアを開ける。冬と春が混ざった空気が少しだけ入り込む。

私の「いってきます」はどこに向かう挨拶だろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?