帰ってきてまずはカールスバーグを飲んだし風邪はひきたくない
大好きなロゴがかかれたポケット瓶は少しだけ飲まれた痕跡がある。肥満状態の猫と同じくらいの重さを私は背負っているらしく、本人もなぜそこまで大荷物なのか、何が入っているのか詳しくわからない。内容物を減らそうとは考えないので持ち物すべてを必要に感じていることは確かである。
他の県に、他の国に、乗れば運んでくれるすごい大きい乗り物が発着する場所から私は馴染みの歓楽街へ向かうための汽車に乗っていて、線路は人が住んでいないようなところに敷かれているので窓から見える夜は本当に黒い。迷子にならないだろうか。
ここ数日、東京へお邪魔していた。急遽、やらなくてはいけないことが発生し、突然上陸した。夜は自由なのでいろんな人が私に会ってくれてうれしかった。ありがとう。会いたい人はまだまだいる。君たちが存在していることを実感したいのだ。昼の用事はBランク任務ってところでそれでいて無賃なのはどうかしている。仕方のないことだけれども。
三月三十一日、札幌へ帰る。
最終日の起床は神田で、あそんでくれる人は近くまで来てくれた。昼食をとることになった。一人前の食事が大変でその人はそれを責めるようなことはないので安心した。時間があるので品川の水族館に行こうと提案してくれた。私は水族館が好きだ。もし鰓呼吸ができるようになったら泣いてよろこぶかもしれない。肺呼吸が困難な時は大丈夫になるまで潜っていられるじゃん。山手線で向かう。降りたくなっちゃって、一つ返事で一緒に下車してくれた君は本当にやさしいよ。「具合が悪いなら…」としばらく電車に乗れない私を見て声をかけてくれた。文句の一つくらい出てもおかしくない状況のように思えるが急かすこともなく、私が「その本なあに?」と指をさして聞いたら「…あげるよ、一回読んだやつだから」受け取って、心臓に一番近い位置についているポッケを信頼して大事にしまった。かけていた眼鏡を別のモノに替えて左太腿に潜んでいるメモ帳とボールペンの存在を手で確認して、JYに再挑戦する。品川行きはご破算だが、人のいいところを体感したし何より、自分のことが一番大切なのだ。わたしの所有者はわたし。モノレールに乗り換える。列になっていて、でも停まっているソレはがら空きで、電光掲示板に目をやると並んでいる人たちは次の急行を待っているらしい。安全な鈍行を選ぶ。無事、空港について安堵した。日産スカイラインを見つけて、なくさないように握りしめて、その時を待つ。
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