見出し画像

『SSSS.DYNAZENON』第一話感想。

 4月3日。とうとう待ちに待った新作アニメ『SSSS.DYNAZENON』の放送が開始した。私も前作、『SSSS.GRIDMAN』のファンの一人として本作の放送を楽しみにしていたわけだが、いざ放送日が近づいてもその実感が湧いてこなかった。『SSSS.GRIDMAN』が大傑作であるだけに、その続編をうたう本作がいかなる出来なのか。そこに対する不安が放送を楽しみにする私の心の片隅にはいつもあったのかもしれない。そして放送当日。リアルタイムで、というわけにはいかなかったがAmazonプライムビデオで最速の見逃し配信がされていたので、そこで第一話を鑑賞した。

 最高〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!

 不安を完全に拭う新たなる大傑作を予感させる最高の第一話をお目にすることができた。今回は『SSSS.DYNAZENON』第一話の感想を完全にネタバレありで書いていく。 

ダイナゼノン


 第一話の物語構造は『SSSS.GRIDMAN』のそれと似ている。序盤は日常描写を徹底し、後半に怪獣登場からの未知の力でそれを打ち倒す。謎は残るままだがヒキとなる見所は抑えていて次回を非常に楽しみにさせる。しかし本作の第一話が「これじゃあグリッドマンとやっていることが同じじゃないか」と思わせることはない。全体的な空気感や構成は似ているが内容は全く別物なのである。

 まず最初に登場人物について。本作の主人公である麻中蓬(あさなか よもぎ)は第一話では完全なリア充にしか見えない。男女交えた友人たちと楽しそうに下校しバイト先のスーパーでも人間関係は良好の様子。しかしそんな彼の生活も完全無欠、順風満帆というわけではない。はっきりと言及されているわけではないがおそらくシングルマザーの家庭に生まれ、母親と再婚を前提にした男との食事会に連れていかれるというイヤ〜な描写も挟まれている。『SSSS.GRIDMAN』の主人公、響裕太は第一話の冒頭から記憶を失った状態で話が進み、本人の人となりはわからないが本作の蓬は第一話の時点で割と丁寧に人物像を描いている印象。

画像1

↑ 本作の主人公、麻中蓬。友達も多く安定したコミュ力を持つ勝ち組になることが約束されている人生を送っているようにしか見えないがそんなつまらないキャラで終わるはずがない。母親との再婚相手(仮)からもらったお小遣いを店の募金箱に突っ込む名シーンをいきなり見せてくれる。

 本作のヒロイン的立場に当たる南夢芽(みなみ ゆめ)もこれまた印象的な登場を果たしてくれた。第一印象としては最悪な女なのである。容姿端麗ではあるが学内で男子生徒何かしらの約束を取り付けてはそれをブッチすることで悪名をはぜている。そのせいで友人も少なく、一応他のクラスには彼女と昔からの付き合いのある女生徒が一人いるがそれ以外の交友関係は皆無に等しいだろう。何かしらの過去があることはもう確定しているが、『SSSS.GRIDMAN』の宝多六花、新庄アカネとはまた違った風味のヒロイン像を見せてくれそうだ。

画像2

↑ 本作のヒロイン的存在の南夢芽。男子生徒と取り付けた約束を当日ブッチしてはキレられている最悪な女。過程の描写などから忌まわしき過去があることがうかがえるが、そんなことは知ったこっちゃない物語世界の住人からは悪い噂で知られている。本人曰く”自分はどこかおかしい”らしい。病院に行け。

 他にメインを飾る人間キャラとして山中暦(やまなか こよみ)と飛鳥川(あすかがわ)ちせがいる。二人は引きこもりでなんの説明もなく同じ部屋にいて距離感の近さにビビる。後々に従兄弟同士であることが判明するがそうだとしてもこんなヒキニートの部屋にかわいい従兄弟が住み着いているなんて信じられない話である。

画像3

↑ 山中暦(右)と飛鳥川ちせ(左)。引きこもりで自堕落な生活を送っていそう。それにしてもすごい名前ですね。『SSSS.GRIDMAN』の内海的な存在になるのか…?

 そして謎の人物ガウマである。自信を”怪獣使い”であると名乗るイカれた人物。空腹で倒れていたところに蓬がパンを与えたところ(このパンがちゃんとスペシャルドッグになっているのがイイ)、その恩を返すために奔走するという昔話の登場人物みたいな奴なのです。

画像4

↑ 謎の怪獣使い、ガウマ。第一話ではなんの説明もない。見るからにやばそうで実際ちゃんとヤバい奴なのです。


 そして肝心のアクション面についてだが、まさかダイナゼノンが合体ロボに近い描写になっていたのは驚きだった。グリッドマンのように一人の人間が返信するのではなく、ガウマの持つ謎のオブジェクトによって四人がダイナゼノンに搭乗することによって操作が可能になる代物だったのだ。まさか本作では戦隊モノの合体ロボにオマージュが捧げられているのだろうか。メインの人物はちょうど5人だし。これは思っても見なかった角度からボールが飛んできたので驚愕した。
 そしてこのダイナゼノン、なんと人型モードと恐竜モードに変身できるのである。最初は人型モードで戦闘していたが、最後は恐竜モードである「ダイナレックス」にモードチェンジして怪獣にトドメをさす。いや、変身というよりかはトランスフォームと言ったらいいか。これもまさにトランスフォーマーのオマージュに思える。変身シークエンスも戦隊ロボっぽくもありトランスフォーマーっぽくもあったのでまさに雨宮監督の趣味が前回になっていて見るのが楽しい。前作ではキャラのいちモチーフでしかなかったトランスフォーマー要素をがっつり本編に仕込んでくるとはこれまた驚きである。     

 第一話では四人が搭乗するが操縦していたのはガウマだけで他の3人はダイナゼノン内で傍観しているだけであったが、今後どうなっていくのか。メインの人物が5人で乗れるのは4人というのも気になる。まだまだ謎の残る部分が多いが、それを解明する楽しさもこのシリーズの醍醐味なので大いに楽しめそうである。

  またグリッドマンから続く本作の見所、日常のリアルな空気感も本作はグレードアップしている印象を受ける。そのグレードアップ具合が曲者なのだが、リアルな空気プラス日常のイヤさがエッセンスとして足されているのだ。第一話では南夢芽が家で家族と夕飯を食べるシーンがあったが、そこでのイヤ〜な日常が垣間見える。夢芽と母親はテーブルで食事しているが、父親はすでに食べ終わっておりソファニス座りテレビを見る。イヤだね〜〜。当の本人たちはもはや当たり前のことでなんにも感じていないんだろうけど第三者目線だとなんかイヤに感じる、非常に絶妙なセンをついてきている。悪いですね〜。『SSSS.DYNAZENON』は登場人物の性格的にグリッドマンほどスッキリした物語にはならない気がします。怖いね〜。

 今回もちゃんと放送後にボイスドラマが配信されている。これを聞くと本編が約1.5倍面白くなると私が勝手に思っているがちゃんと毎話本編の補足をしたりキャラクターの深掘りをしているので聞いて損はないだろう。
 ちなみにボイスドラマ第一回では蓬のリア充っぷりとイイ奴っぷりが存分に出ている。みんな演技うまいね。

 すごいイイ第一話だったのでこれからも楽しみですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?