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2020年代はThink Differentialの時代かもしれない

スティーブ・ジョブズの掲げたテーマ「Think Different(違って考える)」は誰でもスッと理解できる。21世紀初頭のビジネス界の伝説である。

まずはジョブズのビデオでも見て落ち着いてから読み進めてほしい。

今の日本のIT業界人で、Think Differentキャンペーンを知らない人はモグリだ。いや、意外といるかもしれない。これはスティーブ・ジョブズが倒産寸前のAppleに復帰して最初に作ったCMである。

このCMのターゲットは、世の中から負け組扱いされていたApple社員とAppleに関係するビジネスをしている全てのAppleユーザーだった。

ジリ貧になった彼らに対してジョブズはいうのである。

「世間の人はMacを悪く言う。性能が悪いとか、値段が不当に高いとか、それを使っている人たちは変人だとか。しかし私たちは決してただの変人ではない。変わった考え(Think Different)をする人たちなのだ。しかし、ピカソやアインシュタイン、ジョン・レノンも、変人、変わり者、はぐれものと呼ばれていた。しかし我々は彼らを天才だと思う。我々は負け組ではない。天才になれるかもしれない人々なのだ」

このキャンペーンが、Appleが2000年代から2010年代で最も偉大な成功を収めるための、まさに出発点だった。ちなみに「Think Different」と言う英語は文法的には正しくない。正しくないからこそメッセージ性が強い。

「Think Different」についてわかっていただけたと思う。

さて、ところが三文字だけ追加して「Think Differential(微分的に考える)」となるととてつもなく難しい気がしてしまう。

でも案ずるな。基本的にこの二つはそこまで違わない。「Think Different」ということがなんとなくわかる人ならば、「Think Differential」もわかるはずだ。

さて、では2020年代に最も重要になりつつある考え方、「Differential」とは何か?

微分的という日本語に本当は問題がある。差分的という言い方の方がわかりやすい。数学大好きっ子たちに「微分は差分のことだ」と言うと激怒するかもしれない(数学はもともと宗教なので用語の使い方にとても厳しい)。しかし、待ってほしい。人類が今最も頼りにできるのは統計的機械学習である。つまりGoogle翻訳だ。Google翻訳に「差分」を英訳したらどうなるか聞いてみよう。

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イエス!Differentialである。

微分というのは、differentialの微妙に特集な訳にすぎない。ちなみに英語のdifferentialを日本語に訳してみよう。

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これよ。これは戦争ですよ。

この言語の非対称性。ここに注目しないと本質を見失う。
今日本語で「微分可能(differentiable)」と呼んでいるものは、「差分可能」と訳してもいいはずだし、少なくとも英語圏の人にとっては「微分可能」と「差分可能」は同じようなニュアンスに感じられる(が、差分可能はもっと意味不明なので微分可能と呼ぶことにしよう)。

「微分可能」とは、「ある目的に対して現場との差分(微分)を取れる状態」を意味する。

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