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なんという素晴らしいSF!プロジェクト・ヘイル・メアリー

「これ面白いよ」と言われ、飛行機内の退屈な時間潰しに読み始めた「プロジェクト・ヘイル・メアリー」

映画「オデッセイ」の原作「火星の人」を書いたアンディ・ウィアーの最新作で、小説にしては値段は高いがその価値はある。

平凡な中学校の理科教師が宇宙の彼方でたった一人、人類、いや太陽系の命運を賭けたミッションに挑む物語だ。

この物語にはたくさんの科学的アイデアやSF的仕掛けが登場する。これでもかこれでもかと詰め込まれたアイデアと奇想天外な解決策、トラブル。まさに人類が長い歴史をかけて切り開いてきた叡智が意外な形で集積する。

物語は、記憶を失った主人公が見知らぬ部屋で目を覚すところから始まり、過去の記憶のフラッシュバックという形で、そのとき地球に何が起きていたのか、自分の使命はなにか、といったことが徐々に明かされていく。非日常的な宇宙の話と、やや身近に感じられる地球における生活とが交互に描かれて単調さを感じさせない。特に主人公をこのヤケクソヘイル・メアリー計画プロジェクトに巻き込んでいく女性指揮官のエヴァ・ストラットの強権発動ぶりが小気味いい。未曾有の危機に世界各国から全権を委任された彼女の容赦ない振る舞いは見ものである。

宇宙で出会った素敵な隣人との心温まる出会いと物語、そして別れ。
「トップをねらえ!」の最終話を見たような感動的な読後感。何もかも最高だった。

これ以上は何を言ってもネタバレになってしまう。もどかしい!!こんなに面白いのに!!!

というわけで強烈におすすめです。


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