短編台本#011:僕たちが帰る場所-SideC-

D:すいませ~ん

C:はいはい、今行きますよ~

D:いきなり伺ってすいません

C:いえいえ、大家業なんてそんなもんです

C:それで…どんな家をお探しですか?

D:えっとですねえ…

D:「ファミリータイプ」で「木造」、「エアコンなし」の物件で

C:ほう…

C:また奇特なものをお探しで…

D:はい、私自身もそう思います

C:なるほど…

ガラガラガラ

C:そういう資料は奥にありますので…

C:一緒に来てもらえますか?

D:…

D:はい

ーーーーーーーーーー

C:いやはや、まさかあの暗号を聞くことになるとはねえ

C:ふー…

C:それで私に何ようかな?警察官君

D:…

D:昔、Aさんの店で働いていたZさん、ご存じですよね?

C:ほう

C:なるほど、その話か

D:気になってZさんの消息を洗ってみましたが…

D:Aさんの店からいなくなって以降、全く辿れませんでした

C:つづけて

D:人一人いなくなる、なんてことは…まあよくあることですが…

D:ここまで跡が追えない、ということはまれです

D:そう思って彼の身の回りをもう一度調べてみました

スッ

D:Zさんの父親…旧知の仲だそうですね

D:しかも…因縁付きの

C:よく調べてますね

ダン!

D:とぼけないでください!

D:Zさん!どこにやったんですか!!

C:おうおう、若いの、あまり暴れなさるな

D:…

C:ここまで調べてわしに会いに来たことは誉めてやろう

C:ただ…

パチン

ザッ、カチャン

C:リスク管理がなっとらんのではないか?

C:それに君はZとはそこまでかかわりがないじゃろう?

D:確かに、Zさんとはお店で顔合わせた位ですよ

C:それならなぜ?

D:恩人の恩人だ、俺としてはそれで十分なんだよ

C:…

C:はははは!!!

C:いいぞ坊主、気に入った

D:え?

パチン

スッ

C:最近はそのような漢気あるものはいなくなったと思っていたが…

C:久しぶりにいいもの見せてもらったわい

C:じゃがしかし、一つ勘違いしているようじゃな

D:なんだと?

C:彼がいなくなったのは…彼の意思じゃよ

C:手を貸したのは事実じゃがの

D:な…

C:まあ、色々あってな…必要だったのじゃよ、時間がな

D:…

D:それで…彼は今どこに…

C:なんじゃ、にぶちんじゃのお

D:え?

C:さっきからそこにおるじゃろ

D:え?え?

?:…

C:もう身を隠す必要もなくなったからな

C:ご苦労だったな

C:これからは…自由に生きなさい…

?:…

C:連れて行ってくれるか?彼のところに

D:…

D:もちろん、嫌って言っても引きづっていきますよ

C:ははは、なんと頼もしい

C:よろしく頼んだよ


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