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大学生が学んだハワイの昔と今

工学系専攻の私が縁あって, ハワイでの異文化交流プログラムに参加した.
ハワイで多くのことを学んだこと, 対外発信が目的の1つであることから今回の学びをnoteに書き起こしてみた.

日本政府(外務省)が推進する事業の1つ, カケハシプロジェクト(対日理解促進交流プログラム)に参加し, 2/23~3/1の約1週間ほどハワイに訪れた.

ハワイ州はオアフ島, ハワイ島など主要7島からできた州で人口は約140万人(日系人の占める割合は13.0%)で, これは日本の沖縄県とほぼ同じ.

プログラムとして渡航するので, 観光する時間は限られており,
実際に訪れた場所は現地の大学や企業, パールハーバーや日本文化センター, そして日本総領事館などなど.

ハワイといえば...

・世界有数のリゾート地 
・日本人が多く過ごしやすい

というイメージがあるが,
今回の渡航でなぜリゾート地として観光客が絶えないのか
なぜ日本人がハワイで過ごしやすく歓迎されるのか
を理解することができた. 

また, 観光するだけでは知ることのできないハワイの昔と今を深く学ぶことができた.

日本とハワイの歴史

日本とハワイの歴史は江戸時代まで遡り,
明治元年に約150名の日本人が初めて移民としてハワイに上陸する.
当時の移民には元侍の人々も含まれていたそうだ.

連れてこられた先はサトウキビ畑.
当時, ヨーロッパ系の移民がサトウキビ栽培に投資していた.
日本人移民はそのサトウキビ畑で奴隷として働かされた.

しかし, 日本人が移住して30年後の1900年ごろ, 転機が訪れる.

ハワイ王政が廃止し, ハワイが米国の属領となった.
植民地ではなく, 属領であることが重要である.

植民地であればハワイの法律が適用されてしまうのだが,
属領であれば米国の法律が適用される.

なぜ米国の法律が適用されればいいのかというと, 南北戦争時にリンカーン大統領によってなされた奴隷解放宣言がハワイに適用される.

てっきり私は米国本土の黒人奴隷の人々だけが解放されたのだと勘違いしていた.

サトウキビ畑で働いていた日本人も解放され,
自由に働き, 自由に生活することができるようになった.

そこから, 日系人や日系移民がどんどん増えていき,
1930年代後半にはハワイの人口の約40%を日本人が占めていた.

ハワイで大活躍する日系人も多く現れる.
・ダニエル・K・イノウエ(日系人初の連邦上院議員)
・エリソン・オニヅカ(日系人初の宇宙飛行士)
・シドニー・コササ(ABCストアの創業者)
・デービッド・イゲ(ハワイ州知事)

彼らを筆頭に数々の日系人の方々のおかげで我々日本人がハワイで歓迎されるのだと思った.

日本とハワイの歴史を語る上で忘れてはならないのが真珠湾攻撃.
当時は, 日系移民の多くが, 米兵として戦争を戦った.

日本人のアイデンティティを持つ彼らが日本人と戦ったのだと思うと残念で仕方がない. 私たちには想像できない苦悩があったのだろう.

プログラム中に, 実際にパールハーバーに訪れた.

パール

写真に写っているのは最後の戦艦ミズーリ. 全長270m, 全幅33mで1944年から1992年まで実際に使用されていた.

砲台は1台110トンあり, 37km飛ぶのだそう...
あまりの大きさに言葉を失った.

戦争形態の変化により飛行機が主力となったため戦艦から空母が作られるようになった.

日本の降伏文書調印式は1945年9月2日に東京湾に浮かぶミズーリの本艦甲板上で行われ, 米国, 英国をはじめとする計9ヵ国が調印した.

米国では日本の終戦日を9月2日, 日本の終戦記念日は8月15日と終戦に関して認識のズレがある.

調印式の時の机の位置や式の日付、ミズーリの位置など事細かに記され,
日本の特攻隊が衝突した跡などの生々しいものまでこの戦艦で見ることができた.

ハワイが抱える問題

美しいビーチ, 綺麗な景色, 過ごしやすい気候, 美味しいご飯
一見すると完璧なハワイだが, 解決すべき問題がたくさんある.

 1. ホームレス・低所得者向け住宅不足
物価や家賃が高く, 高収入な職が限られるハワイでは, 住民1万人あたりの比率ではホームレスが46人(全米の比率は17人)と全米50州の中で最大. また, 庶民に手の届く住宅が圧倒的に不足している. 

2. 偏った産業構造
観光業, 公共部門(軍含む), 不動産業以外は発達していない中, 物価高で家計を支えるだけの収入が得られる職が少なく, 多くの家計が職を掛け持ちし全所帯の48%がワーキングプアという統計もある.

州政府は,
地理的制約を受けないIT関連やコンテンツ産業の育成を目指している.

偏った産業構造, 物価が高いこと, さらにハワイにおける市場が小さいことから多くの現地の大学生が卒業後は本土か海外での就職か進学を考えていた.

ハワイの大学で学べて, ハワイで仕事ができるなんてうらやましいと思ったが, 現実はそうもいかないようだ.

3. 再生可能エネルギーの導入
ハワイではエネルギー需要の約8割を輸入した化石燃料に頼っており,
輸送コストがかかるため, 電気料金は全米平均の2.5倍かかっている.

原子力発電に関しては1978年にすでに州の憲法で禁じられていた.
これは元々ハワイは地震や津波, 台風や洪水などの災害が非常に多いからだ.

そこで気候変動の影響に鑑み, 2045年までに再生可能エネルギー100%を達成することを州法で義務付けている.
日本は2030年に22%~24%が目標なので100%がいかに高い数字かが分かる.

では本当に100%を達成することは可能なのか...

日本国総領事の方が100%達成の可能性は十分にあるとおっしゃっていた.

ハワイには地熱, 太陽光, 風力, 波力, バイオエネルギーなど自然エネルギーが豊富であることに加えて, 人口が少なく消費電力も小さいことが可能の要因であるという.

もちろん, 課題もある.
自然エネルギーなので発電が不安定であること, 風力発電における騒音問題, 蓄電が難しいという点などが挙げられる.

しかし, 実現すれば快挙であることは間違いない.
再生可能エネルギーだけで動く街がもうそこまで来ているのだ.

4. 交通渋滞
ホノルルの朝夕の交通渋滞は,
鉄道がない分, 米国本土より渋滞は激しいかもしれない.

そこで, 渋滞解消を狙い, 2005年にホノルル都市群や州政府が鉄道開設を決定.その名も「ホノルル・レール・トランジット」計画.

ホノルル西側に広がる新興都市・カポレイとアラモアナセンターを結ぶ32kmを42分で結ぶ. 

一部区間の線路はほぼ完成しており, 車両も調達済み.
2020年末の部分開業を目指している.

全線高架で多くの部分が道路の上に建設.
鉄道とバスやライドシェアとの連携も念頭にある. 

終点のアラモアナセンターの先にはワイキキビーチや1万8000人もの学生を有するハワイ大学マノア校などがあり, そこまでの延伸計画もある.

日本人観光客にとっても鉄道開業のメリットは大きい.
空港ーアラモアナセンター間の所要時間はわずか16分.
自動車より早く, 正確なのだ.

サーフボードを積むラックが設置されており,
電車の中でもハワイらしさを感じることができる.

課題はそもそもハワイには電車に乗ったことがない人が多い.
車のほうが便利、鉄道ができても使わないという声が上がるほどだ.

鉄道をいかに一般市民に根付かせるかがこれからの課題になるだろう.

まとめ

今回のハワイ渡航では学ぶことがたくさんあった. 非常にタイトで忙しいスケジュールだったがとても充実したプロジェクトだった.

歴史や社会問題を学ぶと,
ハワイについて深く考え, 物事を多角的に捉えることができると感じた.

ハワイの昔と今について多くを学んだが,
これからどうなっていくのか非常に楽しみである.


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