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伊東純也がなぜベルギーに居続けるのか?

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日本代表がW杯アジア最終予選でサウジアラビアに勝利し、5連勝を飾りました。その原動力になっているのは、4試合連続ゴール中の伊東純也です。Twitterではもはや「日本の大エース」と呼ばれるほどになった伊東純也について触れていきます。

「ベルギーリーグでは勿体無い」という声

タイムラインを見て思ったのは、やはり「ベルギーリーグでは勿体無い」「5大リーグへステップアップしよう」などの声です。

5大リーグのクラブへ移籍しないことについて、あらゆる憶測が飛んでいますが、伊東純也がヘンクに残り続ける理由は、さほど難しいことではありません。

まず、このクラブでプレーすることに不満を抱えているわけではないことでしょう。自らのパフォーマンスを最大限に引き出せるヘンクでのプレーに納得していることが非常の大きいと言えます。

ステップアップを全く考えていないわけではないでしょう。ただ、ヘンクを飛び出してまで挑戦するほどの魅力的なオファーも彼のもとには飛び込んできていないことは想像できることです。

リーグ屈指のトッププレーヤーである

やや語弊のある表現になるかもしれませんが、伊東純也に関しては、他の日本人選手とは異なり、「ベルギーリーグを代表するトッププレーヤーの1人」です。

2021年の最優秀選手を決める「ゴールデンシューズ」では、総合で5位に評価されました。ゴールデンシューズは、2020-2021シーズンの下半期(1月〜5月)と、2021-2022シーズンの上半期(7月〜12月)の2回に分けられて投票が行われますが、伊東純也は下半期での得票数はチームメートのポール・オヌアチュ、クルブ・ブルッヘのノア・ラングに続いて、3位の得票数でした。

2021-2022シーズンはチームの不調もあり、得票数は伸び悩みましたが、リーグでの評価は、現役オランダ代表FWノア・ラング、ベルギー代表FWシャルル・デ・ケテラーレ(クルブ・ブルッヘ)、ヤリ・フェルスハーレン(アンデルレヒト)らとも引けを取らないレベルであることは明確です。

つまり、伊東純也が仮にベルギー人、オランダ人だったら、代表に入れるレベルと考えていいでしょう。

その伊東純也と並ぶほどの日本人選手といえば、シャルルロワで中心選手を担っており、スタッツでは上回る数字を残すMF森岡亮太ぐらいでしょう。あとは、絶好調ユニオンの主力を担う三笘薫を含めた3人は、他の大勢の日本人より一段も二段も上と考えられます。

それにこれまで多くの日本人選手がプレーしてきたベルギーリーグの中でも、唯一タイトルを獲得しているのは伊東純也であることは外すことができないポイントでしょう。

ヘンクはベルギーの中での「強豪」である

ベルギーリーグの基礎知識として置いておきたいことは、各クラブごとでの格付けに関してです。

このリーグでは、基本的には資金力が他より大きく上回っている「G5」と言われるクラブが上位争いを演じます。そのG5に加えられるのが、クルブ・ブルッヘ、アンデルレヒト、スタンダール・リエージュ、ヘント、そして伊東純也の所属しているヘンクです。

最近は極度な財政問題が噴出しているスタンダール・リエージュよりは、潤沢な資金力で上位の常連になってきている、三好康児が所属しているアントワープの方が「G5」にふさわしいと言う声はありますが、基本的には「G5」と言われるクラブに、アントワープを加えたクラブが、ベルギーリーグの中心にいると考えられています。

ベルギーリーグの多くのクラブは、年間予算は2000万ユーロ以下ですが、「G5」とアントワープに関しては、最低でも3000万ユーロ以上の年間予算を組んでおり、他の中堅クラブの2倍、3倍以上の予算を組んでいます。

「G5」クラスの資金力が高いクラブでは、それだけ優秀な選手も集まるため、競争は非常に激化しています。ベルギーの中堅クラブで実績を残して、ヘンクへステップアップした選手もこれまで多く在籍していましたが、ポジションを確保できずにいる選手も少なくありません。その中で伊東純也はこれまでの3年間、ポジションを守り続けて、結果を残し続けてきました。

つまり、「G5」のクラブ内でポジション争いで勝っていくことは、ベルギーリーグで結果を残していくことよりも難しいと考えるのが妥当でしょう。

余談ですが、アントワープで準レギュラーの三好康児は、仮に中堅クラブでプレーすることになれば、今よりも出場機会が多くて、今よりも数字を残している可能性は高いと僕は考えます。アントワープもヘンクと同様に、ベルギーリーグで結果を残していくことよりも、所属チームでポジションを奪うほうが難しいでしょう。

ヘンクからの国外移籍は非常に高額

ベルギーの中でも強豪グループである「G5」のクラブであるヘンク。国内ではアンデルレヒトと並ぶ「育成の名門」であるヘンクは、非常に多くの選手を輩出しています。

ケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)、ティボー・クルトワ(レアル・マドリー)、レオン・ベイリー(アストン・ヴィラ)、カリドゥ・クリバリ(ナポリ)、セルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ(ラツィオ)、ウィルフレッド・エンディディ(レスター・シティ)と錚々たるメンバーです。

これにレアンドロ・トロサール(ブライトン)、ティモティ・カスターニュ(レスター・シティ)、ルスラン・マリノフスキー、ヨアキム・メーレ(アタランタ)など加えると、ヘンクがいかに多くの選手を輩出してきているのか分かるでしょう。

これらの選手らは、最低でも1000万ユーロ(約13億円)以上の移籍金で巣立っていっています。最近では2020年1月にシェフィールド・ユナイテッドへ移籍したノルウェー代表MFサンデル・ベルゲが、2150万ユーロ(約26億円)で移籍しています。

このようにヘンクで主力を担った選手は、総じて高額の移籍金がかかることが明確でしょう。伊東純也もヘンクからステップアップすることを考慮すれば、5大リーグでもそれなりに資金力を持っているクラブであることが条件になってくるでしょう。

5大リーグ移籍=ステップアップなのか?

よく「5大リーグへステップアップしてほしい」という声は出てくるものですが、果たして5大リーグへの移籍はステップアップと言い切れるものでしょうか?

昨年夏にはフィンランド代表DFイェレ・ウロネンが、フランス・リーグアンのブレストへ200万ユーロ(約2億6000万円)で移籍しています。

フィンランド代表の左サイドバックは、2018-2019シーズンの優勝にも大きく貢献した実力者ですが、昨シーズン途中にメキシコ代表DFヘラルド・アルテアガにポジションを奪われてしまいました。

リーグ間で考えると、ベルギーリーグよりも格が上のフランス・リーグアンへの移籍は「ステップアップ」として考えられるでしょう。

しかし、ウロネンは仮にヘンクに残留していた場合、ポジションを奪い返すのは難しかっただろうと考えられます。よって、この移籍は「出場機会を求めた」「環境を変える」といった目的であることが考えられるでしょう。

ウロネンの移籍を考慮すると、単純に5大リーグへ移籍する…と考えるならば、必ずしもヘンクでのパフォーマンスの良し悪しで決まるものではないと考えられます。むしろ、5大リーグのチームならどこでもいいと考えるならば、下手にヘンクで活躍しない方が移籍しやすいのかもしれません。

高額移籍金出すように求めましょう

これらを考慮して考えると、ベルギーリーグ屈指のウイングプレーヤーであり、国内強豪のヘンクの絶対的な主力選手である、伊東純也が5大リーグへ移籍するには、シンプルにこのようなことを考えられます。

5大リーグのクラブが高額移籍金を出せ

ヘンクも自分達の主力選手を安く売るようなことをしようものなら、大きく損するものです。これまでのクラブの経緯を見る通り、根本的に「育てて売る」クラブなので、さすがにタダで放出するわけありません。

それならヘンクが納得する金額を5大リーグのクラブが提示してくれないと、何も始まりません。ましてやベルギーリーグ、ヘンク、伊東純也本人に「5大リーグへ移籍しろ」と言われても困ります。

5大リーグには、ベルギーのクラブよりも金を持っているチームが多いのですから、ケチケチすることなく、少なくとも1000万ユーロ以上はドンッと提示いただくよう、5大リーグのクラブにお願いしていただきたいところです。

5大リーグのクラブがガツンと金を出す!
そうしていただかないと何も始まりません。

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