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誰の味方でもありません

著 古市憲寿

読み終わった本の後ろの既刊紹介で見つけたこの本。
まずタイトルに惹かれて著者を見たら、古市憲寿さんのお名前が。

古市さんのことはテレビなどで知っていたが、どんな人かはよく知らないままだった。

以前、堀江貴文さんやひろゆきさんの本を読んで見た時、本は人柄が出るなぁと強く思った。
(ちなみに私は堀江貴文さんの本は好きでたくさん読んだ)


テレビなどで話している姿を見るより、著書を読む方がその人のことを的確に知ることができる気がする。

なぜなら、テレビは作り手の意思で発言が左右されがちだが、本はその人が伝えたいことが、その人自信が選んだ言葉で表現されているからだ。
(出版社の意見はともかくとして)

本を読んだだけで著者のことがすべて分かるわけではもちろんないが、知らない状態からは進歩できる。

そんなこんなで読み始めたこの本は、結論としてなかなかに面白かった。

社会の色々なテーマを筆者が軽やかに、時に鋭く語っていて、スラスラ読めた。

週刊誌に載せていた文章のあとに、文庫として出版する時点のコメントがついてるのだが、どれもクスっとできて面白い。


この本を読んでいて、著者について何より思ったのが、色々な人に直接会う人なのだなということだ。

この本には色々な人が登場し、へーあの人にはこんな一面があるのか、と楽しく知れた。

実際会って話してみなければ分からない派の私としては、著者の色々な人に会いに行くスタイルがとても素敵だなと思った。

また、「はじめに」で著者は正論の危険さについて触れている。
『はじめから絶対的な正しさを追求するより、違っていたら都度直していけばいいよね』というスタンスに大いに共感した。


せっかく自分の考えや他者の意見を交換しやすくなった現代だが、実際に気軽に交換できるかは別問題だ。

思ったままにTwitterで呟いたら、ネットニュースになって炎上してしまうこともある。

しかし同時に価値観や考え方の多様性を大事にしようという風潮もある。

自分の意見をストレートに発信しようとすれば、誰かを傷付けてしまうことはきっとある。

だって、言葉の受け取り方も人それぞれなのだから。


こんな現代において自己の意見を発信するのには、SNSはリスキーすぎるのかもしれない。
(私自信こうしてnoteに書き続けているけれど)


この本の著者を含め、批判を恐れずに自己の考えを本として出版してくださる方々には心から敬意を表したい。

本として出版はしなくても、人は自己の意見を他者に伝えたい生き物だと思う。

どうすれば、より楽しく心地よく、意見を発信できるのか。

本やSNS以外の方法としては、やっぱり直接話す、のがいいんじゃないかと思い始めた。

色んな考えを持つ人が集まって議論をぶつけ合う。その場の議論は生物だから、たとえ間違いがあったって構わない。
その場で指摘し合い、全体としてブラッシュアップしていけばいい。

人間社会で会議や話し合いが不滅なのには、やはりそれだけの理由があるのだ。

人は、1人で考え発信するより、多数で考えを混ぜて行った方が、より人としての能力を活かせると私は思う。

この本の話からはズレてしまったが、この本のように、世間や社会で起きる様々なことについて他人の考えを聞くのはやっぱり面白いとこの本を読んで改めて思った。

古市さんを社会学者と呼ぶことに少し違和感があったが、この本を読み終わって、
これが令和の(平成の)社会学者なんだなとなんだかすごく納得した。

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