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シャトルバスドライバーは本日も快走中です!!#7

5月11日(土)14:24 「運転手さん!座席に財布の忘れ物がありました。」

 「ショッピングモール→駅」に向かうシャトルバスがターミナル駅に到着すると、降車していた乗客の中の一人の女性が私に声をかけてきた。

 「運転手さん!座席に財布の忘れ物がありました。」

 シャトルバスに乗務していると、「車内の忘れ物」は一定数存在する。
 中でも一番多いのは、やはり「スマホ」だ。私が乗務した1か月で「4回」。その内1回は「スマホ忘れてますよ~」と乗客が別の乗客を追っかけていくこともあった。
 次に多いのが、(私は意外であるのだが)「眼鏡」であり、すでに「2回」経験している。シャトルバスに乗っている間に「眼鏡を外して、そのまま忘れるって、どういう状況?」と私は不思議に思ってしまうのだが、「床に転がってました」を含め、他の乗客が運転席まで持ってきてくれたことがある。
 今回の「財布」は初めてであった。黒の折り畳み式の財布で、サイズ感で言えば「女性もの」っぽい。

 「わざわざ、すいません。ショッピングモールのインフォメーションに届けておきます。」

 私は財布を運転席まで持ってきてくれた女性にお礼を言い、「(その前の便である)ターミナル駅14:00発、忘れ物」とメモ書きした後に運転席横のプラスティックトレーに置いた。

シャトルバス内での「忘れ物」があった場合は「乗務終了時」に「ショッピングモールのインフォメーション」に届ける決まりになっている。

 車内に忘れ物があった場合は「乗務終了時」にインフォメーションに届けることになっている。この日は「土日祝の昼勤務」なので、「乗務終了時刻は18:00」であった。
 私は、実際に困ってしまう人も多いであろうから、「なるべく早く、インフォメーションに届ける」よう心掛けているのだが、以前も書いたことがあるとおり「土日祝の昼勤務」となる、このダイヤは「特にタイト」に設定されており、常に時間に追われがちである。
 基本は1時間走ると、10分休憩が設けられているという感じなのだが、その10分は主に「トイレ休憩」のためだけに設けられていると言っていい。いわゆるカツカツなのだ。

 この時も、「ショッピングに来たはずであろう、そのシャトルバス内で財布を忘れたら、とても困っているだろうな?」という想像は容易にできたのではあるが、「運行ダイヤを遅らせる」ことはできない。仕方のないことであった。

5月11日(土)15:07 「バスの中に、財布の忘れ物ありませんでしたか?」

 ターミナル駅15:00発の私の運転するシャトルバスが「定刻15:07」にショッピングモールに到着したとき、バス停で待っていた「女子中学生であろう2人」が慌てて運転席に駆け寄ってきた。

「すいません。財布の忘れ物ありませんでしたか?14:00くらいに駅から乗ったんですけど・・・」

「これだよね?他のお客さんが届けてくれていたよ」

「コレです!あ~よかった~。 ありがとうございました!!」

 女子中学生と思われる2人は、その「黒の折り畳みの財布」を受け取ると、お互いに顔を見合わせ「よかった~」といいながら、バスを降りて行った。行き先は映画館の方向であった。

 ショッピングモールに併設されている「映画館」は、やはり人気だ。上映時間に合わせて「シャトルバス」に乗ったはずなのに、いざチケットを購入しようとしたら「財布がない!!」となれば、それは「大慌て」だっただろう。

 「やはり、インフォメーションに早く届けてあげたかったな」

と、少し「申し訳なく」思いながら、次の運行準備をしていた。

 「土日祝の昼勤務」は、ショッピングモールに来場する人数が多いことを想定し、目一杯のダイヤが組まれている。そして、実際に乗客は多い。
「こういうイレギュラーもありますし、もう少し余裕があってもいいですよね?どう思います支配人?」
 とても、そう提案できる立場では・・・ない(笑)

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