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シャトルバスドライバーは本日も快走中です!!#12

6月3日(月)21:37 「運転手さん!あんた・・・」

 私の担当するシャトルバスは「ターミナル駅⇔ショッピングモール」を往復している。
 現在の時刻は21:30。「駅→ショッピングモール」の最終バスの時間だ。実際の運行の最終は22:38(ショッピングモール→駅)なのであるが、あくまで「ショッピングモールを利用するお客様」のために運行されているため、「駅→ショッピングモール」の最終バスは、1時間ほど早めに終了する。

 普段、この時間のバスを利用されるお客様は、せいぜい「1~2名」。それも、「通勤に利用している?」と思われるような「クールビズ服装のサラリーマン」的な人ばかりである。

 今日の乗客は「クールビズ服装のサラリーマン」が一人と、もう一人は「ちょっと嫌な感じ」の60代くらいの「現場作業員風のおじさん」の計2名だ。
 なぜ「嫌な感じ」であったかというと、右手に「缶」を持ちながら、シャトルバスに乗り込んできたのがわかったからだ。
 ただ、直接「ビール缶」であったかの確認はできなかったため、「缶」と、ここでは書いたが、「こんな時間に、いい、おじさんが350ml缶を持っていれば、それはビールでしょ!!」という予想だ。
 「飲酒しながらの乗車」に見え、かつ、ショッピングモールの利用者とも思えないのであれば、「さすがに、嫌な感じ」だ。

(酔っ払って、私に絡んでくることはないだろう)

私は、シャトルバスを、定刻どおり出発させた。

 ショッピングモールまでは約7分だ。私はルームミラーでチラチラ、その「おじさん」を確認していたが、目が合うわけでもなく、静かに座ってくれていた。

 ショッピングモールに到着した後に降車扉を開けて、普通に降りてくれると思っていた、その時だった

「運転手さん!!あんた・・・」

と急に声をかけてきた。スッと降りてくれるものと、安心しきっていたところに、不意をつかれてしまった私は

「は、は、はい・・・」と慌てて、返事をした。ここで絡んでくるなんて嘘でしょ?という気持ちだった。

「運転、丁寧で上手やなぁ!!」

私は呆気にとられていたが、

「あ、ありがとうございます。」

とりあえず「お礼らしき言葉」を発した。
 そして、結局のところ「缶を持っていた、おじさん」が酔っ払っているか、どうかは解らなかった。

 つまり、結果的には「単なる、いい、おっちゃんだった」という話だった訳である。

 ただ、そんな「いい、おっちゃん」は一つ「勘違い」をしていた。

 私の運転が丁寧だったのは「おっちゃん」が運行中に「気分が悪い」と言い出さないように、ある意味「監視」をしながら、「かなりアクセルやブレーキを慎重に踏んでいた」ということだ。

 つまり、私は「おっちゃん」を勝手に「面倒くさそうな乗客」認定をしていたことになる。

 「おっちゃんが乗っていなければ、もうちょっとメリハリのある運転していたよ」

まあ、結果オーライなら、ここは黙っておいても、いいだろう。

ゴメンネ!おっちゃん!!


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