「元」通関士が語る「未曾有の疫病、災害時に活躍する通関士」
私の「元」通関士シリーズをお楽しみいただいている皆様。さすがに、もう慣れてきましたでしょうか?
「今回は、そう来たか!!」
皆様の心の声が聞こえてきそうな、今回のテーマは「疫病」「災害」です。
私、「元」通関士が現役通関士または保税責任者であった時代に
「コロナウィルス流行」※現役通関士
「東日本大震災」※成田地区内保税蔵置場責任者
がありました。
今回は、皆様も記憶に新しい「コロナウィルス流行」の時、実際に起きていた
「マスク輸入の舞台裏」
の話をしたいと思います。
未曾有の疫病である「コロナウィルス」の世界的流行により、皆様の中にも、当時は
「マスクの入手に苦労した」
という方も、いらっしゃったことと思います。
現在、一箱「500円」程度で売られているマスクの価格が異常高騰し、コロナウィルス流行の最盛期当時は「一箱3,000円〜5,000円」で売られ、それでも入手出来ない状況も発生していました。
「アベノマスク」
などというものも配布され、もしかすると、今でも「記念に持っている」という方も、いらっしゃるかもしれません。
世の中で
「マスク買えないじゃん!!」
「ドラッグストアーで50箱限定のみ販売?」
「マスクが一箱3,000円とか、嘘でしょ?」
という、舞台裏で、私「元」通関士は皆様の予想どおり
「マスクばかり、輸入申告をしていた。」
ことになります。
当時、私に依頼があった顧客だけでも、毎日「数百カートン」に及ぶ「マスク」が到着し、通関をしておりましたが、同時に、この時は
「本当に異常な状態」
であったと、今でも記憶しています。
「マスク輸入ビジネスで一攫千金」
と言わんばかりに、ありとあらゆる業者から「マスク輸入」の問い合わせや依頼があったのも、「今だからこそ、言える」話です。
日頃から、海外にコネクションがある「海外通販会社、機械メーカーや食品会社」などが、従来から取り扱っている商品とは『別に』、こぞって「(販売用として)マスク」を輸入するという、「マスクビジネス」が始まり、
「おたくは一体、何屋さん?」
と尋ねたくなるような「怪しい」会社も、多く湧いて出てきた印象でもありました。
良い意味で言うと「流行に敏感」であり、悪い意味では「お金に群がる人々」とも言える「ビジネスの現実」に直面するのも、実は「通関士あるある」だと、私は思っています。
他方で
「救援物資」
としての「マスク」も多く到着していたのも事実です。
私の場合は、政府調達のような「公的」な案件に携わるようなことは、ありませんでしたが、
「会社として、独自ルートにより、まとめて海外から入手し、自社の社員に配布することを目的」
とした案件も流れてきました。
当時は、ビジネスとは関係なく、
「自社の社員のため」
として、会社単位で「マスクの入手に必死となっていた企業」もあったことになります。
この記事を読んでいる皆様は「通関士」に興味がある方であるため、少し「お勉強」となりますが、この場合は通常の輸入申告ではなく、
「救援物資等輸入申告書」
で輸入申告が可能となります。申告書の作成方法に興味がある方は、税関HP等で確認していただきたく思います。
このように「コロナウィルス流行による未曾有の疫病発生」時においても、(私のみならず)通関士は
「海外から到着するマスクの通関」
に努め、その輸入目的が「商売の有無」に関わらず、皆様のお手元に届けられるよう、日々奮闘していたことになります。
ここで、皆様は
「元」通関士のアンタは、マスクを入手できていたの?
と疑問に思うかも知れません。
実は、この「マスクビジネス」業者等から、(異常高騰していない、通常の価格として)提供いただくことが可能であったため、
「マスクの入手に困ることは、ありませんでした。」
ということも「今だから言える裏話」と言えるかもしれません。
少々、駆け足にはなりましたが、
「マスク輸入の舞台裏」
は、いかがでしたでしょうか?通関士に興味を持った皆様が「通関士って、おもしろそうだな」と思える記事であったなら、嬉しく思います。
今回も、最後まで読んでいたただき、ありがとうございました。