TOWA TEIレビュー

テイ・トウワ

1990年、ハウスユニット「Deee-lite」のDJとしてデビューし、 1994年からソロ活動開始。 ハウスサウンドを軸にしたポップミュージックを作風とする。 Geisha Girls、今田耕司、板尾創路、「大日本人」のサントラなど、 吉本興業絡みのプロデュース作品が多い。

Future Listening
 A-

[総評]
1994年。ハウスユニット・Deee-liteのメンバーであったテイ・トウワのソロデビューアルバム。 人脈を活用した参加アーティストの豪華さもさる事ながら、 優れたポップセンスから繰り出される楽曲のクオリティも高く、 アーバン、グルーヴィー、スタイリッシュなど、あらゆる形容詞でもって称賛された秀作。 全体的に漂うトロピカルフレーバーが印象的。
ソロデビュー作ながらクオリティの高さは他のアルバムに引けを取らない。 「Technova」「Luv Connection」といった、 テイ・トウワの初期の代表曲というべき曲が並んでいる。

Sound Museum
 C+

[総評]
1997年。 ハウス・ミュージックを軸とした構成なのは変わらないが、 前作にあったラテン的な南国サウンド志向は無くなり、 その一方でヒップホップ、R&B的なサウンドを取り入れるなど、 前作に比べよりブラックミュージック、 アメリカ・ニューヨーク的サウンドにアプローチしている。
前作の「Technova」「Luv Connection」のようなわかりやすい代表曲はないが、 「Time After Time」「Happy」など、落ち着いたR&B調の曲がよい。 後のアルバム(特に2000年以降の作品)は明るい曲調が主流となるため、 こういったサウンドはこのアルバムが最後と言えるかもしれない。

Last Century Modern
 C

[総評]
1999年。 ドラムンベースサウンドを中心とした構成であるのが最大の特徴。 テイトウワ作品の中でドラムンベースを取り入れているのはこのアルバムだけであり、 その点で独自性の高いアルバム。 ドラムンベース以外の曲も、1曲目、2曲目こそ前作までの雰囲気を残しているが、 サウンド的にはこれ以降の作風に近いものとなっている。
「Angel」「Butterfly」のドラムンベース2曲が良い。 その他の曲はジャンルが多岐に渡っており、 盛りだくさんではあるが全体的にやや散漫なアルバム。

FLASH
 B

[総評]
2005年。 Sweet Robots Against The Machine 名義での活動を経て、 テイトウワ名義では6年ぶりとなるアルバム。 「FLASH」「BIG FUN」「SUNNY」のアルバムを三部作としており、サウンドも類似している。 テイトウワサウンドと言うべきスタイルを確立したアルバムとも言え、 これ以降のアルバムはどれもこのアルバムを軸にしたサウンドになっている。
「Milky Way」、「Bianco」はこれ以降のテイトウワサウンドを表現すると言ってもよい、 独特のノンジャンルサウンド。

BIG FUN
 B+

[総評]
2009年。 前作に引き続いたアルバムで、 「FLASH」と比べると、特定のジャンルや国籍を意識させない、 テイトウワ独自のサウンドがより強くなっており、 このアルバムでテイトウワの作風がほぼ完成したと言える。 この「ノンジャンル」的なサウンドはこの三部作における主要なテーマ。
前作よりシンプルなサウンド、ピコピコしたサウンドが増加。 「Taste of You」「Out of My Addiction of Love」「Lyricist」など、 ビートが特徴的な楽曲が良い。 三部作の他アルバムに比べると特徴が多く、 「Siesta」のようなアンビエントフレーバーを感じさせる曲はこのアルバムにしかない。

SUNNY
 B-

[総評]
2011年。前作と前々作で確立したサウンドに大きな変化はなく、 「FLASH」「BIG FUN」と続いた三部作の完結編。 「SUNNY」とタイトルした通り、『ハレの日にしか曲を作らない』というコンセプトがあり、 それを受けてか、三部作の中でも特にポップ部分を抽出したようなアルバム。 それまでもシンセ音は使われていたが、今作ではそれが顕著に表れており、 三部作の中では最も「テクノポップ」的と言えるかもしれない。
明解なテクノポップ「Cloud」、 恐らくこのアルバムのパンチラインであろう「The Burning Plain」などが良い。

LUCKY
 B
-
[総評]
2013年。 前作までの三部作路線を継承しており、 テイトウワサウンドに大きな変化は無い。 前作までのアルバム全てに言えることであるが、 テイ・トウワサウンドが気に入っていれば全て上質なアルバムと言えるし、 ハマらなければどれも同じような内容に感じられてしまう、 という欠点が存在するといえば存在している。
サウンドとしては「SUNNY」と最も共通点が多く、 シンセサウンドが全面に出ている。 高橋幸宏ボーカルと相性が良いのか、 前作同様ボーカルをとった「Radio」が良い。 「Love Forever」はアルバムの最後を飾る曲。 なんともジャンルの形容をし難いが良曲。

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