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GRAPEVINE - きみが嫌い(コード進行分析#4)

こんばんは。
恒例の「好きなコード進行を歌ってみた」シリーズいきまーす。

歌ってみたやつ

本家

(キー:F)
たそがれる…
| Gm | Am | Bbm | Bbm |

見てやろうぜ…
| F | Cm | Bb(9) | Bb(9) C(9) |
見破ろうぜ…
| F | Bm7(b5) | Gm Am | Bbm Am | D7 |

(キー:D)
君の苦悩だとか…
| A(9) | D7 | A(9) | D7 |
誰が好んで…
| A(9) | D7 G | Bb C | D7 |

はい、今回はちょっとマイナーな曲ですが、
僕の大好きなGRAPEVINEです。
GRAPEVINEはコード進行が一筋縄でいかない曲いっぱいあるので、一杯やりたい曲があるんですが、まずは自分の中で一番、コードすげ~って思った曲を。
ちなみに、この曲は転調します。
Aメロが「D」でB、サビが「F」です。

サビ①

まずは、一番のポイント、サビからいきたいと思います。
2小節目と6小節目がキモで、
I度始まりのサビからどのコードに行くのか、、ってところで、
ガツンと予想を裏切ってきます。
で、最初は「F→Cm」!
これは「I → Vm」 になります。

この進行はAメロとかで切なーくダウナーな感じを出すのに使われることが多く、サビで使われることは少ないかなーと僕は思います。
ミスチルの「つよがり」のAメロがこれですね。

で、自分もまあ作曲してて偶にこの進行は使うんですが、
サビで使うのはかなり難しいです。
どうしてもダウナーな雰囲気になるというか、
やっぱりサビ!って感じを作ろうと思ったら、盛り上げていきたい訳で、
このコードで盛り上げるのって難しい。

ちなみに、Vmのよくある使い方としては、
IVに進行するときに、「Vm→I7→IV」と挟むと、ツーファイブの自然な流れでちょっとおしゃれにいけるってのがあるんですが、I→Vmの進行とは全然違いますね。
あくまで個人的なイメージですが、Vmのコードは、同じマイナーコードでもIVmとかImより「強い」響きでメロディになじみにくく、1小節まるっと使う分には勝手が悪いという印象です。

ですが、この曲はガツンと使ってて、このコードの「切なさ」よりも「強さ」が活きたロックなカッコよさがあります。
そして、更に注目すべきは、コードはCm、つまりド、ミ♭、ソなんですが、その部分のメロディが、ラ~ファ~レファ~ なんですよね。
全くコードと合ってないです。そこがまた強い緊張感を生み出しててカッコいい。

サビ②

で、次の5小節目、メロディは同じなんですが、
こちらは1回目と変わって、「F→Bm7(b5)」になります。
「I → #IVm7(b5)」 です。
これもまた、変わってますね。
この進行でサビ作るの難しいと思います。
とはいえ、#IVm7(b5)は表記上は複雑に見えますが、IVM7の代理コードとしてと使われることが多く(IVM7のルートが半音上がった形)、Vmよりも使い勝手は良いです。

また、ここは1回目のCmと違い、
メロディーと、コードの構成音が一致してて、
なんか、切ないんだけど、どことなく、解決されたというか、1回目よりも少しだけ緊張感が和らいでてて、聞いてて気持ちが良いです。ぐっと来ます。

この、同じメロディやけど1回目と2回目でコードを変えて解決した感じを出すっていう手法、狙ってやってるのかわからないですが、めちゃくちゃ高等テクニックじゃないですか?
いやー僕にはこんな曲作れないなー と衝撃を受けた曲でした。
マイナーな曲ですが、運よく(?)この記事に辿り着いた方はぜひ一度聞いてみてこの感じを味わってほしいです。

サビ③

サビの終わりの部分にも触れておきます。
この「Gm → Am → Bbm → Am」は「IIm → IIIm → IVm → IIIm」という進行になりますが、これはよくある進行です。
ノンダイアトニックコードの王道IVmの王道な使い方って感じです。
まさにこの曲と同じようにサビの終わりで使うことが多いと思います。
素直にかっこいいですよね。
といっても、この進行、僕もサビで良く使うんですが、
正直ありがちというか、あざとい感じになっちゃうことが多く、バランスを結構考えないといけないんですが、
この曲に関して言えば、さんざん変なコードを見せつけてからの王道展開なので、より一層、映えるというか、聞いててめちゃくちゃ気持ちいいです。
特にラスサビで畳みかけるところがあるんですが、そこはもう最高です。

さらっとAとBも

言いたいことは言ったんですが、
A、Bの転調にもさらっと触れておきます。

Aの後半の「Bb→C→D7」という展開ですが、
これはKey:Dの「bVI→bVII→I」という、よくあるやつです。
で、この「Bb→C→D7」をKey:Fで考えると「IV→V→VI7」となるんですが、
「VI7」は「IIm」のセカンダリードミナントとして使われるノンダイアトニックコードになってまして、そのあとのBメロの頭の「Gm(IIm)」に綺麗につながってます。

ちなみにこの転調はベーシックなやつで、メジャーからマイナーへの同主調転調です。DメジャーからDマイナー(Fメジャー)に転調してるということですね。bVIとbVIIはDマイナーの6度、7度のコードになってます。

まとめ

というわけで、GRAPEVINEの「きみか嫌い」のコード進行分析でした。
さっきも書きましたが、自分はこの曲がGRAPEVINEの曲の中で一番「サビのコード進行」という観点好きです。初めて聴いたとき「かっこいい!」と衝撃をうけました。
サビの2つ目のコードで聞き手を裏切りつつ、
それでもキャッチーに仕上げるっていうのは作曲の醍醐味って感じがしますね。

ちなみに、この「I度始まりのサビで2つ目のコードが変、でもキャッチー」って括りで「きみが嫌い」より更にすごいと思ってるのはStevie Wonderの「Sir Duke」です。
というか世の中の全楽曲の中での一番すごいと思ってます。
この曲はほんとにすごいんですが、
ある意味、「きみが嫌い」はこの曲に通じるものがあると思ってます。
君が嫌いの「Vm」と「#IVm7-5」の更に一段レベルあげた感じだと思ってます。
これは絶対に歌ってみたいんですが、正直うまく歌えないので歌がもう少しうまくなってからやりたいですね。

という訳で、読んでくださった方ありがとうございました。
さよならー

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