モノが残らないものづくり(長期休校の子供さんのいる親御さんに、何かのヒントになれば) 3月23日2件追加

 新型コロナウィルス流行への対策として発表された臨時休校の要請を受けて書かれたYUKIYAさんのnote記事「休校 家でなにする?」がとてもためになるので、私にもものづくり屋さんの立場からなにか貢献できないかな、と思ってこの記事を書いています。

YUKIYAさんの記事
https://note.com/yukiya_science/n/nb4c1fce73d11


モノが残らないものづくりのススメ

 私は普段いろんな手芸やものづくりをやっているので、家にあるもので手軽にできそうな子供向けの遊びや手芸工作を紹介しようかと思ったのですが…ものづくりが好きな人なら想像がつくかと思いますが、手芸というのは「ものを作る」ことですから、当然ながら、子供と一緒に工作をすれば、出来上がった「作品」が後に残ります。たまの休日に何かひとつ作って家に飾る、というのならともかく、毎日毎日あれこれ作って、出来上がったものが家に溢れかえって、と考えると、それも困りものですよね。子供の作品は親としても捨て難いものですし。

 そこで、今回はあえて「モノが残らないものづくり」の話をしようと思います。
 一番わかりやすいのは多分、お料理ではないでしょうか。自分で食べるものを自分で作る。親子で美味しいものをつくって、食べて楽しむ。長期のお休みになるのなら、せっかくなら時間のかかるお料理に挑戦してもいいかもしれません。いつも時短に使っている圧力鍋の代わりに普通のお鍋でじっくり煮込み料理を作ったり、生地を寝かせる時間の要るアイスボックスクッキーやパン作り。ホットケーキもただ焼くのではなく、ココアや食紅を混ぜてパンケーキアートに挑戦してみたり、お子様ランチ風にちょっとずついろんなものを作ってみたり。

 パンといえば発酵食品作りも、科学の実験みたいで楽しいと思います。甘酒なら保温ポットや水筒でも作れますし、麹がなければ冷蔵庫に入っている納豆で納豆作りなんてどうでしょう。

 お料理以外に自分が食べるものを作る「遊び」として、スプラウトを育てるのも楽しいですよ。最近は色んな種がネット通販で手に入りますから、定番のかいわれやアルファルファ以外にも、ヒマワリの種やマスタード(からし菜)、クローバー等も比較的簡単に発芽させられます。

https://koyukaisa.work/archives/5253
https://gardenstory.jp/gardening/8029

 スプラウト栽培のウェブサイトを見ると、平らなトレーに水を張ってスポンジやティッシュをしいて種をまく、等と書いてあることがありますが、トレー方式だと朝水をやっても夜には乾いてしまっていたり、収穫の時にスポンジの目に入り込んだりティッシュが破れたり、と失敗が多かったので、個人的にはもっと手抜きで失敗しにくいビン栽培をお勧めします。

1. ガラス瓶(ペットボトルでもOK)に種を入れる
2. 倍から3倍程度の水を注いでに数時間浸水させる(浸水時間は種によって異なり、また浸水が不要なものもあります。パッケージの説明を確認してください)
3. 水を切って、毎日2回、朝晩に水でゆすいで水を切る
4. 芽の伸び具合応じて、数日から10日程度で収穫

 とはいえ、これはあくまで「私には合っていた栽培方法」というだけなので、トレーの方が失敗が少ない方もいるかもしれません。また、時間と手間をかけるという意味では、一日中家にいるこの機会に、日に何回か「巡回」してティッシュが乾いていたらスプレーで水をやって、というルーティンを作るのも楽しいことでしょう。朝の水やりは何時、と決めれば学校がお休みでも朝決まった時間に起きる動機付けになりますね。

 注意点としては、豆類は種類にもよりますが腐りやすいので発芽して1~2日くらいで食べてしまった方が失敗が少ないと思います。例えば緑豆を「もやし」になるまで、7~8センチくらい伸びるまで育てよう!と意気込んでも、ちょっと水の量を間違えただけで根腐れを起こして全滅してしまったりするので、目がちょろりと数ミリから1、2センチくらい出たあたりで食べてしまった方が良いと思います。豆が残っている状態では、そのまま食べると豆の部分が硬くて生食には向きませんが、熱湯でさっと茹でて塩とごま油、あればめんつゆをちょろっと入れて豆もやしのナムルにすると豆の部分もホクホクして美味しいですよ。
 逆にスプラウトは、種類によっては育ちすぎると筋っぽくなったり味の落ちるものもありますが、少々なら「収穫」のタイミングを逃しても美味しく食べられます。かいわれやアルファルファあたりならまず失敗はないと思います。

スプラウト栽培について、昔の写真をまとめて動画にしました。

【スプラウト栽培】安い、早い(家庭菜園より)、美味い
https://youtu.be/-EmEXKbzbtM




食べ物以外でも「使ったらなくなる」ものを作って遊ぼう

ホワイトヘナ(ボディペイント)
 ホワイトヘナをご存知でしょうか。ヘナの葉をすり潰して水で練って肌に模様を書く「ヘナタトゥ(メヘンディ)」の白色版です。といっても「ホワイトヘナ」というのは便宜上の名称で、特別な商品や「ホワイトヘナ」が作れる植物があるわけではありません。簡単にいうと、肌に使って問題のない、細い線が引ける白いボディペイントであればなんでも大丈夫。

 私がよく使うのは、ベビーパウダーを水で溶いて、そこに砂糖を足して練ったものです。ベビーパウダーと砂糖を10:1~2位の割合でお皿に入れて、練り歯磨きくらいの固さになるまで水を入れて練ります。砂糖は粘り気を出すのと乾く速さをすこし遅らせるために入れていますが、入れすぎるとべたつくので、少なめに入れて、足りなければ様子をみながらすこしずつ追加してください。ベビーパウダーの代わりにコーンスターチや片栗粉、砂糖の代わりに木工用などのボンド(肌への刺激の少ないものを選んでください)を入れて作る人もいます。市販のボディペイントにコーンスターチを少しずつ足して適当なかたさに練っても良いでしょう。

 これをキッチンペーパーやセロハンに取ってくるくる巻いて先端をちょっと切ってしぼり袋を作るか、先の尖った手芸用のスクイズボトルがあればそれに入れて使いましょう。使い方は、ヘナタトゥーのように肌にしぼり出して絵を描くだけ。フェイスペイントのように顔に描いたり、食紅で色を変えても楽しいですね。

 普通のヘナは植物の汁が肌にしみ込んで皮膚を染めるので、ヘナが乾いてぽろぽろと剥がれた跡に模様が移り、数日から数週間くらいは色が変化しながら模様が残っていますが、ホワイトヘナなら剥がれたらおしまい、色移りはしません(食紅等で着色した場合は、着色料の濃さによって肌に色がつくことはあります)。剥がれなくてもベビーパウダーやコーンスターチなら簡単に洗い流せますし、ボンドを使った場合で、量が多くて肌に貼り付いてしまっても大丈夫、ぬるま湯でふやかして取りましょう。

 水分量など肌によく馴染む配合は一人ひとり違いますし、体に直接つけて使うものなので、初めて作る時は少量取ってパッチテストをした方が安心です。

ホワイトヘナと普通のヘナの写真もまとめて動画にしました。

【ヘナアート】ホワイトヘナの紹介【ヘナタトゥ】
https://youtu.be/tNVzCEhqR-4



バス・ボム(お風呂爆弾)

 バス・ボムというのは浴槽に入れて溶かす入浴剤ですが、体に良い成分がどうのと考え始めるときりがないので、ここで紹介するのはあくまで「楽しむこと」を目的としたバス・ボムの作り方、です。

 基本の材料はベーキングソーダとレモン果汁かレモンジュースだけ。レシピによってはベーキングソーダ2~3に対して1の割合でコーンスターチか片栗粉を入れるものや、お塩やお砂糖、蜂蜜等を入れるレシピもあります。詳しくはないのですが、お塩はスクラブ効果? お砂糖やはちみつは生地がしっとりしてまとまりやすくなるようです。色を付けたければ食紅を使ったり、エッセンシャルオイル等で香りを付けたりもできます。

 作り方は、ボウルにベーキングソーダを出して、少しずつレモン果汁を入れて、全体にしっとりしたら丸めて固めて乾かすだけです。水分を一気に入れるとベーキングソーダが反応してどろどろになってしまうので、スプーンやスプレーボトルで少々ずつ、入れては全体をしっかり混ぜて、また少し入れてよく混ぜて、というふうに全体に馴染ませてください。手順はラムネ作りとよく似ています。全体に粉がしっとりしたら、おにぎりをにぎるようにまとめて形を作ります。大きめの製氷皿やクッキー型にぎゅっと詰めてかためても良いでしょう。そのまま1日くらい、乾くまで置いたらできあがり。

 応用編として、バスボムを丸める時に中に玩具を仕込んでおくと、お風呂でしゅわしゅわ、と溶かした後に玩具が出てきます(水に浮くものの方が一目で分かって楽しいかもしれません)。


3月10日追加 せっけん(MPソープ)

石鹸作りも楽しいのでおすすめしたかったのですが、固形石鹸を作るには苛性ソーダ、液体石鹸だと苛性カリが必要、日本ではいずれも劇物指定されていて購入には身分証明書と判子が必要だそうなので、ちょっと初心者の方にはハードルが高いかなと思ったので見合わせていました。

先日ふと、グリセリンソープなら作る手間もないし工作感覚で楽しめるかも、と思ったので「石鹸」も追加することにしました。

グリセリンソープはMP(Melt & Pour=溶かして注ぐ)ソープとも呼ばれており、熱を加えると溶ける固形の石鹸を電子レンジや湯煎などで溶かして着色したり玩具を入れたりして固めることで、思い思いの色や形の石鹸にすることができます。「グリセリンソープ」で検索するといろいろなアイディアが出てきます。


3月23日追加 動画制作

「モノ」の定義にもよりますが、デジタル作品であれば場所は取らないので、動画制作も楽しいかもしれません。ビデオブログのような内容やストップモーションアニメ等、アイディア次第でいろいろ作れそうです。

ストップモーションアニメ
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1912/03/news035.html


塩や砂糖で砂絵&粘土遊び

入浴用のバスソルトやシュガースクラブに食紅等で色をつけて砂絵(サンドアート)や粘土代わりにすれば、遊んだ後にそのままバスソルトやスクラブとして使えます。ポイントとしては、遊んだ後はすぐ使い切ってしまうこと(特に砂糖を使った場合、雑菌が繁殖しないよう)と、あまり濃い色にすると浴槽やシンクに色がつくかもしれないので、淡めの色合いが良いと思います。こちらも健康効果云々は私はよく知らないので、あくまで遊び道具としての観点になります。


バスソルトの作り方


シュガースクラブの作り方

ボディスクラブの作り方



また、思いついたら足していきますね。日本では休校も解除されるようですが、私の住んでいるあたりではまだ向こう2週間位はお休みになる見通しです。自主隔離など、休校以外の事情でも「時間つぶし」を探しておいでのみなさんに、すこしでも参考になれば幸いです。

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