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国立西洋美術館「ピカソとその時代」展に行ってきた話

初めましての方は、初めまして!NFTアートに、世紀末芸術や、退廃芸術の要素を取り入れた作品を出品している「Sheep dogs」です。
先月、上野の国立西洋美術館にて開かれているピカソ展に行ってきました。
ボリューム満点で、キュビズムを中心に、セザンヌ、ピカソ、マティス、ジャコメッティ、ブラック、クレーらの作品が展示されていました。キュビズムやシュルレアリズム、フォービズムなど第一次世界大戦前後に活躍した画家を中心に取り上げた展覧会で、特にピカソに関しては、絵が描かれた年代ごとに、ガラッと印象が変わっていたので、画風の変遷は見どころのひとつだと思いました。

展覧会の概要について軽く触れると、この美術館展では、ハインツ・ベルクグリューンという近代美術コレクターが、ベルリン国立美術館に所蔵していた作品を展示していて、今回は彼のコレクションに加え、日本の国立美術館の所蔵品を共に展示することで、20世紀の芸術の変遷と、彼らが生きた時代を回顧しつつ、その成果を感じることが出来る展覧会となっているということでした。

パブロ・ピカソ 「ヴァイオリン」 1912-1913年
パブロ・ピカソ 「座って足を拭く裸婦」 1921年
パブロ・ピカソ 「緑色のマニキュアをつけたドラ・マール」 1937年
パブロ・ピカソ 「黄色のセーター」 1939年
パブロ・ピカソ 「男と女」 1969年

 上に並べた作品を見る限り、ピカソの絵には、常に時代の流行を捉えている節がありますよね。なんとなく、描きたいものを描いているというよりは、コレクターにウケるであろう画風に寄せているといった印象を受けました。彼は芸術家だけでなく、マーケティングの才能にも長けていたのだと思います。そうでなければ、これほど世界に名を知られることはなかったでしょうから。

個人的に、魅力的だったのはクレーの作品です。

パウル・クレー 「平面の建築」 1923年
パウル・クレー 「北の地」 1923年
パウル・クレー 「ネクロポリス」 1929年
パウル・クレー 「朱色のアクセントのある方形の抽象的な色彩調和」 1924年

上記に挙げた彼の作品はいずれにも、鮮やかな色彩と幾何学模様が施されていて、統一感がありますよね。NFTアートは、なんといっても、マーケットにおける統一感を重視していますから、彼の作品に通じる物があるのではないかと感じました。

他にも、アンリ・マティスの後期の作品には、一見荒い印象を受ける「切り絵」が展示されていましたが、これは彼が晩年に十二指腸がんを患い、車椅子での生活を余儀なくされてしまったことから、始めたものであったと言われています。

そんな状態になってまでも、彼は、表現者として使命を全うしたんですね。。
かつては、「色彩の魔術師」と言われた彼が行き着いた先に、混合色ではないながらも、鮮やかな原色同士を組み合わせ、切り絵として作品にしていたことがわかりました。あるいは、「色彩の魔術師」として、最期までフォービズムを全うしたのかもしれません。


もともとピカソとキュビズムの鑑賞を目的として来館しましたが、さまざまな発見がありました。この展覧会は、2023年1月22日まで開かれているそうなので、ピカソの名前を知っている方はもちろん、キュビズムやシュルレアリズムに少しでも興味のある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。彼らが、なぜ多面的で幾何学的な表現技法を好んで用いたのか。その答えが見えてくるかもしれません。

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