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神戸⇄長浜往還記29

1000字こえたら投稿します

2024.6.4(火・晴れ)
街に出て妻と買い物。歩いて三宮まで出る。服買う。それから「源八」行ったが閉まっている、あきらめて「屋台寿司」で食べていると、ケンから電話。ケン、ケンの奥さんと合流し、家でだらだらと酒を飲む。



2024.6.5(水・晴れ)
スタジオ我が家。ひさしぶりに石井さんと会う。少しだけギター弾いてもらい、帰ってゆく。西川くんかわりに来る。そこから練習。

2024.6.6(木・晴れ)
一日作業。くたびれ。妻迎えに行き、帰りにドミノピザでピザ買い、ベランダで食べる。



2024.6.7(金・晴れ)
音、とくにベースには左(下降)と右の矢印(上昇)があって、それを正しく入力することが必要だと気づく。長浜へ。


2024.6.8(土・晴れ)
長浜の友人とランニング。のち「びわこ湯」。飲まず。

2024.6.9(日・雨のちくもり)
メルヴィル『白鯨』にとりかかる。飲まず。結婚記念日。三年、あっというまだった。良い方向に流れた。人生。ありがとう。

2024.6.10(月・晴れ)
神戸へ。心は常に揺れ動いている。晩、ミヤジさん、言水くん、高さんと新開地で合流。電車内で黒霧島をストレートでばかばか飲んだあとで、さらに痛飲した。

2024.6.11(火・晴れ)
妻と六甲「しゅはり」までラーメン食べに出かけ、以前暮らしていた大石あたりを歩く。

2024.6.12(水・晴れ)
バンド練習。忙し。

2024.6.13(木・晴れ)
妻とユニバーサルスタジオ・ジャパンへ。結婚記念日のお祝いに、もらったチケットで。晩は「源八」で寿司、のち「しもさわ」でセンベロセット。

2024.6.14(金・くもり)
向田さん映画『ロックと眠れ』イベント。RINKAITEN。黄鶯睍睆(uguisu-naku)で、「VISION」初演。

2024.6.15(土・雨のちくもり)
大阪。太田くん、ニシカズ、辻くんと飲み。最後はYoshia合流。

2024.6.16(日・晴れ)
石段氏とライトノベル打ち合わせ。晩は王子公園で西川、ウワガワ氏交えてミーティング。へとへと。

2024.6.17(月・晴れ)
妻誕生日。晩、市場晩酌セットで飲み。

2024,6.18(火・くもり)
妻の誕生日祝いに三宮「バールチッチャ」行き、前菜盛り合わせ(モッツァレラチーズ!)、しらすとレモンのペペロンチーノ、ビスマルク頼む。
街ですこし買い物して、帰宅。ほとんど満腹で、残り物とデパ地下で買ったガーリック・シュリンプで飲む。

で。ようやく追いついた。日記。いや日記を書く心の余裕。自分の書き物、石段氏との書き物、真舟とわのレコーディングとライブ、向田さんの映画制作、黄鶯睍睆(uguisu-naku)のレコーディング、それからライブに向けた練習、そしてまた別のプロジェクト。

身体がいくつあっても足りない。が、ようやく、ようやくいくつは片付いた。いま大きなため息をついた。書こう。書いて実感してゆこう。ひどかった。日記の中で日記を振り返ってみよう。なぜならここは日記。なにをやったっていいのだ。売り物じゃない。売り物ならなにかをやっちゃだめなのか? わからない。だから考える。答えなんてどうでもいい。マサラが言っていた。ドアを開ければまたドア。おれも向田さんにそういう曲と歌詞を書いた。

マサラがこの歌詞を踏襲してくれていたのか、無意識下にこの歌詞があったのか、それとも完全にシンクロしていたのかどうかはわからない。まあなんでもいい。「VISION」という演目を思いついたのは向田さんから「ライブをやりませんか?」とお誘いをいただいたからだった。6月14日。RINKAITENでのライブ。前日は妻との結婚三年を祝ってもらったチケットでユニバーサルスタジオ・ジャパンに行った。おれは昔何人かで行ったときひとりでバックドラフトにばかり行っていた。待ち時間がすくなくて何度も遊べたから。

大人になると遊園地よりもっと面白い遊びがある。

楽器を弾けない向田さんは、それでもバンドで音を鳴らしてみたい、といつかの夜に言った。コードを押さえない音楽。ギターを弾く技術はいらないが、あるいはリズムに乗る技術はいらないが、間に合わせるとか、判断するとか、そういう、固有の力によって演奏される音楽。そういう固有の力による運動の形式。

メンバーには、五つのセクションに合わせたイメージ画像だけを送った。あとはほとんどぶっつけ本番。全員で合わせたのは本番だけ。マサラと立ち飲み「安い」で打ち合わせて、楽屋でメンバーとまた飲み、その身体で。話すみたいに。おれがテーマを振る、マサラが反応する、あるいは裏切る、西川くんが合いの手を入れる、ウワガワ氏がうかがい、ゆっくり押し込む。呼び込んだ向田さんに手渡したスペシャル・チューニング・ギターは鳴らない。制作をするってとことはこういうことだ。おれはわかってる。だからおれのギターと取り替える。

終演後、聴いていた(見ていた)人から、とても良かったとの言葉をいただいた。わざわざ文章でも。

いい写真

『ロックと眠れ』という映画はたしか上記したが音楽も担当した。マサラは出演している。前作の映画にも。おれと向田さんを引き合わせてくれたのはマサラだ。それがこういう夜になった。なにかを与えるとなにかが変化する。
おれはこの地上を去るとき、みんなからもらったものより一つでも多く返して死にたい。そういうことを考えた。
というようなことを、「吉鳥」で、マサラと、藤岡と、居合わせた初対面の人に話した。でもそのときじゃなかったかもしれない。石段氏と西川くんとウワガワ氏の「とりひげ」のときにもその話をした。気に入っている話なのだ。だっておれはそう決めたのだ。ひとつ揺るがないものが決まった。これがどれだけ嬉しいことか。「とりひげ」の前には「一燈園」で串カツを食った。昔ここには辻くんと来た。「今の藁ちゃんはちょっと違うで」と辻くんは雄哉に言った。第三ビル。「ふくじゅ」で。こないだ。いつやっけ。日記を見る。土曜日か。どれも並列だ。どの毎日も輝きすぎて一向に処理が追いつかない。妻が友達から誕生日プレゼントでオタマトーンをもらった。それで今日はスピッツの「チェリー」を合奏した。あれ? 一緒に演奏したん、今日やんな? おれはいま妻にたずねる。いま。いまはもう日記上では厳密にはその存在が許されない6月19日(水・いまのところおそらく晴れ)になっていて、今日は黄鶯睍睆(uguisu-naku)の制作だ。でもおれの頭の中ではまだ先週の黄鶯睍睆(uguisu-naku)の制作も終わっていない、そう、はじめて西川くんの曲をやってみたり…

な? だからこうやって内的宇宙は無限に膨張する、そのために、キーワードを書いておく。天気、人、それからなるべく食べたもの。それが記憶を再生する装置だ。そうやって、あたらしい明日のためにお前は次々に書いてすべてもう忘れろ。今日は「バールチッチャ」に行った。それはもう書いた。ベランダで妻とアイスコーヒーを飲んだ。一日うとうとしていた。昨日は「湊河湯」に行った。サウナ。そうだ、また長浜に行くのだ。そこであたらしい友達と走ってサウナに行く。あたらしい友達。あたらしい友情。きっとホテルでおれはすべてを忘れてユニコーンのあの歌みたいに眠る眠る眠る。

すべて酒とレコードと本に使わせていただきます。