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20150718 『この世界の片隅に』 制作支援メンバーズミーティング@広島青少年センター

自分が「映画に出資する」という行為をする日がくるとは、
夢にもおもっていませんでした。

来年秋公開予定の映画、片渕須直監督『この世界の片隅に』は、
クラウドファンディングサイト「Makuake」で制作資金をつのり、
結果、3,374名から、3,600万円超の金額があつまりました。
この制作支援のリターンとしておこなわれたのが、今回のミーティングです。
片淵監督、MAPPA丸山正雄プロデューサー、GENCO真木太郎プロデューサーら
映画関係者が登壇し、
現在の進捗状況やアニメーション製作秘話などを語るものとなりました。

以下、箇条書きで。

◯映画の舞台となる広島県での開催。
地元のテレビ局も取材にきていて、何人かの参加者にインタビューをしていた。

◯客層は、いわゆるアニメファンも多いけど、ご年配の方々もけっこう見られる。
題材が題材なので、興味をもたれたのか。
若い人たちは、現場でツイッターをしている率がかなり高かった(ぼくもですが…)。

◯原作上巻のエピソード「冬の記憶」の映像化がギリギリ間に合い、
この日広島で初お披露目。
Windowsで開いたファイルには「0715」と。ホントにギリギリ…。
ただし劇伴やSE、セリフなどの音声はついておらず、外画風に字幕つき。

◯こうの史代先生のあの絵が、絵のままでうごいてる!
なかなか表現しづらいですが、ぬるぬるうごくとかそういうのじゃなくて、
マンガを読むときにじぶんの脳内で勝手にキャラをうごかしているのを、
そのまま再現したような印象。見ていて疲れない。
こういうアニメーションのつくりかたがあったのか、と目からウロコ。

◯都道府県別で支援メンバーが多かったのは、
1位東京、2位神奈川につづいて、3位広島とのこと。
製作決定発表後、各地の映画館から「ウチでかけたい」と声がかかっていて、
興行の心配はどうやらなさそう。

◯現在の状況報告によると、脚本は完成。
作画は170カットが完成、420カットが打ち合わせ終了。
クラウドファンディングで制作費用が増えたことで、
スタッフも、線画を描く8人だけだったのが、美術スタッフ含め16人に増加。
声優は、秋〜冬までには決めたい。そろそろオーディションを考えている、と。

◯マンガの時点ですでに、こうのさんが当時のことをこまかく調べあげて、
年表をつくったうえで、ストーリーを考えていったのだそう。
その原作をアニメーションにするうえで、片淵監督らがかかえたさまざまな疑問。
・どうして道端の子供たちはヨーヨーをしているのか?
・女性の服装は、いつからモンペをはいたり名札をつけたりしたのか?
・背景にある建物は、当時どのような形になっていたのか?
これらの疑問を、呉市や広島市の資料を見たり、現地の方に聞いたりして、
ひとつひとつ解決し、アニメーションの絵としてつくりあげていく。
気のとおくなる作業ですが、これがまだ終わっていないという…。

◯上巻第6回、すずさんが広島駅をスケッチするシーン。
当時の広島駅は、戦前や現在の形と違っており、その写真を探していたそうですが、
戦時中は駅の写真も機密扱いで撮れなかったのか、見つからなかったそう。
なのでこのシーンは、広島駅から福屋デパートに変更になりました、とのこと。
しかもそのカットはまだできておらず、
「これからどうするか、また考えなおします」(片淵監督)。ど、どうなる…。

◯呉市で大空襲があったときには、広島市からたくさんのおにぎりが送られ、
広島市に原爆が投下されたときには、呉市からおおくの消防車がかけつけたそう。
(その結果、呉市の人たちも放射能被曝をしたという)
こうした近隣の助け合いという姿は、
3.11後にたくさんの人たちが救援物資を送ったことに引きつけられる、と片淵監督。

◯『この世界の片隅に』の「この世界」は、
いまぼくたちが生きているこの世界と、隔絶した世界ではない。
普通に存在し、人が生きている、当たり前の世界なのだ。

◯まだ音声もない、いろんな場面をつなぎあわせたパイロットフィルム。
ですが、原作のあの場面、この場面が瞬時に思い起こされて、感情が揺さぶられる。
すずさんと周作のキスシーンは、絵柄がかわいい分、かえってゾクゾクするものが。
だって、キスして、目を見交わして微笑んで、またキスですよ?こっちが照れるわい!
いやあ、実写で見るよりもエロティックなのは不思議だなあ。
そして、かわいらしい晴美ちゃんの姿に、この段階でもう涙腺が決壊。
先の展開を知っているだけにね…。

◯パイロットフィルムを2回、そして「冬の記憶」も片淵監督の要望で2回上映。
なんという太っ腹!(かわりに、用意されていた質疑応答はカットになりました)
初見では涙ウルウルでしたが、今度はいろいろ目に焼きつけようと凝視。

◯楠公飯って、実際おいしいんですかね…?

◯片淵監督「パイロットフィルムに出ていた呉服屋についてたくさん教えてもらったが、
映像にはほんの3秒程度しか映らない。
でも、映画のなかではとても大事な3秒。
何回も見ていただけるような作品にしたい」

◯最後に参加者と一緒に記念撮影をして終了。お疲れ様でした。

◯会場の外に出てふと見わたすと、
パイロットフィルムにも出ていたあの原爆ドームが目の前に。
じぶんが歩いていたあの場所で、あの道で、悲劇はあの日たしかに起きた。
ミーティング前とおなじものを見ているはずなのに、見える印象がかわった気分。
「この世界」はつながっているのだ。

これほどひとつの映画に対して、前のめりになっていることは初めてです。
自分のお金を出している、というのもあるでしょうが、
とにかくたくさんの人に見てほしい。ヒットしてほしい。評価されてほしい。
「わかる人がわかればいい」なんてことは、今回かぎりは言いません。
ぼくも作品をつくる一メンバーとして、どんどん拡散、プッシュしていきます。
みなさま、どうか来年の秋、よろしくお願い致します。m(__)m

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