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フーシ派によるUAEの攻撃について 風刺画から見る中東情勢#37

今年に入ってからイエメンのフーシ派からUAEやサウジに対する攻撃が頻発に発生している。またフーシ派に対する報復攻撃も行われている。

1月17日:フーシ派がUAEアブダビの空港と石油施設にドローン攻撃。

1月21日:サウジ/UAEがイエメンの北部サーダ州を空爆。

1月23日:フーシ派がサウジ南部に弾道ミサイル発射。

1月24日:フーシ派がUAEアブダビに向けて2発の弾道ミサイルを発射

1月31日:フーシ派がUAEに向けて弾道ミサイル1発発射。

また30日はイスラエルのヘルツォグ大統領がUAEを訪問しているタイミングであった。

またこれらの背景として、イランの統制力の低下(イランのフーシ派に対する影響力の低下)により、フーシ派がイランの了承なしで独自にこれらの攻撃を展開しているという見方がある。

またこれらのフーシ派からUAEへの攻撃に対して、アメリカはUAEに戦闘機の派遣を発表。

というように、最近急激に中東情勢が過激化している。

さまざまなアクターが参加し、それぞれの利害関係が複雑に入り組んでいる。

そこで本日の風刺画。これまでも彼の作品を何度も紹介しているが、今回もヨルダンの風刺画家エマード・ハッジャージュ氏の作品だ。

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出典:Twitter / @EmadHajjaj / 20220120

 『ドローン戦』と題されたこちらの風刺画。

中央の大きな戦闘機はUAEのドローン(無人戦闘機)でしょう。手からはお金をバラまいています。それに向かう右上のドローンはイラン、右下のドローンはフーシ派でしょう。それぞれの伝統的な服装からそう判断できます。

風刺が効いているのは、操縦者として描かれているのが、イラン、アメリカ、イスラエルであるということです。

イラン、フーシのドローンはイランが操っている。しかしUAEのドローンを操っているのは、アメリカやイスラエルでしょうか。

アメリカのUAEに対する戦闘機支援、イスラエルのUAE訪問などの背景を踏まえても、そのように言えるのかもしれません。

そもそも、イエメンはサウジ/UAE vs イランの代理戦争の舞台となっておりましたが、そこにアメリカやイスラエルの思惑も入り込んでくる。イランが操っていると思われていたフーシ派でさえも、いまやその手を離れ独自で動き出しています。

ついでに他の風刺画も紹介しておきましょう。

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出典:Twitter / @blaibel / 20220118

レバノンの風刺画家ハッサン・ブレイベル氏の作品。

UAEとフーシ派のその大きさが対照的ですね。またUAEをブルジュ・ハリーファをはじめとするその建物のシルエットで戦闘時を表現しているところも面白いです。

つづいて、イエメンの風刺画家シューガア氏の作品。

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出典:twitter / @mazin_shugaa / 20220116

こちらもイエメン(フーシ派)とUAEの規模感が対照的ですね。

しかし、これかが何かがおきること、まさに何かが起こる直前であることをしめしていて、中東の緊迫感を伝えています。

本件、何もないことを祈りますが、引き続き現在進行中の出来事として継続の必要アリです。

それでは。

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