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書評#01 『敗者のゲーム』

 今回noteを始めるにあたり、既読の本の備忘録も兼ねて、書評を書いてみることにしました。
 実際に書いてみて、書評というより、本の内容を使った解説のような感じになってしまいました……。その点は、反省点です。
 一応それでも、本で書かれている重要な内容は、一通り書いたつもりです。もしよければ、最後までお読みいただけると幸いです。 



 皆さんは、投資というものに興味があるでしょうか。
 今年から新NISA(少額投資非課税制度)が始まりました。世の中の投資熱が高まっていることもあってか、日経平均株価がバブル期以来(33年ぶり!)の高値を更新しています(1月15日現在)。
 しかし、投資などしたことがない、ギャンブルと何が違うのか、と考える人もいるでしょう。そんな方にぜひ手に取ってみてほしいのが、チャールズ・エリス氏著の『敗者のゲーム』です。

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 この本では、著者が集めた豊富なデータと自らの実践経験をもとに、「投資で取るべき戦術」について説明されています。今回は、この本について解説していきたいと思います。

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 著者がこの本で言いたいことは、主に以下の目次に書いた3点です。順番に見ていきましょう。

1.株式投資は、インデックス投資をするべきだ。

 そもそも、投資、と聞いて、皆さんが思い浮かべるのは、どのようなイメージでしょうか。
 例えば、パソコンの前に座って、複数のモニターで株価の値動きを見ながら、下がった株を売って、上がった株を売って儲ける……。そんな感じではないでしょうか。
 このような運用の仕方を「アクティブ投資」といい、メディアに出ているような投資家は、ほとんどこの方法を取っていると思います。
 しかし、このような方法で成功する人は、ごく一部です。著者によると、アクティブ投資で長期的に資産を増やせている人は、全体の10%程度しかいないそうです。
 また、私たちのような一般人は、株価を常に見ることなどできません。ですから、アクティブ投資は現実的な方法ではないでしょう。

 そこで登場するのが『インデックス投資』です。インデックス投資とは「指数に連動する運用成果を目指す投資方法」のことです。TVのニュースなどで、「日経平均株価」や「TOPIX」という言葉を聞いたことはないでしょうか。ここでいう指数とは、このような「株式市場全体の数字」のことです。この数字と同じような値動きをするように投資する方法が、インデックス投資です。
 著者は、「長期間のインデックス投資をすることで、リスクをなるべく少なくして投資ができる」と言っています。次の図を見てください。

チャールズ・エリス著『敗者のゲーム』より引用

 この図を見るとデータ上、「20年以上の長期で株式投資を行なった場合、収益率は0%を超える」ということが分かります。つまり、リスクが限りなく少ない状態で、投資をすることができるというわけです。逆に、キャッシュ(現金)はほとんど増えない、ということが分かります。
 ただ、インデックス投資は経済成長(平均株価が右肩上がりになる)ことを前提にしています。そのため「今後の日本には経済成長が見込めないから、インデックス投資なんてできない!」という考え方もあるでしょう。その場合、海外に投資するという選択肢もあります。例えば、S&P500(アメリカの平均株価)や全世界株式(オールカントリー、通称・オルカン)などがよく挙げられます。日本の経済成長に期待ができないなら、こちらを選ぶというのも手でしょう。
(※実際に売れている商品も、この2つに連動するものが多いようです(2023年1月現在))

 しかし、私たちのような資金の少ない一般人が、「日経平均株価」や「TOPIX」のような、指数と同じように動く投資ができるのでしょうか。
 それを可能にするのが「投資信託」です。投資信託とは「みんなから集めたお金を一つにまとめ、運用のプロが株式などに投資して運用する商品」のことです。つまり、私たちのお金を、投資のプロが運用してくれて、増やしてくれる商品ということですね。
 投資のプロというと、「それ詐欺じゃない?」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際に売れている投資信託は、銀行や証券会社などが運用しています。もちろん、投資ですから、損をする可能性はあります。しかし、お金を持ち逃げされる、などの詐欺的なリスクは、極めて少ないと言えるでしょう。
 以上のことから、「株式投資をするなら、長期でインデックスの投資信託を買うべき」という結論になります。
 ちなみに、アクティブ投資の投資信託もあります。しかし、そもそも手数料が高く(著者は、「手数料は出来る限り少ない方が良い」と書いています)、しかもインデックス投資に90%が勝てない、というデータがあると筆者は書いています。ですから、あまりおすすめではないと言えるでしょう。

2.「どの商品を買うか」よりも、「長期的な資産計画の策定」に重点をおくべきだ。

 では、インデックスの投資信託を買うと決めたら、具体的には何を買えば良いのでしょうか。実は、一口にインデックスの投資信託と言っても、色々あります。例えば、日経平均株価に連動する投資信託だと、NISAの対象になっているものだけでも23個も(!)あります。

金融庁の Webページより引用「https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/26.pdf」

 しかし、筆者は、それぞれの銘柄には(手数料さえ安ければ)それほど拘らなくても良い、と書いています。むしろ大切なのは「長期的な資産計画」をどのように作るか、だということです。
 例えば、結婚・出産・家や車の購入・教育費・老後の資金など、一生のうちには、お金が必要になるタイミングがあります。それをしっかり考えた上で、「現金・株式(投資信託)・不動産などの資産を、どのような割合で持つか、どうやって使っていくかの長期計画を立てることに時間を使うべきだ」と言っているのです。
 これには正解がありません。子どもの数も各家庭で違うでしょうし、そもそも独身で生きていく人もいるでしょう。それぞれの人生にあった計画を立てることが大切です。
 ただ、どんな人生を歩むにおいても、「老後の資金」は必ず必要になってきます。それを現金で貯金し続けても、前図のように、増えることはほぼありません。ですから、もし資産が現金や不動産しかない状態なら、とりあえず株式投資を始めてみるのも良いのではないでしょうか。

3.多少の値動きは気にせず、策定した資産計画を堅持していくことが大切だ。

 さて、ここまで書いてきましたが、投資について一番恐れる事態は、やはり損をすること(元本割れ)でしょう。投資に絶対はありません。増えることもあれば、減ることもあります。自分の大切な資産が減ってしまったら、不安になり、投資信託を売ってしまうかもしれません。
 しかし筆者は、「多少の値動きは、どの時代でも必ずある。しかし、それは恐れる事態ではない。むしろ、一番恐れるべき事態は、一時の値動きに惑わされて、投資をやめてしまうことだ」と書いています。
 これは逆に言うと、「多少の値動きで売らなければならないような資産は、投資に回すべきではない」と言えるのではないでしょうか。「生活防衛資金(万が一のトラブルに備えて貯めておくお金)まで投資に回してはいけない」ということも、ここから言えそうです。
 以上のことから筆者は、とにかく長期的な目線で投資を考えよう、と書いていると言えるのと思います。
 とある運用会社の人間が言ったとされる、
「投資で運用成績が最も良かった人は、運用していることを忘れていた人だ」
という言葉は、下手に売り買いをせず、長期で投資していくことの大切さを教えてくれているのかもしれませんね。

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 以上が、「敗者のゲーム」で書かれている内容になります。
 今回は割愛した「稲妻の輝く瞬間」などの有名な言葉もありますので、興味を持たれた方は、ぜひ手に取っていただけると幸いです。



 初めての書評、いかがでしたでしょうか……。
 もしよければ、感想など教えていただけると、非常に嬉しいです。
 最後までお読みいただき、有難うございました。

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