校長スケッチ パプリカ

MIKAWA通信 2020年新春号掲載

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。新しい年を迎え、本年も皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
 所で、昨年は『パプリカ』という曲が流行しましたね。実の所、私もあの踊りを覚えた口です。パプリカという野菜はほんのり甘い程度で、唸るほど不味くも美味くも無いものですが、料理の彩りを考えると大変重宝する万能選手ですね。あれほど綺麗な赤、黄、橙の色を揃えてくれて、且つ味的に主菜の邪魔をしない食材はそうそう無いのでは。実際によく使われていて、「しょっちゅうパプリカ食べているなぁ~」と感じています。
しょっちゅう食べているものの中で、パプリカとは真逆の野菜を今思いつきました。「生姜」です。兎に角生姜は主張が強いので、「あっ、今日は生姜入っている」と直ぐにバレバレです。入れすぎると料理の邪魔をしますし、彩りの役にも立ちません。しかし、あのピリピリの温まり感を求めて冬場は良く使われます。食べた後は「なんか今日は体に良い事をした」といった善行後の充足感も得られるので、凄い野菜だと思います。曲の『パプリカ』は響きの可愛さから付けられたようですが、生姜にはポップな可愛さは無いですね。地味にパンチのある曲ができた時はタイトルに使ってほしいです。因みに私は生姜が大好きで、無闇に料理へ入れる派です。
今回野菜のことを書いていますが、微妙な選別で草や実が食用になっていたりするような気もします。特に思うのは牛蒡。お国によっては「それ、ただの根っこじゃないの!?」と思うでしょう。味の主張は弱いですが、灰汁が強く(本当は灰汁ではなくクロロゲン酸が溶け出しているらしいです)、処理が面倒だけど繊維が健康的で、食べられる!と気づいてくれた昔の人に感謝です。
 世の中、本当に色んな野菜があって、それぞれの個性は大変豊かです。その個性を上手に活用するのがお料理だと思うのですが、人間社会も同じだと感じます。「この野菜美味しくな~い!」と思うものも、調理によっては美味しかったり、大人になったら美味しく感じたり、形を変えたら気づかず食べたり、どんな野菜も上手に使えば確実に肉体成長と健康維持の役に立ちます。私達も周囲の人々に対して、まず理解すること、良さを見つけること、手を貸すこと等を実行していけば、社会は平和を醸し出す美味しい料理のようなものになっていくのではないでしょうか。2020年、相互理解をまず私達から発信していきたいと思います。

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