シェア
やばい。 これ、絶対、怒られる。 ある日、会社に1本の電話がかかってきた。 「シャープが発売している補聴器『メディカルリスニングプラグ』のご担当者はいらっしゃいますか?」 お客さまからの電話が、営業担当の僕のところに回ってきた。 電話をかけてきた相手はお医者さんだ。難聴診療のエキスパートで、専門の先生の間でもよく知られるドクターだった。わざわざ電話をいただくなんて…これは、やばい。 僕は思った。これ、絶対、怒られるやつだ。 お医者さんからの1本の電話 なぜ僕
[1] 雷鳴 聞いて驚け。 私の拍手はスペイン仕込みだ。 山手線のホームは帰宅を急ぐ人々でごった返していた。大学を卒業して数年ぶりに出くわした友人は、昔とおんなじ顔で花帆にニッと笑いかけて言った。 拍手だ?突然、なにを言ってるんだ、この人は?と花帆は早瀬健太の顔をじっと見つめ返した。どうやら本気で言ってるらしい。 いいでしょう、やってやろうじゃないの、と花帆は心の中で胸を張る。先日、会社の先輩に招待され、フラメンコ教室の発表会を観に行ったばかりだ。いつもきれいめ系フ