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Society 5.0とeシール

こんにちは。IPO支援・労使トラブル防止やハラスメント防止などのコンサルティング・就業規則や人事評価制度などの作成や改定・HRテクノロジー導入支援・各種セミナー講師などを行っている社会保険労務士法人シグナル代表の特定社会保険労務士有馬美帆(@sharoushisignal)です。

トップ画像の資料出所:組織が発行するデータの信頼性を確保する制度に関する検討会取りまとめ(案)


Society5.0(ソサエティ5.0)」という言葉をご存じですか?

内閣府が「第5期科学技術基本計画」で定義したもの で、「サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会(Society)」のことだそうです。

狩猟社会(1.0)→農耕社会(2.0)→工業社会(3.0)→情報社会(4.0)

と、人類は進歩してきました。現代がインターネットやPC、スマートフォンが欠かせない情報社会であることは皆さんご納得だと思いますが、なんとその先の社会を目指しているのですね!

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資料出所:内閣府ホームページ



HRテクノロジーシステムもかなり普及してきていますが、これも現状はSociety4.0からSociety5.0に向かって動き始めた段階といえます。
Society 5.0は「イノベーション」で様々な社会的な課題を解決する社会ですので、HRテクノロジーシステムがどのように進化するのかなど、興味がいろいろ湧いてくる話です。


このSociety5.0に関して、現在総務省が、「組織が発行するデータの信頼性を確保する制度に関する検討会取りまとめ(案)及びeシールに係る指針(案)に対する意見の公募について」というパブリックコメントの募集をしています。

一読しただけでは意味がさっぱりわからない上に、「eシール」という目新しい用語まで登場するこの指針(案)が気になって、調べてみました。


どうやら、紙ベース(紙文書)のやり取りをデジタルベース(電子データ)のやり取りへと移行していく際に、組織が発行する電子文書などの電子データの真正性をどう担保するかについての検討を行っているということのようです。

そして、その担保する方法(トラストサービス)の1つとしてeシール(Electric Seal)を採用する際の問題点を検討しているということです。

eシールとは総務省のトラストサービスに関するワーキンググループによると、「電子データを発行した組織として、組織の正当性を確認できる仕組み」だそうですが、具体的にはデータの改ざんを防ぐ仕組みのようです。


電子文書の例としては、電子契約書や電子領収書などが挙げられるのですが、たとえば家電量販店が発行した電子領収書が①そもそもその家電量販店が発行したものと信頼できるのか、②その家電量販店が発行したものだとしても、文書の記載内容(金額や日付など)が真正なものと信頼できるのか、などが問題になります。

特に②に関しては、発行時には真正なものであっても、その後に内容が改ざんされてしまう可能性が、紙文書以上に電子文書は大きい面があります。紙はローテクのように思われますが、実は書き換えたりすると、不自然さですぐバレてしまったりしますよね。ところがデジタル技術だと見分けがつかないから大変です。


そこで総務省は、EUが定めたトラストサービスの統一基準である「eIDAS規則」(イーアイダス規則)を参考に、eシールなどの日本版を定めようとしているわけですが、とにかく論点が多いのですね。

たとえば、「組織の正当性」とありますが、これを「法人」に限ってしまうと、法人でない団体や個人事業主が利用できなくなってしまいますし、「法人」についても事業部レベルや支社レベルでの証明をしたいというニーズが出てくるわけです。これらのニーズに応えようとすると、かなり巨大なシステムを構築しないといけません。


さらに、このシステムをゼロから作り出すならある意味楽なのですが、すでに法人番号やマイナンバーなど、さまざまな行政のデータベースや本人確認方法があるので、それとの連携も考えなければいけません。
加えて、すでに民間で用意している改ざん防止方法との関係も考える必要があります)。ということで、総務省が現在あれこれ検討中だから皆さん意見を聞かせてくださいね、という段階なのですね。


以前、「はんこをやめろ」のニュースについてお伝えしましたが、そのときに「はんこをやめて大丈夫?」という疑問を抱いていたのも事実です。この問題も、今回のような議論を通じて、新しい方法は生み出されていくのでしょう。


Society 5.0の到来にはまだまだ時間がかかりそうですが、デジタルデータの信頼性の問題は、Society 4.0の課題でもあります。今回は簡単なご紹介になりましたが、今後もこの問題については、いろいろと追いかけてお伝えしようと思っています。


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