東南アジアは、中国電気自動車(EV)に支配される----この記事は正しい!

いま、世界の自動車業界は、百年に一度という大変革期を迎えている。
それが、電気自動車(EV)だ!
いまは、踊り場に差し掛かっているが、やがて、普及に拍車がかかる。

その牽引役が中国🇨🇳だ!
その先陣を切るのが、BYDだ!

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アメリカやヨーロッパなどの先進国は、中国からのEVなだれを阻止するため、50〜100%の関税をかけると宣言している。
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しかし、世界人口80億人のうち、アメリカは、3.3億人、EUは、4.5億人であり、合わせて、7.8億人に過ぎない。
日本、韓国、オーストラリアなどを入れても、約11億人であり、69億人は、発展途上国が占める。
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中国は、この69億人をターゲットにすれば、生きていけるのだ!
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(c)harbeman240712
Deep thinking yields imagination

Smartnewsを引用する。
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中国EV企業の果てなき野心! 東南アジア市場 支配のカギ「5000kmの充電回廊」とは何か? 産業構造の大転換はもう始まっている
川名美知太郎(EVライター)
急増する中国EVの市場シェア
ジーカー「001」(画像:ジーカー)

 東南アジアでは著しい経済成長が続いている。日本貿易振興機構(JETRO)によれば、2025年の東南アジアの実質GDP成長予測は平均4.6%だ。フィリピンの成長予測は6.1%。続いて、カンボジアが6.0%、ベトナムが5.8%など極めて高い。
【画像】EV失速?復活? これが販売台数の「最新データ」です!
 東南アジアは、世界経済の新たな成長エンジンとして注目されている。この地域の経済成長は、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国によってけん引されている。
 ASEANは、東南アジアの地域協力機構として1967年に設立され、現在10か国が加盟している。さらに、東ティモールが加盟準備中であり、これが実現すれば域内のすべての国家がASEANに参加することになる。
 設立時には日本のGDPの約10分の1にすぎなかったが、2023年には日本とほぼ肩を並べるまでに成長。2023年の名目GDP(国内で生産されたモノやサービスの付加価値を表す国内総生産)を比較すると、日本が約42308億ドルであるのに対し、ASEANは約90%にあたる
「約38620億ドル」
まで迫っている。
 このようなASEANの急速な経済成長は、世界中の企業にとって大きなチャンスを提供している。特に、次世代の成長産業として期待される電気自動車(EV)分野において、重要な戦略的位置を占めるようになっている。

 そのなかでも、中国EV企業の積極的な進出は際立っている。米外交専門誌『ディプロマット』202432日付に掲載された記事によれば、2023年第1四半期の東南アジアにおけるEV販売は前年比で2倍以上に増加したとしている。原文は次のとおりだ。
Counterpoint’s data reported a significant uptick in market share for Chinese auto companies in Southeast Asia last year, jumping from 38 percent in 2022 to nearly 75 percent in 2023.(カウンターポイントのデータによると、東南アジアにおける中国自動車メーカーの市場シェアは昨年大幅に上昇し、2022年の38%から2023年には75%近くまで増加した」
中国EV企業の現地戦略
タイ・バンコク(画像:写真AC
 なかでも、
・比亜迪(BYD
・長城
・上汽通用五菱
・吉利
は積極的に事業を展開している。彼らは単に中国で造った自動車を輸出するだけではなく、次のような取り組みを行っている。
・現地での車の生産
・部品の現地調達
・販売網の構築
・研究開発拠点の設置
・充電設備の整備

売るだけでなく、生産から販売後のサポートまで、幅広い分野で現地に根付くための活動を展開しているのだ。
 中国EV企業が、こうした方針を採っているのはなぜか――。立正大学教授・苑志佳(えん しか)氏の「中国EV企業の海外進出の市場選択と進出段階に関する分析」(『立正大学経済学季報』734号)では、各国の産業戦略との関連性に着目している。
 中国は世界中でEV市場の拡大を目指している。一方、東南アジア諸国は中国EV企業の工場誘致を通じて、自国の産業発展を図ろうとしている。この両者の思惑が合致しているのだ。
 苑氏の研究によれば、タイの事例が特に興味深い。タイはこれまで、ガソリン車の生産でアジアのデトロイトと呼ばれてきた。現在、タイ政府はEV産業育成に力を入れている。具体的には
EVへの補助金支給
EV関連の物品税減免
をとおして、将来的に
EVの現地生産拡大
・雇用の創出
EV輸出の中心地としての地位確立
という目標を達成しようとしているのだ。
「グリーン充電回廊」構想の進展
立正大学教授・苑志佳(えん しか)氏の論文「中国EV企業の海外進出の市場選択と進出段階に関する分析」(画像:立正大学)

 前述の論文「中国EV企業の海外進出の市場選択と進出段階に関する分析」で、苑氏はこう記している。
「実際、タイ政府の誘致政策に呼応し、上海汽車、長城汽車、といった中国メーカーは、タイでのEV生産を開始するプログラムに呼応し、現地生産に向けた準備を進めている。そして、すでに現地生産を開始した上海汽車と長城汽車は、タイ進出の共通点を持っている。つまり、上海汽車と長城汽車は、アジア事業を縮小した欧米自動車企業からタイの生産工場を買収後、改修を行いEVの生産を行っている。例えば、長城汽車は2020年にはアメリカのGM社のタイ・ラヨーン工場を買収した。同工場は長城汽車のEV 生産と輸出の中核拠点という位置づけである」
 このような動きは、中国EV企業とタイ政府の思惑が絶妙にかみ合った結果といえる。中国企業にとっては、既存の設備を活用してコストを抑えつつ、新たな市場に迅速に進出できるメリットがある。一方、タイ政府の視点では、最先端のEV技術と大規模な投資を呼び込みつつ、遊休化しかけていた生産拠点を再活性化させる絶好の機会となっている。
 このウィンウィン関係が、東南アジアにおける中国EV急拡大の原動力となっているのだ。中国企業の積極的な海外展開戦略と、タイをはじめとする東南アジア各国のEV産業育成策が相乗効果を生み出し、結果として、東南アジア市場における

「中国EVの存在感」
を急速に高めているのである。中国が東南アジアに注目する理由は、市場の大きさだけではない。
「地理的な近さ」
も重要な要因だ。中国と東南アジアは陸続きであり、この地理的な利点を生かした構想が生まれている。その一例が、『中国経営報』2024629日付の記事で紹介された
「グリーン充電回廊」構想
だ。これは重慶市政協委員の周遠征氏が提唱しているもので、中国と東南アジアを結ぶ新しい物流ルートの整備を目指している。
 グリーン充電回廊構想は、中国南西部の重慶市から東南アジアの主要国を通ってシンガポールまでを結ぶ陸路の開発計画だ。具体的には、2017年に開通した重慶市をはじめとする中国内陸の都市と東南アジアを結ぶ陸海複合輸送ルート
「西部陸海新通道(西部陸海新通路)」
を利用するものだ。構想では、重慶市を出発し、
・ラオス
・タイ
・マレーシア

を経由してシンガポールに至るルートが想定されている。西部陸海新通道の陸路ルートを整備して、新エネルギー車の海外進出を支援するとしている。
5000kmの「EVショールーム」
重慶市の位置(画像:OpenStreetMap
 グリーン充電回廊構想の進展の面白い点は、単に物を運ぶための道路を作るだけではないことだ。EVの充電設備や関連施設も一緒に整備し、
「沿線全体の経済発展」
を目指している。つまり、EVとその関連産業を軸にした、新しい形の経済圏を作ろうというのだ。前述の重慶市政協委員の周氏はこの構想について、次のように語っている。
「われわれは、充電ステーションと充電杭の建設、関連データ、標準化において、東南アジア諸国とのコミュニケーションと協力を強化することができ、その後、鉄道、海運、その他の輸送手段との相乗効果が形成され、中国と東南アジア間の輸出入を促進することができる5000kmのグリーン充電回廊を形成することができる」

 つまり、このグリーン充電回廊は単なる道路ではない。5000kmにも及ぶ巨大な
EVショールーム」
と考えるとわかりやすいだろう。中国から東南アジアへと続くこの道路には、ところどころに最新の充電設備が設置され、その周辺にはEV関連の工場や研究施設が立ち並ぶ可能性がある。
 この構想が実現すれば、中国のEV企業は自社の最新EVを実際に走らせながら、東南アジア全域に自社の製品、技術、そしてブランドをアピールできるのだ。まさに、
「走る広告塔」
ともいえる。これこそが、東南アジアが中国EV企業にとって主戦場となる最大の理由なのだ。
 この動きは、世界の自動車産業の勢力図を根本から塗り替える可能性を秘めている。グリーン充電回廊構想に代表される包括的インフラ整備は、
・輸出による「市場シェアの獲得」
・現地生産への移行による「市場浸透」
に続く最終段階でといえる。この戦略の成功は、世界の自動車産業に激震をもたらすかもしれない。成長著しい東南アジアでの成功を足がかりに、中国EV企業は急速にグローバル市場での存在感を高めていく。彼らにとって東南アジアは、グローバル展開のための

「実験場」
なのだ。
世界経済構造の大転換
中国国旗(画像:写真AC
 欧米市場では、中国EVに対する警戒感が高まっている。欧州連合(EU)は、75日より中国EVに最大37.6%の暫定関税を課すことを発表した。これは通常の10%の輸入関税に上乗せされるもので、中国メーカーにとって大きな障壁となっている。
 中国EVは、今後、欧米よりもさらに大きな市場となる新興国でのシェア拡大を目指し、南米市場への進出を進めている。ブラジルでは中国メーカーの販売台数が急増しており、BYDはサンパウロ州に工場建設を計画するなど、新たな成長市場を積極的に開拓している。
 この動きは、既存の自動車メーカーの存続基盤を揺るがすことになるだろう。自動車産業の重心が東アジアに移り、欧州、米国、日本のメーカーはかつての携帯電話産業のように主導権を喪失する可能性がある。
 今後、EVの普及により石油依存からの脱却が加速し、エネルギー産業に支えられた世界のパワーバランスが変化していく。同時に、従来の自動車産業(そして多くの産業)で培われた技術や職業は急速に陳腐化し、新たな技術や職業への転換が急務となる。この産業構造の変化は、国家間の経済力のバランスを大きく変える可能性を秘めている。
 現在、東南アジアの自動車産業で起きている変革は、世界の未来を映し出している。中国EV企業の躍進は、世界的な産業構造の大転換の始まりにすぎない。東南アジアでのこの変革は、自動車産業にとどまらない世界経済の構造変化の前兆であり、その波及効果を引き続き注視する必要がある。
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