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【シェア街インタビュー】「一方的、一度きり」にならないフィリピン支援に尽力 「LOOB JAPAN」理事、吉永幸子さん

シェア街メディア

今回は、シェア街のリアルきょてんの一つであるコワーキングスペース・レンタルスペースの「ソーシャルビジネスラボ」(以下、SBL)に拠点を持つNPO法人「LOOB JAPAN」の活動を紹介します。「LOOB」という名前の由来は「Love Our Own Brethren(隣人を愛せよ)」。継続的な活動を続けることへの熱い思いやモットー、コロナ禍の乗り越え方や今後のビジョンなどについて、理事で国内マネージャーの吉永幸子さんにお話をうかがいました。

一方的、一回きりの支援にしないために

LOOBとはどんな団体なのでしょうか?

フィリピンにあるイロイロ市という都市と、日本を繋ぐ国際協力NGOです。現地の若者が健やかに育つような環境をつくりながら、青少年育成とコミュニティ開発を行っています。私はその日本法人である「LOOB JAPAN」の理事をしています。

まずはこちらの動画をご覧ください。

イロイロ市ではごみ処理場の周りにたくさんの人が住んでいて、有価物を拾い集める「ウェイストリサイクラー」として生計を立てています。その中には子供たちも多く含まれていて、ごみ拾いに伴う危険や、悪臭による体調不良、学校でのいじめなどに耐えながら暮らしています。
そんな彼らをLOOBでは、「教育支援・生計支援・国際理解&交流」の3つの面からサポートしています。

活動は多岐にわたりますが、どんな時でも念頭に置いているのは、一方的で単発的な支援ではなく、両者が互いに学び合い、かつ、将来に繋がるような関係を目指すことです。
フィリピンなどに行って援助活動をする人は多くいますが、一回こっきり行っただけになってしまう人も多いんです。それではもったいない。
いったん問題意識を持ったのだから、それを「自分事」としてとらえ続け、息の長い、双方向的なやりとりを続けられるようにする。私たちはそういう関係づくりを目指しています。

そんなLOOBはどのようにして生まれたのでしょう?

小林幸恵代表が学生時代、フィリピンでのワークキャンプに参加した際の原体験から「フィリピンや世界を良くしていくには若者が健やかに育つ環境が必要だし、それを日本の若者である自分も手伝っていけるんじゃないか」と思ったのが、始まりです。
当時の仲間と、2001年にLOOBを立ち上げ、ワークキャンプからスタディツアー、フェアトレード、語学研修など、徐々に幅を広げながら20年以上活動してきました。
私も、2011年にLOOBで半年間現地インターンをしたのを機に、日本でボランティアとして参加し続け、2016年から本格的にLOOB JAPANの理事兼フェアトレード担当(2022年度より国内マネージャー)として働いています。

具体的にはどんな活動をしているのですか?

まず教育面では、現地の子供たち70人ほどの通学支援をしています。
そして、学力だけでなく心もしっかり育てるために「ジュニアリーダー育成プログラム」を提供しています。対象は中高生で、「今の生活を変えたい!」という自発性、「色んな事にチャレンジしよう!」という積極性を養えるようにデザインしています。
他にも、現地でSDGsリーダー研修を開催するなど、青少年が自らの手で未来を形作っていけるよう、後押しをしています。

生計支援に関しては成人も対象とし、廃材をおしゃれな製品に生まれ変わらせる「アップサイクル商品」を作ってもらうことで経済的自立を促しています。
具体的に言うと、イロイロ市のごみ処理場より廃棄されるはずだったジュースのパックを回収し、バッグや財布などに仕立ててもらい、日本のお店で販売することで、収入源にする仕組みです。
以前、シェア街に住んでいらした黒崎りえさんが運営しているエシカルペイフォワードで、商品を扱ってもらったこともありますよ。

もう一つの活動の柱である国際交流は、コロナ禍で難しくなったと思いますが、どんなふうに乗り越えてきましたか?

実は、コロナ前からちょうど「SDGsアカデミア」というSDGsを英語で学べる教育プラットフォームを始めていたのですが、それを本格的に軌道に乗せました。
個人からのお申込みはもちろん、日本の中学校や高校からクラス単位で参加してもらい、フィリピンとインターネットで繋いで一緒に座学で講義を受けたり、英語でディスカッションをしてもらったり、という内容です。
フィリピンでは、コロナ禍により多くの学校が2年近く閉ざされたままです。しかし、学び自体は止めてはいけない。
LOOBが大切にしている「持続的な支援」を貫くためにも、大切なプログラムだと思っています。

SDGsアカデミア・オンライン学修プログラムの概要

オンライン化は、他の研修などでも進めました。どうしても、実際にフィリピンに行って、寝食をともにする体験には引けを取りますが、場所にとらわれず、効率的にインプットが出来るという点では、メリットもあります。
今後も、事前研修はオンラインにするなど、柔軟に長所を取り入れていくことで、LOOBとイロイロ市の歩みを進めていければ、と思います。

「自分の仕事に誇りを持てるようになった」と言ってもらえる喜び

LOOBの活動はどういった体制となっているのですか?

フィリピンと日本との2拠点体制です。
フィリピン側では、小林代表が現地スタッフとシェアハウスで過ごしながら、地元のフィールドワーカーやITサポーターたちと働いています。
日本側には、私を筆頭に、学生のボランティアやインターン生がいて、彼らのメンターとして社会人ボランティアも数名所属しています。
LOOB JAPANは元々、現地を直接訪れたワークキャンプやスタディツアーの参加者を中心に構成されていたのですが、メンバーの年齢がだんだん上がるにつれて、現役の学生世代も取り込むべきという判断になり、3年前から学生インターンも募集するようになったんです。企画、広報、英通訳、フェアトレードの4チームで役割分担をしています。NPO法人「LOOB JAPAN」として2014年に法人化して、今に至っています。

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小林幸恵代表(中央)と現地のスタッフたち
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小林幸恵代表(中央)と現地のスタッフ、生産者たち

LOOBだからこそ感じるやりがいはありますか?

一つは、今まで関わってきた子供たちの成長が目に見える、という喜びがあります。彼らが実際に大人になって、社会を作る一員になっていく。これは、長期にわたって活動しているLOOBだからこそ感じられるやりがいです。

そして、特にフェアトレード部門にコミットしてきた私として、現地の皆さんに言われて嬉しいことがあります。それは「自分の仕事に誇りを持てるようになった、ありがとう」という言葉です。

「それまではごみ集めをしていることを、表立って言えなかった。でも今では、ジュースパックから小物を作って、日本の人に買ってもらえている。友達や家族にも胸を張れるようになった」  

そう言ってもらえるのが、一番の喜びです。

それから、コロナ禍で学外活動がなかなか出来ずにいる日本の学生の方に、インターンの場を用意することで「自分が受けてきた恩を返せているのかな」とも感じています。私もLOOBでの半年のインターン経験が、今の自分に繋がっているので、そういう学びの機会にしてもらえたらいいな、と願っています。

SBLでの横の繋がりから、学びや刺激を受けることができた

LOOBがSBLを利用するようになった経緯は?

数年前、LOOBが元々登記していたシェアハウスがクローズすることになったので、移転先を探していたんです。そこで、シェア街主宰の柚木理雄さんと共通の知人がいたこともあり、日本橋のSBLを知り、登録するに至りました。

郵便物の受け取りなどの事務的な利用に加え、コロナ前は、セミナーの開催などに使わせてもらうこともありました。
2020年までは、同じビルの1階部分がエシカルペイフォワードの店舗だったので、他のフェアトレーダーの方々と知り合える場でもありました。そのご縁で、クリスマスマーケットに一緒に出店したこともありましたね。
一度繋がりが出来ると、SNSなどで活動を拝見して、学びや刺激を受けることもできるので、ありがたく思っています。

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エシカルペイフォワードに出品した商品

今後はどんなふうに活動をしていきたいですか?

最初に挙げた三本柱のうち、教育支援と国際交流の掛け合わせを強化していきたいですね。
オンライン環境の整備も含め、どんな状況下でも海を越えた学び合いが出来るようにする。そして、机上で学んだきりではなく、当事者意識をもってアクションを起こす。そういうフローを確立させていきたいです。

また、フェアトレード担当の身としては、現地の生産者にもっと若者を取り込んでいきたいです。
現在、ジュースパックの生産に従事されている方のほとんどは、LOOB創設当初に子育てを終えた世代の女性たちです。
それから20年が経って年齢が上がっているので、今後の持続性のためにも、若い世代へのアプローチが必要だと感じています。

今後のビジョンを叶えるためにも、シェア街の皆さんに伝えたいことは?

シェア街自体にはまだあまりコミットしたことがないのですが、どんな活動をしている人でも応援してもらえて、出会いを得られる場だと聞いています。
フェアトレードはもちろん、子供向けの教室、SDGsのワークショップなど、何かLOOBとの共通点がある方がいれば、コラボをしてお互いの可能性を広げられれば、と思います。
プログラムの参加者やインターン生、さらには、フィリピンでの仕事量が多くてキャパオーバー気味の小林代表の片腕になれるような方も随時募集していますので、ご縁があればぜひお声がけください!

編集:早川英明
執筆:山口志帆
写真:提供写真

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