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【シェア街住民インタビュー】食を通じて人を笑顔にしたい SANDWICH LAB 山嵜貴士さん

今回は東京・浅草橋のゲストハウス「Little Japan」のシェア街キッチンでヴィーガンを中心としたサンドイッチと焼き菓子の専門店「SANDWICH LAB」を始められた山嵜貴士(やまざき・たかし)さんにお話を伺いました。「なぜヴィーガンなのか」「どんな経緯ではじめられたのか」などを聞いてみました。

ヴィーガンを中心とした色合い鮮やかなサンドイッチ

ご自身の活動内容を教えてください。

サンドイッチと焼き菓子の専門店「SANDWICH LAB」を、Little Japanに出店しています。
「心と身体と地球に優しい」をコンセプトに、(動物性食品を避けた)ヴィーガンメニューを中心としていますが、それだけに限定せず、完全栄養食とも言われる玉子を使った玉子焼きサンド、高たんぱく低カロリーの鶏肉を使った鶏ハムサンドもご用意しています。

色合いが美しいテンペサンド

Little Japanで活動されるきっかけは?

実は、カンボジアの孤児院とフィリピンの児童養護施設を支援している+one(プラスワン)というチャリティー団体に所属してボランティアをしていまして、月一でイベントを企画運営して得た収益から経費を引いた分を全額寄付する、ということをしていたんです。

ところが、コロナ禍でイベントができなくなり、オンライン料理教室を立ち上げたときに、その料理教室の先生がLittle Japanで出店されていて、「来月の枠休むから、代打でお店をやってみないか」と言われたのがきっかけです。
「食を通じて笑顔を届けたい」というヴィジョンがあり、コミュニティー形成に興味があったため、ぴったりの場所だと思いました。

Little Japanでサンドイッチを作る山嵜さん

アニメ好きの子どもからデザイナーへ

お店を出すにいたるまでの、小さいころからの経緯を教えてください。

小さいころは勉強嫌いで、遊ぶのが大好きでした。テレビっ子でアニメばかり見て、それで夜更かしして学校に行くのにも始業時間ギリギリ。時間管理ができない子でした。
小学3年のとき、京都から埼玉に引っ越したのですが、学校の近くに駄菓子屋があり、そこに通い詰めたせいで8歳ごろから太りだしました。

中学生になっても相変わらずアニメ好きで、「ドラゴンボール」の孫悟空とか、よく絵を描いていました。でも、中学2年あたりから進学を心配しはじめて、冬休みに思い立って中1の勉強からもう一度、やり直したんです。そのおかげで、300人中200位くらいだったのが、100位くらいまで上がりました。両親も家庭教師をつけてくれたり、塾に通わせてくれたりして、偏差値60前後の高校に入れました。その経験から、勉強が好きになりましたね。

高校はテニス部に入りましたが、全国ベスト8に入るくらいの強豪校で、勉強の時間がなくなるのを心配して部活を辞めました。このころからお菓子をやめ、片道20キロを自転車通学したことで体重も減りだしました。

大学に入り、3年生のときに国際交流系とダンスサークルという、ふたつの100人規模の大きなサークルに入っていろいろな人と出会ったことで、視野が広がりました。
単純に、英語が話せたらいいな、とか踊れたらかっこいいな、という憧れで選んだものの、ここがひとつのターニングポイントになったと思います。

その後、就活の時期になり、将来のビジョンを持つような友人や、起業を目指している友人ができました。これがふたつめのターニングポイントですね。
実は当時、証券会社に内定をもらっていたのですが、その仕事内容に魅力を感じなかったんです。その際、広告代理店のインターンをしていたころにデザイン会社のデザイナーさんから「大学辞めてでもやりたいことをやった方がいい」と言われたことをふと思い出し、内定を辞退し大学卒業後にデザインスクールに入ることにしました。そして1年間、3DCGソフトやフォトショップ、イラストレーターを勉強して映像制作会社に就職しました。
そこで約10年間、映像クリエイターとして、約5年はデザイナー、残り5年はディレクション・プロデューサーとして働きました。

そのころ、仕事の息抜きに、週末に友人と旅行やバーベキューを企画していて、外国人の友達も増えたことから、独立したいという気持ちもあって友人とAirbnbを始めました。まだAirbnbが世間にあまり知られていないころです。3か月やってみて軌道に乗ってきたので、2016年に独立しました。

ところが、思うように民泊の法整備が進まず、半年くらいでやめることに。ちょうどおしゃれな雑貨系ECサイトを友人が立ち上げるということで、デザイナー兼営業として入りました。その中で、絵をかきながらお酒を飲む「ペイントパーティ」というサービスの立ち上げにも参画。そこで約1年くらい仕事をしました。
その次に何をやろうかと思ったとき、趣味の旅行を仕事にしようと、添乗員の資格を取りました。2018年から1年目は国内、2年目は海外で仕事をしていましたが、コロナ禍で旅行業ができなくなり、コロナ太りにもなって健康寿命を考えるようになりました。

それで、運動をとりいれたり、心の安定のためにヨガや読書をしたりしていたのですが、そのおかげで10キロくらいやせ、体脂肪率も8%ほど落ちたんです。そのときの食事は野菜中心でした。風邪もひかなくなり、健康になって、この経験を友人や周りに知らせたいと思いました。どうやったら伝えられるか、と考えたのがサンドイッチでした。

2021年5月ごろ、「サンドイッチ屋さんができたらいいな」とインスタで投稿していたところ、紹介されたのがLittle Japanだった、という話になります。
最初は月1回でやっていたものの、自分で実店舗でやりたいと思っていたところもあって、他にいろいろと物件を見ていたんですが、契約をしようと思っていたところが事情があって流れてしまいました。それを柚木さんに言ったところ、「うちでやらないか」とお声がけいただき、2022年3月22日にグランドオープンしました。

デザイナーをされていたから、サンドイッチの色合いがきれいなのですね。食の中でもサンドイッチを選んだのは?

色合いがきれいと言われるのは嬉しいです。この色合いにたどり着くのに試行錯誤しました。人参のオレンジが入ることによってアクセントになっています。
「萌え断(断面の美しさを楽しむこと)」の体験もしてもらっています。お客様にカットしてもらって、「きれい!」という表情が見たくてやっています。

何を作るかにあたって、まずは健康寿命を延ばすというのが第一に考えたことでした。自分が健康になった経験をまわりに伝えていきたいと思い、それを伝えるためにサンドイッチがいいと思いました。サンドイッチはワンハンドで手軽に食べられるし、野菜もとれます。
また、サンドイッチはフードロス対策にもなるんです。見た目がよくないものでもスライスするので商品にできますからね。

どうしてコミュニティー形成に興味を持ったのでしょうか。

友人に、自分のことを「空港のターミナルのような存在だ」と言われたことがあったんです。自分が企画した旅行やバーベキューなどのイベントに参加してくれた方だったのですが、そこでは素敵な出会いがたくさんあって。これはお金で買えない価値だと思いました。
自分が「この人は合う」と思った人同士は紹介しています。
お店でサンドイッチを研究するだけでなく、人と人とを結ぶ研究もしているんですよ。人と人を合わせるとどんな化学反応が起きるか楽しみなんです。出会いのきっかけ作りができたらいいなと思います。

オープニングパーティでみなさんと

自分と関わってくれる方をハッピーに

どんなことを大切にして取り組まれていますか。

大切にしたいのは「人」です。ここで関わる方をハッピーにできたらいいな、と思いながらやっています。

全部がそれに通じていて、例えばサンドイッチの材料。ハーフサイズ680円で、すこし高めのお値段と感じるかもしれません。でも、食材にこだわっていて、食パンは乳製品添加物不使用ですし、なるべく有機野菜を使っています。安全なものをお客様に提供し、人に対して優しくありたいからなんです。

また、ヴィーガンを選んだ理由もそう。1週間のうちに1日でもヴィーガンにすることで、温室効果ガスを減らすことにつながるそうなんですよ。丸一日ヴィーガンだとハードルが高いけど、1食目を野菜にするだけで、温室効果ガスの削減につながるし、腸内環境も整って身体にいいです。
自分自身はヴィーガンではないし、お客様に強制することはないんですが、ヴィーガンについて知識を得るための冊子を用意していて、知るきっかけになればと思っています。

とにかく、ここで楽しく、おいしい時間を提供して、ハッピーになって欲しいです。
そして、また来たいなと思ってほしい。
それらすべてを含めて、「心と身体と地球にやさしい」というコンセプトにつながるんですね。

今後、どのようなことをしていきたいですか?

まずは、この活動を継続していきたいです。SANDWICH LABを通じてLittle Japanを知ってもらって、ハブになれたらいいな。
あとは、フードロスをなくしていきたいし、農家さんとの提携もしたい。それから、お客様どうしで気が合う方がいれば、マッチングのお手伝いもしていきたいです。

最後にシェア街の皆さんに一言お願いします。

週1回ペースで、ヨガの先生とコラボしてワークショップをしているので、よかったら参加してみてください。
また、SANDWICH LABで出している焼き菓子は、僕が作っているものではないのですが、一緒にお手伝いしていただく代わりに、お菓子作っている方のブランドとして販売していただく、という形式をとっています。
現在は月曜日と木曜日の午前中に入っていただいている方がいますが、火曜日の10時から17時と木曜の午後に入ってくれる方を募集しています。菓子製造と飲食店営業許可のあるキッチンなので、将来お店を出したい方、お待ちしています!

とにかく、みなさんぜひ一度、足を運んでみてください。お話ししましょう。一緒に面白いことがしたいです!

グルテンフリーのフルーツサンドイッチ

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SANDWICH LAB
https://lab-sandwichi.com/
営業時間    11:30〜22:00 /イートインは 17:00まで
定休日    金・土・日

SANDWICH LAB Instagram
https://www.instagram.com/vegan_sandwich_cafe/
https://instagram.com/lab.sandwich

SANDWICH LAB Facebook
https://www.facebook.com/Sandwichlab313

【クレジット】
執筆:岩瀬友理
写真:提供写真


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