【シェア街インタビュー】「ひとりひとりがお互いの違いを活かして、成長し合える社会」を目指したい GEWEL 代表理事 小嶋美代子さん
今回は、シェア街のリアルきょてんの一つであるコワーキングスペース・レンタルスペースの「ソーシャルビジネスラボ」(以下、SBL)に拠点を持つNPO法人「GEWEL」の活動を紹介します。
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進に取り組む「GEWEL」で代表理事を務める小嶋美代子さんに、活動を通じてのやりがいや今後のビジョンについてお話を伺いました。
さまざまな個性を持つ人々が、お互いに認め合って成長していけるような社会を作りたい
GEWELとはどんな団体なのでしょうか?
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)、多様性がテーマの団体です。多様性と言っても、生物多様性や文化多様性などいろいろありますが、GEWELは人の多様性にフォーカスしています。
多様な個性を持つ人々が、ひとりひとり自分らしさを発揮できるような環境を作っていきたい。お互いに強みを発揮し、ひとりひとりの違いを活かしていくことで、お互いに支え合って成長していけるような社会を作りたい。そういう想いでD&Iをテーマに、活動をしています。
「GEWEL」は2003年に、その元となる活動が立ち上がって、2004年に法人化しています。当初は「女性リーダーの活躍促進」のために立ち上がりました。
しかしその後、「ダイバーシティ」という言葉が世の中に浸透してきて、社会の中で色々な意味で、人によって異なる意味で使われるようになってきました。それに伴い2016年くらいからは、女性や企業に特定せず、多方面に啓発活動をする方針へシフトしています。
宝石の原石を見つけてそれを磨いても、光を当てる場がないと輝けないですよね。
原石そのものも重要だけど、そこに光を当てて、お互いに「すごい!」と言い合えるような土壌づくりも重要だと思っています。
最近は、その原石があることは、みんな結構分かっているように感じます。なので原石を探すことに注力するよりも、その原石の違いを楽しんだり喜んだりする、土壌を作ることに注力しています。
団体名の「GEWEL」にはどのような意味が込められているんですか?
「ひとりひとりがお互いの違いを活かして、成長し合える社会」「自分自身だけではなくて、関わる周りの人も一緒に少しずつ成長し合える社会」を目指したいという意味が込められています。
ロゴには葉っぱのマークの中に「G」という文字を重ねて、「成長」を表しているんです。葉っぱがだんだん大きくなっていくとか、樹が年輪を作りながら太くなっていくといったイメージと重ねました。
小嶋さんがGEWELに関わり始めたきっかけを教えてください。
2015年頃から関わっています。前職の大手IT企業でダイバーシティ推進に携わっていたことが、最初に参加したきっかけでした。GEWELに一般参加者として参加をし始め、そのあとに前任の代表者の方にお声がけいただいて、メンバーになりました。
ー小嶋さんのブログー
私たちが、D&Iについて教えるというよりも、参加者の皆さんと学んでいく
活動を通して、特に難しいと感じていることや、やりがいを感じることはありますか?
毎日が大変です(笑)。
たとえば、「働きづらい」とか「自分の居場所を探したい」という方々にとっては、D&Iというのは1つの道しるべになります。そこに向かっていけば、自分にも安心安全の居場所が作れるんじゃないかという希望になるからです。
ところが、その道を歩き始めてしばらくすると、その大変さが分かってきて、「あれ?希望に向かって歩いてたはずだけど、めっちゃしんどい」というような気持ちになるときがあると思います。
それにめげずに、「これは誰かの希望になることだ」と考えて実践し続けていくというマインドを持ち続けられるように、個人をモチベートしたり、場を作ったりするのは難しいと感じることがあります。
最近特に思うのは、D&Iに求めることが本当に人によって違うことです。「みんなと同じような権利が欲しい。それがD&I」という人もいれば、「持ち過ぎたものを手放して諦めていくのがD&I」だという人もいます。
この多様性をどうやってお互いに認めていくのかというのは、言葉でいうのは簡単ですが、実際はとても難しいです。
たとえばD&Iについてディスカッションするとなると、考え方の違いが如実に出てくるんですよね。これをどうやってファシリテートしたらいいのかと、呆然とすることもあります。
話し合いには「前提」と「この場のルールが何か」を明確にすることが大切だと思います。
「もっと分かりあいたい」という気持ちを持つだけでは、事実は何も変わらないわけで…。
共通の言語(プロトコル)と共通の約束事、前提条件を最初に決めていくことがとても重要だと実感していますね。
今、GEWELの「D&I道場」でやっている意識啓発も、「ダイバーシティってこんなモノですよ」っていう研修だけではなく、「ここでの定義はこうします」ということを明確にして議論する、というステップを体験してもらっています。
これは、やりがいを感じる一方で本当に難しくて、今道場に関わっている皆さんも頭に汗かきながらやっています。しかし、そこでの学びは本当に大きくて、私たちが教えるというよりも、参加者の皆さんと学んでいく、そういう場になっています。
SBLの、気軽に場をシェアして、周りとコラボできる考え方に共感した
現在SBLを利用している経緯は?
実はSBLの周辺の事業にも携わっていたこともあって、SBLは以前から知っていたんです。どこかのタイミングで利用したいという気持ちはありました。
実際に利用に至った一番大きなきっかけは、コロナで事務所を見直そうという話が出たことです。以前からその話はあったのですが、ダイバーシティや将来のキャリアのこと、少数派がどのように生きていくのかなどといった、ナーバスになるようなことも話していたので、常に使えるところに事務所を持って「対面」を重視していました。けれど、オンラインでの活動も進んできたこと、地方での活動もしていきたいという方針もあったので、利用を決めました。
私はバーチャルオフィスとして利用していますが、SBLの良いところは、まずは機能的な面ですね。法人登記ができるところと、郵便物をチェックして転送してくれることです。郵便物の機能は他の施設ではほとんどないんです。とてもフレキシブルに対応していただいています。
あと、SBLの機能的な面だけではなくて思想の部分。シェアしてコラボしていくことを面白く、更にその敷居を下げてやっているというところが、すごく好きだなと思っていました。
つまり、考え方に共感していたのと、機能面でマッチしたところが大きいですね。
今後どのような活動をしていきたいですか?
「自分と、そして関わる他の人たちも一緒に成長し合えるような社会」に向けて、言葉だけではなく行動で示したり、具体的な活動に繋げたりしていきたいなと思っています。
興味関心を持つことが第一歩であるとすれば、その次に「D&I」を通して新しいことを理解するというステップがあると思っています。今まではそれを1つのゴールとしてやってきたのですが、今後は、「それによって何が出来るか?」ということを考えて行動を起こしていき、そうした人を増やしていきたいと思っています。
最後にシェア街のみなさんに一言お願いします!
シェア街って「D&Iを理解する」っていうよりも、「D&Iを体現している」場所の一つだと思うので、逆インタビューとかしてみたいですね!シェア街の多様性からどんなものが得られたのかとか、どういう風にみなさんがそれを受け止めて感じているのかとか、伺ってみたいです。
あとは、シェア街でアンケートをとって、一般の方向けのアンケートとの比較分析もしてみたいですね。たとえば「外国人の親しい友人はいますか?」という質問もあって、一般的にはYesは1割くらいなのですが、シェア街って全然違う数字になりそう(笑)。
そういう風に多様性があるシェア街の特徴の見える化も一回やってみたいですね!
もしアンケートができれば、「このアンケートの結果はどういう意味だろう?」ってシェア街のみなさんと一緒に考えて「この集計結果おもしろい!」という風に、盛り上がりたいです。
編集:早川英明
執筆:かねこりな
写真:提供写真
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