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【シェア街住民インタビュー】「着物が似合う人生を送りたい」365日着物で暮らすLittle Japanスタッフ・はるぽんさんが創る「やさしい世界」とは?

11月末にLittle Japanスタッフを卒業された、はるぽんさん(酒井遥希さん)。ユニークな経歴と、Litttle Japanでの忘れられない思い出、これから着手する「はるぽんの村」構想のこと、そして、着物生活についての気になるあれこれについてたっぷり語っていただきました。

ずっと楽しいことだけ追いかけていたら、Little Japanに辿り着いた。

Little Japanで働き始めたきっかけは何でしたか?

入社したのは1年前なのですが、その前にも5,6年くらい、都内でゲストハウスやホステル関係の仕事をしながら、いろんなゲストハウスに泊まっていて、Little Japanにも3年ほど前に一度来たことがありました。そのときに受付をしてくれたのが、元スタッフで、今はLittle Japanでモーニングを提供してくれているひーちゃんでした。「先週カナダから帰ってきたんですよ」と初々しくチェックインをしてくれたんです。「スタッフが楽しく働ける、いいゲストハウスなんだな」と思ったことを、ずっと覚えていました。

 Little Japanで働く前は、何をされていたのですか?

高校卒業後、自衛隊に3年間入っていました。災害派遣や国際貢献をする姿を見て、自衛隊ってかっこいいなと思って。誰にも相談しないで勝手に入隊したので、お母さんとお父さんをびっくりさせてしまったことを覚えています(笑)。

ザ・自衛官みたいな仕事がしたかったので、陸上自衛隊の普通科というところで、迷彩服を着て、銃を持って、鉄の防弾チョッキと帽子をかぶって、山の中を匍匐前進していました。めちゃくちゃ大変でしたね。

退職後は、特に何をするか決めずに東京に出てきて、シェアハウスに住みながら、1年半くらい整体師の仕事をしました。

実は僕、ずっと人見知りだったんですよ。学校で一言も喋らずに帰ることもあったくらい!それを克服できたきっかけが、整体師の仕事でした。1時間くらいマッサージをしながら喋ったり対応したりするので、最初はなかなか大変でした。でも、何百回、何千回、何万回と繰り返していくうちに、苦ではなくなったというか。
どういう話をしたら相手が喜んでくれるのかを考えられるようになって、初対面の人と喋るのが楽しくなりました。僕にとって、めちゃくちゃ大きな人生の転換期でしたね。

その後、フィリピンの語学学校で2ヶ月間英語を勉強して、カナダに1年間ワーキングホリデーに行きました。

できるだけカナダの自然を味わえるところに行こうと思って、バンフという国立公園がある町に行ったんです。そこは、冬はマイナス30度になる地域。すごい吹雪で、肌が出ていたら外に出られないというようなめちゃくちゃ寒い地域でした。
でも、バンフで過ごした半年間が、今思い返しても「人生で一番心が豊かだったな」と思っています。バンフは山に囲まれた町なのですが、お気に入りの小さな山があって、夜、そのてっぺんで星を見ている時間が一番好きでした。リゾートホテルで働いていたのですが、その仕事もめちゃくちゃ楽しくて。海外の人達ってすごくフランクに話しかけてくれるから、仲良くお喋りしながら働いていました。

日本に帰ってきてからも、そういう仕事をしたくて探したのですが、日本のホテルは堅苦しく感じて、何か違ったんですよね。そんなとき、ゲストハウスを見つけて、「これだ」と思いました。そんな経緯で、帰国後はゲストハウスやホステルで働いています。
ずっと楽しいことだけ追いかけてやっているので、今までの経歴とか、生い立ちとか、話したいことがいっぱいあります。話しきれないくらい!!

とても濃い人生で、羨ましいです!Little Japan卒業後の予定は決まっていますか?

地方に移住して、自然学校や農業体験ができるゲストハウスを作りたいです。きっかけは、Little Japanで一緒に働いていたさばちゃんの一言でした。大学を休学して東京に来ていたさばちゃんに「これから何をしていきたいの?」と聞くと、「村を作りたい」って言ってたんです。最初は「変なことを言う子だな」って思ったんですけど、だんだん「村を作るってめちゃくちゃ面白いな、僕も村を作りたい!」と思うようになりました。

僕の夢は、仙人になること。自分の中の「生きる力」を磨いていきたいんです。東京にいるよりは地方の山奥にいるほうが仙人っぽいので、そういう山を探しています(笑)。いろんなところに住んで地元を増やしたいんですよね。今後はシェア街で自分の村の情報を発信していきたいです。

着物を着て過ごせば、なんてことない日も「いい一日」になる。

ところで、今日の着物も素敵ですね。着物は一年中着ているのですか?

「着物の人」って覚えてもらえるように、基本的に毎日着物を着ています。この夏、仕事中に暑すぎてTシャツになっていたら、みんなに「はるぽんがTシャツでいるなんて」と驚かれました。下着姿を見られているみたいで恥ずかしかったです(笑)。

Little Japanの宿泊者さんにも、「着物いいね」って声をかけてもらえます。そういう方と一緒に着物屋さんに行くこともありました。僕が着ているのは、リサイクル着物と呼ばれる中古の安い着物で、めちゃくちゃ安く買えるんです。僕がいつもお気に入りで着ているのは、800円。Tシャツより安いし、着物は上下がまかなえます。帯の色で遊べるのが面白くて、たくさん帯と着物を持っています。スーツでいうネクタイみたいな感覚です。

着物はいつから始められたのですか?

着物生活を始めて、3~4年になります。当時働いていたホステルのスタッフに、休みの日に着物を着て過ごしてる女の子がいたんです。おもしろいなと思って一緒に着物を見に行ったことがきっかけで、着物の沼にはまっていきました。とはいえ、かちっと着ているわけではなく、羽織っているだけなので、見る人が見たら怒られるかもしれない。でも、僕はフランクに着てもいいと思っています。
そうやって着物を着る人が増えたら、日常がもっとおもしろく、明るくなると思います。家でぼーっとしている一日でも、着物を着て過ごすと、なんだか「やった感」が出るというか、「今日もいい一日だった!」と思えるんですよ。それがめちゃくちゃ良いですね。

着物を着ること以外にも、日本の文化に触れる活動はされていますか?

Little Japanで、七十二候の暦ごとにイベントを開いていました。一番印象に残っているのは、年明けに開催した七草粥を作るイベントです。Little Japanに住んでいる子が実家で七草を育てていて、「七草取り寄せられますよ」って声をかけてくれたんです。その七草で七草粥を作って食べたことが、すごくあったかい思い出です。
住人とそういうコミュニケーションがとれるゲストハウスって素敵ですよね。

他にも、趣味で何か日本的なことをしたいなと思い、囲碁を始めました。囲碁、めちゃくちゃ良いんですよ。みんなにおすすめしたい!「白い石と黒い石を盤上に置いて陣地を取り合う」というシンプルなルールだから、自分で考える幅が広いんです。相手の考えを読み取る力や、相手を思いやる力、将来を見据えて計画を立てる力が養えるんじゃないかなと思います。囲碁って本当に人間性が出るので面白いです。リトルジャパンに来れば、いつでも囲碁が打てます。最初は何から始めていいかわからないけど、なんでもやっていいのが囲碁なので、ぜひ一緒にやりましょう!

人生の目標は「やさしい世界を創る」こと。

最後になりますが、はるぽんさんのこれからの人生の目標について教えてください。

概念的な話になるんですけど、昔から「やさしい世界を創りたい」と思っているんです。やさしい世界というのは、やさしいということに一番価値のある世界。そういう世界で生きていきたいんです。
人生を考えるうえで、会社で活躍したいとか、お金を稼ぎたいとか、あったかい家庭を築きたいとか、あるじゃないですか?でも、僕はその目標がなかなか見つけられなくて。そこで、自分の何を磨いて生きていこうかと考えていたときに、自分の中の「やさしい部分」を磨きたいって思ったんです。誰よりもやさしい人になりたいなって。

僕の人生の裏テーマなんですけど、うまく生きていけないと悩んでいる人たちに、僕がこんな感じにのらりくらり、ふらふらと生きている姿を見せられるといいなと思っています。東京に出てきて、都会に揉まれて生きていくだけが人生じゃない。自分の好きなように人生を創っていくことができるんですよ。

まだ将来は漠然としか見えていませんが、今日話したような感じで、自分の世界を創りながら、楽しく生きて行こうと思います。ぜひ、はるぽんの村に遊びに来てくださいね。

ありがとうございました!

執筆:なっちゃん(大谷菜月)
編集:はやかわ英明
写真:提供写真


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