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【シェア街インタビュー】「事実は同じでも受け止め方を変えることで、未来に進む気持ちを醸成できる」 株式会社「働く君と」代表、寺田麻子さん

今回は、シェア街のリアルきょてんの一つであるコワーキングスペース・レンタルスペースの「ソーシャルビジネスラボ」(以下、SBL)に拠点を持つ「株式会社働く君と」の代表の寺田麻子さんに話を伺いました。

「コーチング」とはどのようなものなのか? そしてお客様と向き合う時に大切にしていることなどを、寺田さんが携わった事例を交えながらお聞きしました!

同じ事実でも「価値観の付け替え」によって思考が変わる

「株式会社働く君と」の事業内容を教えていただけますか?

当社は互いを活かしあい、成長する喜びを感じられるコミュニケーションを育て、企業やチームの最適化を図り企業成長に導くチームビルドのサポート企業です。

具体的には、階層別企業研修、会議のファシリテーター(プロジェクトが上手く進むための会議進行役)や司会役、パーソナルコーチング、そして管理職の方々を対象に、自己成長とチームの強化のサポートをしています。
チームワークの成績表のようなものを作成し客観的に可視化し、また企業の課題に寄り添いチーム力を全体的に押し上げるお手伝いをしています。

具体的に「コーチング」とはどういったものなのでしょうか?

コーチングとは対話と傾聴を通じて、話し手が心の奥にある考えや視点を内省し、言葉にする手法です。それによって、思いもよらないアイディアが生まれたり、新たな「価値観への付け替え」が行われます。
「事実そのもの」ではなく「考えや思考」が物事を作っているという考え方ですね。

例えば、試験が60点の結果でも、「60点も取れた」「60点しか取れなかった」という2つの考え方ができます。「60点しか取れなかった」と思う人は「自分がダメな人間だ」と思い、過度に落ち込んでしまうかもしれないです。「60点も取れた」という人は、「次は65点取ってやる!」と情熱が湧いてきますね。

つまり、事実は同じでも「価値観の付け替え」を行うことで、受け止め方を変えて、未来に進む気持ちを醸成できるのです。

人は口から言葉を発することで、頭の中でそれを整理して、自分自身で物事を解決することができます。でも当人は意外と、見落としていることも多いんです。こちらからフィードバックと質問を加えることで、自分自身で気が付くきっかけを創っています。

会社名の由来も「働く君と」の「と」の部分に思いが込められています。誰かに何かを教えたり、提供するのではなく、お客様とともに未来を作る。私も企業も共に成長したいという気持ちが込められています。

コーチングで必要なことは相手の未来を信じること

どのような企業と関わることが多いのでしょうか?

論理的思考をお持ちの企業様や、そうしたものを求めている企業様と関わることが多いです。私が元々、研究職だったこともあって、いわゆる不鮮明なものがあまり好きではないんです。人の心はグラデーションがあり不鮮明なものですが、できる限りそれを論理的に可視化することを大切にしています。

医療機器メーカーや化学薬品メーカーなどの方とはとても話が合います。また、デザイン会社など、普段は右脳を多く使うお仕事でも、「論理的な思考を身につけてほしい」という経営者の想いから、ご用命いただくことがあります。

寺田さんご自身のコーチングの特徴や強みを教えていただけますか?

「プロとして大切にしたい3つ」ということを意識しています。
①学習と理論 ②理論に基づくツール ③経験
そして、この「3つ」と言いながら、最も忘れてはいけないことが、以下のことです。

コーチングというのは会話を通じて、お客様自身の主体性、能動性を高めるものです。そして、それを引出すために、コーチに求められるのは、相手の成長を信頼することだと考えています。お客様の話を聞いていると時折、自分の価値観を述べたり、「それはこうなのではないか」などと、つい言いたくなる自分がいます。コーチングをしている多くの人が苦しむのは、相手の未来を承認することです。それを乗り越えることでコーチング技術が機能するようになります。

経験も理論もツールもあったとしても、相手の顔を見ないような医師の診断は信頼できないですよね。そして、人の成長、もしくは心の成長は複雑なものなので、コーチングの成果はなかなか担保できるものではありません。
だからこそできうる限り学び、再現性のある方法を常に模索しています。そして何よりお客様との関わり方・自らの在り方を磨き続ける姿勢というのは大切だと感じています。

研修のメインは互いの価値観をシェアする時間

企業研修後の習慣化が難しいと感じます。その点、企業とどのようなスケジュール・密度で関わっていらっしゃいますか?

人が行動を変えるのは難しいです。習慣化に3か月、思考が変化するためにはそれ以上の時間がかかります。研修などは、本当ならば2週間に一度以上のペースで継続して行うことが理想です。けれどお客様の予算や時間は限られています。それらとの兼ね合いも考えて、現在メインで行っているのは、年間で12回の研修を行うプログラムです。この間、同時に研修をサポートしていただくプロジェクトメンバーも募り、メンバーの方には2週に1回のペースで私と打合せをお願いしています。そこで、研修内容を、メンバーに確認いただきながら作っていきます。
この時間があるからこそ、プロジェクトメンバーが一番成長します。従って、「企業にとってこれから更に伸びて欲しい人を選抜してください」とお願いしています。

あと、実を言うと、私の話というのは調べようと思えば、本やネットでも出てくる内容です。あくまで私の講義は前座であって、一番大切なことは、社員間で互いの価値観を聞いたり、シェアし合う時間だと思っています。

また企業理念や経営者の方の想いの共有や浸透はとても難しいです。コロナ禍によって減ってしまいましたが、以前は研修後に懇親会を開催していました。経営者の方がどのような未来を描き、どんな風に社員を想っているかを伝えられる場に使っていただき、私はその想いを伝えるサポートをしておりました。

企業のチーム力サーベイに用いるシート

私に依頼いただくことは、単に課題があるだけではなく、経営者の方の「社員に幸せになって欲しい」という想いがあるのだと思います。それが社員の方々に伝わり、「自分たちは大切にされているんだな」という気持ちになってもらえるようにしたいです。

(後編へ続きます)

【クレジット】
編集:早川英明
執筆:品田佳実
写真:提供写真


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