開催内容 2023年 9月2日(土)
ごきげんさんです。拡がる読書会の文鳥さんです。
ようやく朝夕、少しは過ごしやすくなった気がします。でも台風の季節もやってきているようで、お天気も不安定のようですねー。
さて、今回は梅田グランフロント大阪のナレッジサロンが会場でしたが、僕がいつも出している告知媒体に読書会のお知らせをし忘れていたせいもあり、参加人数は少なめでした。
とはいえ、いっぱい本を紹介してくださりお腹いっぱい。さすが精鋭の読書家たちw。ありがとうございます。
場所も会議室ではなくサロンのテーブルでゆるーくやってみました。
では、紹介された本を。
動物たちは何をしゃべっているのか?
シジュウカラ科に属する鳥類の行動研究をされている鈴木俊貴さん、ゴリラ研究の世界的権威の山極寿一さんの対談本。
お二人共動物のコニュニケーションについて研究されている方、動物たちの言語についてわかったことを共有しあっています。
例えば、シジュウカラという小鳥は天敵から仲間を身を守るために、鷹などの上から敵なのか、蛇などの下から接近なのかを鳴き声が変わるそうです。つまり「単語」が存在するということになります。そして、どうやらその単語を並べる「文法」まであると思われる実験の話が書かれています。
ゴリラは類人猿ですが、実は人間とは違う社会、コミュニティを構成しています。例えば人間の赤ん坊は大きな声で泣きますが、ゴリラの赤ちゃんはほとんど泣かないそうです。それは人間は母だけではなく周りの人とも育児をしますが、ゴリラは母親のみが育児をします。そのためゴリラは母親にさえ分かってもらえれば良いわけです。
他にもいろんな事例があって動物のコミュニケーションの多様さに驚かされる本です。比べて人間はどうだろう?って考えちゃいますよ。
馴染み知らずの物語
バラエティテレビなどで人気の美人モデルの滝沢カレンさんが書かれた短編集です。
ただのモデルさんではございません。独特な文才の持ち主で、絶妙な例え、しっくりこない言葉選び、独特な文章で小説を書かれています。
注目なのは書いている設定。
カフカの「変身」、ゲーテ「若きウェルテルの悩み」古典文学や、最近のアメリカで売れて映画にもなった「ザリガニの鳴くところ」など有名な作品の題名とちょっとヒントだけを聞かされて、カレンさんがどんな物語かを想像して書いているそうです。
あくまでも想像で書いているので原作とは全然違う話になっています(笑)
でも、どこからやってくるかわからない角度で物語が進んだり、ひっくり返ったり。
読んでると三半規管がやられてくるというか、不思議な読後感がある短編集になっています。いやはや、天才現る。
映画 アステロイド・シティ
公開さればかりの映画。昨日観てきたばかりです。
今年一番の「誰かと語り合いたい映画」です(笑)
舞台は何千年の前に隕石が落ちたクレーターが側にある砂漠のど真ん中の小さな町。ここは宇宙科学に関する町として、全国の学生の宇宙科学大会が開かれます。集まってきた一癖も二癖もある登場人物。そこで起こる衝撃の事件。
これはある作家の物語でもあるんですが、舞台の裏側や役者の話など、物語だけでなく演じる側の話も入れ子構造で次々描かれます。
絵的には最高。俳優も最高。ただ、どう観ていいか分からないんですよね。コメディではあるんですが、不思議すぎて、自分だけでは処理できない作品です。みなさんもぜひ観てほしい不思議作品。そして語り合いたい。
映画 イノセンツ
いまのところ今年一番「怖かった映画」です。
おばけとかの怖さじゃないんですよ、なんか終始ゾワゾワするストーリーでした。
集合住宅地に引っ越ししてきた家族。父母に姉妹の4人。
姉は自閉症で口が聞けません。父母は姉にかかりっきりなことにストレスを溜めて不満な妹。引越し先は夏休みで学校がまだのため、友達をつくるきっかけもありません。
その中、妹は一人の少年に出会います。少年も訳ありそうですが、ちょっとヤバい性格かも。
姉は別に心優しい少女と出会いますが、そこからある事象が起きてきます。
さぁ、この4人の子どもたちは狭い住宅地の中で異常な人間関係を築いていくいくのです。
これ、空き時間にたまたま行けたので、前情報なく観に行ったんですが、びっくりするくらい面白かった。もう上映期間は終わっちゃうんですが、配信になったら是非。
高熱隧道
昭和11年8月着工された黒部ダムでの隧道(トンネル)工事の記録文学。
穴を掘ろうにも岩盤最高温度165度という高熱地帯。難工事に次々と犠牲者が出てきますが、トンネル貫通への人たちの情熱、技術者たちや労働者たちの苦悩が描かれています。
暑さだけではなく、外に出れば雪に襲われ、泡雪崩と言われる脅威にさらされたりします。
緻密な取材から大自然に対しての人類の執念、極限状態の人の行動など見事に著した作品。
今の技術だとこんなことにはならないかと思いますが、こういう事の積み重ねでの今の技術だったりするので、話を聞いているだけで体温が上がってきそうです(笑)
給食の歴史
表題とおりの内容なんですが、読んでみると給食が日本にとってどれだけ貢献してきたかよく分かります。
戦前からあるものだったそうですが、戦後はアメリカの小麦の輸入拡大からパンの普及したことで安定供給へ繋がった話や、冷蔵技術がまだなかったことから脱脂粉乳が採用された歴史の記録があり、昔こんな給食食べたなぁと色んな懐かしさも思い出す本だそうです。
実際に世代や地域差による給食のメニューの話で盛り上がりました。
いくらでも話せるテーマかもしれませんね(笑)
遅刻してくれて、ありがとう 上: 常識が通じない時代の生き方
2001年から2016年に世界におきた、技術的イノベーションやグロバリゼーションの解説や考察しているアメリカでベストセラーになったジャーナリスト本ってところでしょうか。
技術の進化は一歩ずつプラスされていくというより、掛け算のように進んでいき、世の中は便利にはなっていくのですが、人の心がそれに追いついていないと問題提起し、人は思考する時間が必要と本書では訴えています。
その考えるきっかけが「遅刻」。たとえば時勢に乗れずに失敗や乗り遅れちゃう人によって状況が停滞することがあります。それは責められるものではなく、むしろ思考をする時間を与えられたものと考えられるとしての「遅刻してくれてありがとう」という表題なんですね。
下巻もあり、人がAIなどの技術などと向き合って豊かな未来を築くにはどうしたら良いかなども提案されているそうです。
限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭
どんどん豊かになっていく現代。技術のおかげで「限界費用」が進むと、モノやサービスの価格がどんどんゼロに近づくと本書では言います。
それによってモノや技術のシェアリング、エコノミーデジタルの革命が進み、資本主義の形が変わっていくかもしれない。
今に執着することなく、変わりゆく価値観に対応していけるんでしょうか。
良い未来ではあるものの、こちらも人の心がどう進化する社会についてどう考えるかついていけるかをまとめている本のようです。
実際に起っている部分もありますが、どこまでこの本のようになるかはもう少し先になるかもしれないなぁと思ったりします。
資本主義の再構築: 公正で持続可能な世界をどう実現するか
こちらも人類社会の未来を想像する本。想像っていうか現状から未来を読み取っているといいますか、今は資本主義が頭打ちと思えるくらい発展しましたが、さてはてこれからどうするかって改めて資本主義を考え直していくお話ですよ。
資本主義はずっと拡大されるとする理屈ですから、どこかで組み立て直す必要はあるんだろうなと、個人的には無理に行動とかは気が遠くなりますが、視野は拡がる感じはします。
SDGsなども踏まえた考えを元に「持続可能」もテーマになっているようですね。豊富な具体例が列挙されいるようで、それを読んでいるだけでも色んなテーマで議論とかできそうな感じですね。
検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?
今、結構売れている本だそうですよ。
ナチスを肯定しているわけではなく、表題にある通り「検証」しています。今の情報過多で偏向したネット社会では必要なことであります。
著者の一人の田野さんがネットでナチスの過去の施策に触れると、意外とナチス肯定派の意見が返ってくるそうで、中には非の打ち所もない立派なナチス固定意見があったそうで、それを改めて「事実」「解釈」「意見」をまとめて検証しています。
施策だけみると確かにインフラの整備や経済対策などあるんですが、その背景には「選民思想」からくる近年でいうと「自国ファースト」なところがあったりします。
ナチス党は第一党ではなかったとか、ヒットラーが無能そうだったので操り人形として党首に選ばれた?なども書かれていて面白そうです。
すぐに目の前の情報に食らいついたり、あえて逆張りしたりなどしちゃうわないためのネットリテラシーとかを考えさられる本かもしれません。
星を継ぐもの【新版】
古典SFの大作なんですが、近年また表紙などが新しく再販されていっているそうで、元は3部作だったそうですが、今は4部作となっているそうです。
物語のはじめとしては、人類が月を調査している際に人の死骸を見つけちゃうんですよ。しかし、その死骸・・・人類現れるよりも古くからあるものという調査結果が出るんです。どういうこと?って(笑)ミステリーなところから始まるんですが、SFって未来、未知なものとの遭遇の話だったりするので、そこには恐怖だったり不安がつきまとったりします。しかし今作はそれだけでなく希望や颯爽な気分をもたしてくれる作品です。
この作品は僕も大好きでオススメのSFとしては一番最初に名前を挙げちゃう(笑)
続編の方も新版としてでたたそうです。一冊目の題名からではどう繋がっているのか分からない(笑)これは読まねば!
世界の美しい廃城・廃教会
紹介者曰く、「癒やしの本」
海外のもう人が住まなくなっている城や教会の写真集。
癒やしといっても滅んでいるもの写真ですが、なんといいますか「滅びの美学」っていうんでしょうか。人工物が使わなくなって自然に溶け込み人工さがなくなっているのが不思議に格好良いんですよね。
風景に馴染んでいるのに、目が離せない存在感。土地の広さとか建築方法とかの違いもあるんですかね、日本ではあり得ない写真が沢山あります。
鹿の王
戦争が続く2つの王国。しかし、ある流行り病により、戦争はゆるやかに停滞していきますが、緊張ある距離感は続いています。戦争当時は最強と言われた戦士は囚われて奴隷のように働かされていますが、ある少女を出会うことで運命がまた変わっていくんです・・・
この作品は映画にもなりましたね。
隣国なのに相容れぬ、同じ人間なのに相容れぬ。お互い譲れぬ想いをファンタジーならではの世界要素を入れることで重厚な物語になっています。
本の方は全5巻。映画の方はアマゾンプライムとかでも観れますね。
以上が今回紹介された作品でした。
拡がる読書会はお題がジャンルフリーで、お互いのおすすめ本を紹介し合う形式です。
他に面白く話せる内容があれば普通の文庫本と海外に絵本・漫画・写真集・雑誌・チラシ・パンフレットなどなんでもどうぞなのです。
みなさんのおもしろかったー!をぜひ教えてください。
ゆるーい会なので、「読書会ってどんなの?」っていう初心者の方にもオススメです。お気に入りの一冊を持って、好きなように話してくださればOK。話せなくてもて、みんなで一生懸命聞きますw
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ご参加お待ちしております。
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