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開催内容 2023年 3月26日(日)

ごきげんさんです。拡がる読書会の文鳥さんです。

2023年 3月26日(日)
ここ最近温かい日が続いていましたが、昨日の晩あたりからまた寒くなりましたね。せっかくそのまま春の訪れを期待したのですが、まだまだ三寒四温な日々は続きそうです。
今回は参加人数が減った増えたりで7名で行いました。

今日は11冊。
いつも主催者の僕から紹介するようにしているのですが、古典SFを2冊。

鋼鉄都市

SF作家の巨匠、アイザック・アシモフの最初のロボット長編。1954年の作品ですから70年以上前の作品ですね。

あらすじとしては、宇宙人が地球に来て共存している未来。ディストピア的な制度になっていたり、特にロボットを主に使う生活に職を奪われたりして、実質は人類が宇宙人に支配されている窮屈な時代になっています。
そこで、宇宙人が一人殺されます。
おっと、これでは宇宙人と人類との軋轢が生まれてしまいます。なにしろ宇宙人を敵に回すと人類はひとたまりもありません。
そこで捜査を命じられた刑事が一人。そして、上司からは宇宙人側の要求としてロボットの刑事とバディを組まされて捜査を開始します。

SFだけではなくミステリーでもあるのです。物語は何度も展開し、今読んでも良く出来た謎解きになっています。
この作品はシリーズ物で他のアシモフのシリーズとも橋渡し的な作品でもあって、もうこれを読んでしまった以上・・・アシモフ作品を渡り歩かねばならのでしょうか?面白いんよなー。くぅ。何冊読まないと行けないのかw

未来のイブ

こちらもロボットのお話。「アンドロイド」という言葉を使ったのはこの作品が初めてと言われています。
この作品は1886年の作品。日本でいうと明治19年。
作者の ヴィリエ ド・リラダンという作者は山縣有朋と同年生まれ。
日本が明治維新だの、近代化に向けて時代が大きく変わった時にフランスではアンドロイドの発想が出てたわけです。ひえー!

話としては主人公は発明王トーマス・エジソン!エジソンは様々な発明を世に出していますが、この作品では実は世に出していない発明もいっぱいあって彼の秘密基地とも言える家にもは魔法のアイテムのような発明品がたくさん。
その彼にある恋敗れた貴族の男性がやってきます。女性の美しさに惚れ、そして女性の内心の酷さに幻滅したというのです。
そこでエジソンは提案します。完璧な美しさを持った女性を作り出すことを。
これがアンドロイドなんです。
見た目が完璧な女性型アンドロイドを作っていきます。そして、その精神までも清らかな「魂」も人工的に作ることは可能なんでしょうか?

ちなみにこの作品、エジソンが存命中に書かれています。まじかよw


日本語に主語はいらない

日本語の文法について一言物申す。というか英語、フランス語と較べて日本語の文法解釈について今までとは違った視点で解説している本。
日本語が改めて難しいという反面よくできている部分も再発見できる書だそうです。紹介者の方がホワイトボードに書きながら説明してくださいました。

明治期、文法整備にあたり、日本語を英語文法に押し込めようとしたことから、外国人の日本語学習において不可避的な歪みがあったりしたり、それが逆に今の国語教育を混乱させているのかもしれません。
今の日本語文法の説明の仕方が実は英文法を元に説明しちゃってるから日本語がややこしくなっているとか、「主語」というのが独特なそうで、英語は主語が大事ですが、日本語は主語がなくともわかる文章が多々書けるということなど。なかなか難しいお話でしたが、説明を聞いていると納得する部分は多々ありました。
日本語って面白いっすねー。

私、誰の人生もうらやましくないわ

コピーライター・児島令子による作品集。
コピーというのは句や唄でもなく、マーケティングに使われる感性に語りかける言葉で現代の不思議な言葉の積み合わせだと思ったりします。
そうで、優しさ、寄り添い、励まし、謎掛けなど色んな側面があると思います。
女性のコピーライターとしての独自の視点で語った書き下ろしコラムもあるそうで、キャッチコピーの作品集というだけではなく、コピーを作る上で筆者の心情なども読み取れるものとなっています。


負けないで!

聴覚障害者女子プロボクサーの成長や成長を綴ったノンフィクション。
聴覚に障害があることでいじめにあったり、不登校、荒れた生活を送りながらもボクシングとの出会いで困難や挫折を乗り越えて、プロボクシングへ。
去年、『ケイコ 目を澄ませて』という題名で映画化されたそうで

ゴングが聞こえない、セコンドの声も届かない、レフリーの指示もわからない。そのなかでも実直に進んでいく姿は感動ですね。
本自体はプロ2戦目まで描かれています。現在では引退されていますが、まだボクシング講師を続けておられ、他にも聴覚障がい者に手話で柔術を教え、健常者には手話に興味を持ってもらう「手話柔術教室」を開いているそうです。すごいw

三流シェフ

フランス料理人「三國 清三」の自伝。
北海道で生まれ貧しく苦しい幼年期をへて苦労しながらも、料理人の道を選んだ後にヨーロッパ修行。修行時代も誰もやりたがらない仕事を前向きに取り込むことで活路を見出し、自身のお店「オテル・ドゥ・ミクニ」を開業。70歳を期に閉店し、次の人生のことも含めて書かれているとのことです。

雑用を進んでやりながらひたすらチャンスを伺い、人脈と才能を駆使して一流レストランを渡り歩いていく、自身の道を切り開くスタイルは特に若いビジネスパーソンとかには響くかもしれませんね。
表紙が若い頃の写真と現代の写真の並びが良いですね。


ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

帚木 蓬生というかたは有名な小説家であり、精神科医なんですね。
ネガティブ・ケイパビリティ。
聞き慣れない言葉ですが、『どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力』あるいは、『性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力』という意味だそうです。
なんでも白黒つくのは難しいですし、確かに答えがすぐ出ることなんでなかなか無いですからね、様子を見る、見守るにも耐性というのが必要です。
これは現代になって出てきた概念ではなく、著書の中では源氏物語やシェイクスピアを引用したり、さまざまなエピソードを交えながら大変丁寧にネガティブ・ケイパビリティについて多面的に解説している本。
解決策の提示ってわけではないのですが、現実問題での必要な心構えといったところでしょうか。


人事ガチャの秘密

「ガチャ」って今どきの言葉ですが、簡単にポップに運命を表している言葉ですよね。
作者が多くの会社に取材して人事の実態を記した一冊。
この本のターゲット層としては若手から中堅なのかもしれませんが、それ以上の方でも、うなずける内容っぽいw

どんな仕事だろうが結局は人間関係だったりして、うまく仕事ができるかは環境次第。でも、偉くなる人は早いうちに目をつけられているとか、出世競争が全てではない。とかなんとなく見えている概念というか実情をうまく著しているみたいですよ。
中間層、ミドルパフォーマー、人事の中でもモブというのでしょうか。人事の螺旋階段には入らない人もいるでしょうし、これを読んだら出世ができるのか?というのはどうでしょう?
努力とか別のなにかも絡んでいる気もしますw


プリンシパル

プリンシパルといえばバレエの主役のことらしいですが、バレエの話ではありません。極道もの。
戦後のドサクサの暴力団の内紛からはじまり、主人公の水嶽本家一人娘である綾女が極道者たちの中で権力と暴力の渦で舞い踊るお話。
繊細な題名にもかかわらず、凄惨なストーリーというということで、「このミステリーがすごい」2023年度国内5位になったそうです。
極道の権力闘争ですからとにかくよく人が死ぬらしいので苦手な方はご注意をw
戦後が舞台ですから、極道、政界、GHQまでの勢力が入り乱れての攻防は現代劇ではなく、古い時代だからこそのむちゃくちゃ感。
刺激的なミステリーが欲しい方にはいかがでしょうか。


Life With Picasso

↑紹介されたのは英語版。
超有名画家のピカソ。
その愛人を10年してたフランソワーズ・ジローの告白本。
21歳で40歳も年長のピカソと会って10年近く、生活を共にしたそうで、子供も2人。
奔放なピカソとの生活はかつての複数の愛人が見え隠れし、それは彼女にとっては心を乱されるものであるが、彼女自身も芸術家ということであってどこかピカソの芸術哲学を理解できちゃうところもあり、世間では芸術だと言われている部分が実はなんでもない感情の現れだったりするのも彼女は知っていたりします。
ピカソの天然ぶりやくすっと笑えるエピソードもあり、ピカソで行きているときから売れている画家で芸術ビジネスに長けた人だったようですから、時代の寵児の側にいた経験は貴重なものだったりします。

日本語版もあるんですが、ちょっとお高い。でも面白そうですよね。


恋文の技術

冴えない大学院生の守田一郎。教授の差し金で「文通武者修行」としていろんな仲間や妹たちに手紙を書きまくるよするを表した往復書簡風の物語。
人気作家の森見 登美彦の作品ですね。
紹介者が森見 登美彦さんのイベントで話を聞いていてファンになったということで手に取った小説。この方の小説の舞台は京都が多くて、大学生活のお話が多いんですね。この方の小説を読んで京都の学校へ進学した人が多いそうですw
確かに楽しそうでヘンテコな青春には憧れますよね。
とはいえ、実際の京都での青春はうまくいくものなのでしょうかw

以上が今回紹介された本でした。

うちの拡がる読書会はお題がジャンルフリーで、お互いのおすすめ本を紹介し合う形式です。
他に面白く話せる内容があれば普通の文庫本と海外に絵本・漫画・写真集・雑誌・チラシ・パンフレットなどなんでもどうぞなのです。
みなさんのおもしろかったー!をぜひ教えてください。

ゆるーい会なので、「読書会ってどんなの?」っていう初心者の方にもオススメです。お気に入りの一冊を持って、好きなように話してくださればOK。話せなくてもて、みんなで一生懸命聞きますw

次回開催概要は↓

ご参加お待ちしております。

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