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開催内容 2023年 5月27日(土)

ごきげんさんです。拡がる読書会の文鳥さんです。

出かけやすい良い季節になってきました。
今回も色んな本が紹介されましたねー。
今日は図書館の使い方だったり、みなさんが本を紹介するための「付箋」とかについての話題が出たりしました。付箋は人それぞれ使い方がありますねw

では早速、ボクの紹介本から
人間昆虫記

手塚治虫の漫画です。
妖艶な女性、十枝子は関わる人達を利用しながら転身を繰り返して世の中に名を馳せていきますが、そうは簡単にいかず複雑な人間関係がどんどん広がっていきます。表の名声とは反対に闇を抱えた女性の半生は狂気と悲哀が入り混じった歪な人生を作り出していきます。
題名にある「昆虫」というのはサナギから成虫へと変化する昆虫を変容する女性の象徴です。
ミステリー系のお話で時代は古いのでトリックは今時代だと突っ込みどころはありますが、たくましく生きていく女性は見事に描かれています。


卵を巡る祖父の戦争

作家のデイヴィッドは、祖父のレフが戦時下に体験した冒険を取材します。そこから祖父の証言から物語は描かれていきます。
一九四二年当時、十七歳の祖父はナチス包囲下のレニングラードで兵士となります。そこで軍の規定を犯した償いに、大佐の娘の結婚式にウエディングケーキのために「卵の調達」を命令され、軽口ばかりの青年コーリャと共に混沌とした慢性的な食糧不足の戦地を駆け回ることになります。
眼の前の敵を倒す話ではなく、兵器や兵士の脅威よりも戦争の中での人の狂気にされされながらの冒険はまた違った戦争ものの小説となっています。


100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集

福井県立図書館での「覚え間違い」の本の問い合わせをまとめた本です。
表題の「100万回死んだねこ」っていうのも「100万回生きたねこ」が正しいんですよね。
誤「おい桐島、お前部活やめるのか?」→正「桐島、部活やめるってよ」
誤「みやけん」→正「宮沢賢治」
誤「カフカ 変態」→正「カフカ 変身」
などいくつもの面白い覚え間違いが掲載されています。
SNSとかでも話題になったことがあり、元は福井県立図書館のサイトにあります。現時点で1200個以上の覚え間違いがありますw。面白いw。


ハスキーなボクのユウウツ

ニューヨークのブルックリンに住む12歳の少年。
彼の普通に日常を綴ったものですが、ただの日常・・・って何?
現代の思春期に入った少年の心情を見事に描いた作品だそうで、読んでみると「そうそう、そんなこと感じてた。とか、考えてたなぁ」と思える描写がたくさんあるそうです。
自我の目覚めというか、「他人と違う自分」に気づいてゆく過程は誰しも経験しているはずで、国や時代が違えどもどこか人として共通する概念があるってことですよね。


みすず2023年1・2月合併号〈読書アンケート特集〉

作家、学者、哲学者など各界の知識人・読書人たちが前年に読んだ本の中から「これ」と思うものをランダムに選ぶ読書アンケートが掲載されたもの。
いわゆる書評本だそうです。
色んな本のあらすじや寸評が載っているそうなのですが、色んな人の見方が知ることが出来て勉強になりそうw
面白そうな本ですが、今は休刊しているそうです。また再開するのが楽しみです。


調べかたガイド - 大阪市立図書館

大阪市立図書館に行くと無料で配布されている色んな資料や本の調べ方が書かれている冊子があるそうです。
・外国語資料の調べかた
・判例の調べかた
・新聞記事の調べかた
など、実際に図書館での調べ方が詳しく載っているそうです。
今はネット色んなことを調べられますが、信憑性とか考えると実際に本を手にとって調べたほうが確かと言いますから、こういう調べ方を覚えていた方が良いですよね。
上記リンクでのPDGファイルでダウンロードできますが、今度、図書館で見てみようw


デクリネゾン

二度の離婚を経験し、中学生の娘と暮らすシングルマザーの小説家の志絵。
年の離れた大学生の彼氏が出来て同棲を希望しますが、年頃の娘との関係や周囲の人々を巻き込んでいきます。
主人公は仕事や家庭、そして恋愛をすべて欲する女性。しかし娘は成長していき、母とは別人格を持ち始め、いつまでも一緒にいれるわけではなくジレンマが生まれていきます。
題名の「デクリネゾン」とは様々な調理方法でひとつの食材を生かすことを意味し、各章も料理名で構成されており、食事シーンを通して物語が動いてていくそうです。


羆嵐

ヒグマが北海道苫前郡苫前村の開拓民を襲った三毛別羆事件をモデルにした作品。
実際にあった事件で、ウィキペディアとかでの有名なお話。
人の味を覚えてしまった熊が6人もの人を殺して食べてしまうというかなり凄惨な事件ですが、この作品ではその熊の凶暴性というより不気味な存在感を強調されていて、姿は見えないけどおぞましい何かをうまく描写しているそうです。
今もたまにニュースで熊が街に出た話とかありますが、どこか自然と人とは相容れないものがあって、生き物とというより、自然の脅威という大きなる力には無力な人間が描かれているとのことです。


別冊映画秘宝ウルトラセブン研究読本

ウルトラセブンは今年で55周年らしいですよ。
ウルトラTVシリーズは第3作目あたる作品で怪獣のデザインもより良くなってきた時のウルトラマンです。
各エピソードのあらすじや解説、そして当時に関わっていたスタッフへのインタビュー記事もあるそうです。
作り手側としては子供向けではなく実は大人に向けての内容が多かったそうで、当時の社会問題とかも取り入れていましたもんね、確か。
それに恋愛要素もあったりもしましたし、確かに大人な作品だったんですね。
紹介者の方も仰ってましたが、リアルタイムではなく実は再放送で知った世代ってことですが、ボクもそうでした。今は再放送とかじゃなく配信とかで観れちゃう時代なので、こういう本が出てるのも、もう世代を超えて観れるからかもしれませんね。


他人の家

韓国小説の8篇からなる短編集。
紹介者の方曰く、中でも「箱の中の男」という話が心に残ったとのこと。
主人公は配達員をしており、最近よくある置き配をしているのですが、人と会わずしてこなせるからこその職業として働いています。
兄は自分とは違い、能力も人柄も優秀な人物でしたが人を助けるために交通事故にあい、今や寝たきりの入院生活。それは人と関わることによって不幸になってしまったのだと主人公は思い込みます。
また、人と関わることで他人を不幸にしてしまうのではという迷い抱えたまま日々の中、突然、目の前に倒れた女性を発見します。
さて、彼は助けるのかどうか、人とか関われるのかどうか・・・
なかなか濃い短編が詰まっているようで、評判も良い作品だそうです。


会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション

「会話を哲学する」と聞くと難しくなりそうな気がしますが、難しくするのではなくわかりやすく解説していく本です。
例として「うる星やつら」「ワンピース」「めぞん一刻」などの漫画などのワンシーンを取り上げて、その会話の意図するところなどを分解して説明がされています。
コミュニケーション(相互理解や約束事など共通概念)とマニピュレーション(相手にわかってもらうための誘導的な表現)などを使って「立場的には許せないけど、気持ちは分かる」「気持ちのすれ違いが起こっているけど、これはなぜこうなっているのか」など行間を読む的なこと大切さや、今や同性愛を取り上げた作品も多いので、昔のように男女だけではわけきれない感情表現について取り上げられていたりします。
今やネットでは読み手を釣り上げるためのインパクトのある言葉ばかりが目立ちますが、その奥になる事実や心情を読み取ることの大切さを考えさせられる一冊です。

以上が今回紹介された本でした。

うちの拡がる読書会はお題がジャンルフリーで、お互いのおすすめ本を紹介し合う形式です。
他に面白く話せる内容があれば普通の文庫本と海外に絵本・漫画・写真集・雑誌・チラシ・パンフレットなどなんでもどうぞなのです。
みなさんのおもしろかったー!をぜひ教えてください。

ゆるーい会なので、「読書会ってどんなの?」っていう初心者の方にもオススメです。お気に入りの一冊を持って、好きなように話してくださればOK。話せなくてもて、みんなで一生懸命聞きますw

次回開催概要は↓

ご参加お待ちしております。