開催内容 2023年 8月20日(日)
ごきげんさんです。拡がる読書会の文鳥さんです。
お盆も明け、台風が通り過ぎた週末。
まだまだ暑い日でしたが、沢山の参加者のみなさまにお越しくださいました。ありがとうございます。
今回も漫画、歴史、絵本やエッセイなどいろんなジャンルが出揃いました。
まずは海外の文豪のエッセイ集からw
サミング・アップ
絵画のゴーギャンの反省を書いた小説「月と六ペンス」っていう小説はご存知でしょうか?その作者のサマセット・モームが年を重ね、亡くなる前に思うことを書き出してみようと60代に記されたエッセイ集。
自身の反省や、劇作家・小説家として作品論や、倫理観、エンタメ論など多岐にわたる彼が思ったまとめたサミングアップ(要約)です。
なるほど、良いこと言う!っていうのもたくさんあって、かなりの教養のある人なのは確かですが、皮肉屋で老害とも言えるひねくれた物言いはむしろ笑ってしまうくらいw
古い本なんですが、今でも通じるエンタメを楽しむ姿勢を学べる一冊です。
ちなみにモームはこの書を出した後、91歳まで生きていますw
失われたものたちの本
先日、公開された宮崎駿映画作品「君はどう生きるか」はこの本にインスパイヤされたのではないかと巷で噂のアメリカ産のファンタジーものです。
映画とこの本の初期設定がそっくりなんですよねw
とはいえ、読む進めていくと違う作品ではなります。ファンタジーでも「行きて帰りし物語」というパターン。異世界に行った少年少女が帰ってきた頃には大きく成長しているという定番ものなんですが、次から次へと想像もできない異世界の洗礼、結構なホラー展開もあるんですが、確実に主人公が成長してく様が見れてワクワクしっぱなしのお話でした。
もともとグリム童話などパロディなどを書く作家さんらしく、この作中でも白雪姫や赤ずきんなどをモチーフのキャラも出てきます。
映画を考察するつもりで読んだんですが、いやはや良い作品に出会えました。
紛争でしたら八田まで
地政学リスクコンサルタントという世界各地の紛争から起きる事件を解決していく八田百合というメガネ美女が活躍する地政学が学べる漫画です。
事実に基づいた世界情勢から話が作られているので、リアルな部族間だったり国同士の情勢が読み取れます。主人公八田百合は天才的な語学取得能力と腕っぷしの強さでテロリストやゲリラなどにも負けることはありません。自分よりもデカい男をプロレス技で仕留め、情報と知性でたちまち紛争を収めていきます。
この時点で13巻まで出てるんですが、3巻あたりでロシアと戦争に入る前のウクライナが取り上げられています。戦争がいきなり起こったわけでなく、元々複雑な状態が続いていたことがわかります。
現実のほうがスピード感がある展開でまさに事実は小説より奇なりの世界情勢には驚きますね。
彗星物語
ある家族にハンガリーから留学生がやってきます。そして、離婚した妹が子供4人も連れ帰ってきて、あっというまに13人と犬一匹の大家族になります。異文化での考え方や習慣の違い、肉親同士なのに軋轢が生まれてしまう難しさなど、様々な人間模様、家族の交流が描かれた小説。
心温まる絆の物語とのことで、紹介者の方もこの作品をきっかけに留学にいくことにもなったそうですw
過去にドラマ化もされたそうですよ。
大家族ものって今はドラマとかでもなくなってきましたもんね。
大人数だからのひしめきながらも、ワイワイしていくお話もいいものですね。
おやすみプンプン
「一番の鬱マンガ」という言葉から紹介から始まりましたw
描写が独特でして、内容は普通の現代劇で登場人物は普通に描かれるのですが、なぜか主人公の小5の男の子のプンプンはなぜかトリの絵で描かれているんです。
最初は転校生の女の子に一目惚れするところから始まり、感情が表情はわかりにくいんですが、しかもプンプンは酷い目にあっていくんです。
不条理な中のプンプンを見ていると、辛くてだいぶ凹む内容になっていますが、目が離せないんです。全13巻。完結済み。鬱ってみたい方はどうぞw
大金星
「夢をかなえるゾウ」著者・水野敬也の作品。
見た目も悪く自己肯定感も低いゲームオタクの主人公に、メンターとなる人物が現れ、偉人の言葉を引用して恋愛や生き様について教えを説いていくという自己啓発的物語。
軽快なテンポで物語なので、中に開かれている教えも入ってきやすく、元気をもらえる作品とのことです。
メンター役の九州なまりの妙な男が西郷どんみたいな春夫といういう人物は講釈をたれるだけではなく、自らからだを張って実践していくというわけで夢をかなえるゾウのガネーシャとはまた違ったアプローチで教えてくれます。
HUG
抱きしめるハグのことですね。
絵本です。
様々なハグが描かれています。
おすすめとしてお見せいただのは、流れ星もようなものを抱える乙女の絵は希望をいだいているようで、他にも操り人形同士がハグしているのですが、それは操られての行動なんですね。
解釈も色々でそうなシーンもあったりと意外と深かったりします。
こねてのばして
最近、売れに売れまくっている絵本作家ヨシタケシンスケの作品。
特に物語はありませんw
ただ、つまんで、おしつけて、こねて、のばして・・・
という語感とユニークな絵柄で読み聞かせには喜ばれているという絵本です。
触ってみての感触って大事ですが、この絵本からでもその感触が伝わってきそうです。
木をかこう
木を描いてみようと思えば大体の人は描けると思いますが、実際の木とはどんな感じになっているのでしょうか。
枝はどう分かれている?分かれた先のはさらにどう分かれている?などを丁寧に絵で解説してくれています。
日頃、街路樹とかでよく木は見かけますが、実はそんなに細部までは見れていないことに気付かされます。それは日常に目にするもの全てに言えることかもしれません。
今作は木のことを語っていますが、実は色んなことをよく観察してみたくなる一冊。
ごはんのことばかり100話とちょっと
歌人よしもとばななさんのエッセイ。
よしもと家の食事や献立に注目して書かれています。
家でのご飯、行きつけのお店のメニュー。
特に詩人であり、評論家の父である吉本隆明さんの我が子への手作りお弁当にまつわるお話が印象深かったとのこと。
とはいえ、決して料理が上手いわけではなく、イチゴと白ごはんだけ、カップヌードルだけなど、独特な献立や手抜き弁当のお話があります。
しかし、家族にご飯を用意するということは家族だからこそであり、食を通じての温かいエピソードが満載です。
歴史 上
ヘロドトスによる歴史書。あと、中巻、下巻もあります。
ヘロドトスとは古代ギリシアの歴史家で「歴史の父」とも呼ばれるお方です。
この人によって人類の記録を残す「歴史」ができたと言っても過言ではなく、ペルシアという国が興り周りの国々を併合し、ギリシアに侵入、アテネ、スパルタなどの連合軍に破れるなどを書かれています。
ただ、記録を残しているわけではなく、紹介者いわく「面白かったから記録に残した」のでは?とこのでした。決して人類のためにとかの使命感とかではなさそうとのこと。
その分、面白いエピソードがたくさん残されているそうで、たとえば「ギュゲス」
当時、仕えていたカンドウオス王。愛妻家すぎる王は部下のギュゲスに「俺の嫁の裸がキレイだから見てみる?」と言われます。最初は断っていたギュゲスですが、王の強い誘いに押し切られて、隠れて裸を覗き見ることに。
しかし、すぐバレて王妃はブチギレ。王女はギュゲスに迫ります。
「ここで自害するか、王を殺して新しい国をつくるかどちらかにしなさい」と。
ギュゲスは王を殺害し、王妃とともに新しく建国しますw
なんという急展開。
ギュゲスのお話は次の本でも載っているそうです。
国家 上
哲学者プラトンの著作の中でも、知名度の高い作品の一つ。哲人王の思想を中心とする理想国家について論じた哲学書です。
こちらではギュゲスは自在に姿を隠すことができる指輪をもっているとし、そのおかげで王となったとされています。ギュゲスは王に家畜の様子を報告する使者の一人となって宮殿に入り、王妃に近づいて姦通し、それから二人で密謀して王を殺し、王位を奪ったと記されています。
こちらはファンタジーっぽくて、偉く違うもんですねw
善の研究
哲学者、思想家の西田幾多郎のデビュー作にして代表作が「善の研究」
明治維新以来の欧風化を進める近代日本にとって、最初の独創的な哲学書と言われ、「純粋経験」という言葉がかかれています。
あとからつけ加えられた概念、解釈、連想、構成などの不純な要因を排除することによって得られた原初的な意識状態をさすそうで、難しいお話ですが、主客未分、認識とその対象とがまったく合一した意識状態を純粋経験と名づけ、それを自己の哲学の出発点に据え、それは日本の哲学にとって重要な考えだそうです。
文章にすると難しいですが、実際に話しを聞いていて面白かったです。
ひゃくえむ。
今だと「チ。」で人気漫画家の魚豊さんの過去作。
100にmで100m。100m競争の陸上選手のお話。
小学生の時とは「足が速い」っていうのは重要なアイデンティティだったります。それによって友達や居場所を作った主人公のヒガシは、小6の時に負けてしまいます。それは彼にとって恐怖であり、勝負への昂奮を覚えます。
そこから、十数秒の世界が熱く描かれています。シンプルに速く走るというだけを見事に表現していること。
ケンシロウによろしく
10歳の時にヤクザに母親を奪われた主人公はは愛読書「北斗の拳」の影響を受け、復讐のためのトレーニングを重ね大人になった彼は、母を奪ったヤクザの木村に復讐を実行するも失敗する。
身体を鍛えただけでは駄目だということでツボの知識を研鑽を積み、国家資格を4つ持つ凄腕のマッサージ師となっていた。
というのが物語の始まり。ちょっとお馬鹿な主人公ですねw
紹介者の方は北斗の拳をちゃんと読んだことがなかったそうですが、それでもちゃんとストーリーは面白かったそうで、逆に北斗の拳を知ってる世代の方だともっと面白いかもw
SAKAMOTO DAYS
少年ジャンプ連載中の漫画で、紹介者いわく、次に来る漫画だそうです。
商店街で商店を営む中年坂本太郎。見た目はすっかりオジサンですが、過去は最強の殺し屋だったいう。太郎は日常を送りたいわけですが、そうは闇の世界はさせません。次々と事件に巻き込まれていきます。
とにかくアクションシーンが熱いとのこと。ダイナミックな動きの中で行われる鮮やかで細やかなシーンは凄い!と紹介されていました。
アニメ化とかされたら映えそうな作品ですね。
日本の妖怪百科
伝承や古典文学に出てくる鬼、天狗、河童、化け猫、ザシキワラシなどを沢山の資料とともに解説している本書。
人間の心理や概念から出てきたものが妖怪なのか、実在してその目撃例が妖怪なのか。多少の違いはあったとしても、よく似た事例が日本各地にあったりするのは不思議ですよね。
写真や画像がふんだんにあって大人も子供も読みやすいように作られているようです。由来や発生を改めて知ると面白いですよね。
宇宙の戦士
古典SFの名作の一つ。
未来の宇宙で大きな虫と戦う戦士たち。とはいえ、ただ敵が悪いとかだけではなく、人類と他の惑星との生存競争だったりします。
ここででてくるパワードスーツはガンダムとかのモビルスーツの元ネタとも言われています。
映画もありましたが、予算とかなくて、原作とは離れた形になり、ちょっとB級感あるものになっていましたが続編が作られたりしているのは原作がしっかりしてるからだと思ったります。また新しく映画化してくれないでしょうかね。観たいw
以上が今回紹介された作品でした。
拡がる読書会はお題がジャンルフリーで、お互いのおすすめ本を紹介し合う形式です。
他に面白く話せる内容があれば普通の文庫本と海外に絵本・漫画・写真集・雑誌・チラシ・パンフレットなどなんでもどうぞなのです。
みなさんのおもしろかったー!をぜひ教えてください。
ゆるーい会なので、「読書会ってどんなの?」っていう初心者の方にもオススメです。お気に入りの一冊を持って、好きなように話してくださればOK。話せなくてもて、みんなで一生懸命聞きますw
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ご参加お待ちしております。
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