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開催内容 2024年 2月10日(土)

ごきげんさんです。拡がる読書会の文鳥さんです。

さすがに2月にもなると正月気分は抜けちゃいますねー。と話しいていたんですがもう2月ですか。そうですか・・・先週くらいが正月だった気がしてるんですがw
今回もありがたいことで満席での開催。本もいっぱい出ました。ありがたい。2月ならではの本も紹介されました。

レーエンデ国物語

国産のファンタジー小説です。
家に縛られてきた貴族の娘・ユリアは、英雄の父と旅に出ます。その先には恐ろしい風土病がある土地。そこで琥珀の瞳の射手トリスタンと出会います。呪われた土地はやがて隣国同士の陰謀の中心になっていきます。立場の違う人々の思惑に惑わされながらもユリアとトリスタンは関係を築いていきます。
2023年の6月から始まったシリーズでもう3巻まで出ています。
世界観もバッチリ作り込んでいて、紹介サイトも作られていて売り込む気満々の作品です。この作品のターゲット層は若者だと思いますので、将来は大人になった時に「こんな作品あったなぁ」と言えるような作品になっているかもしれないこれからの作品です。


彼の名はウォルター

こちらは児童向け小説ですね。
乗っていたバスが故障し、その修理をする間、古い無人の屋敷で過ごすことになった4人の子どもたちと一人の先生。そこで見妙な本を見つけます。その本を読み始めた子どもたちはあった言う間にその本の世界観に巻き込まれていきます。
本の物語と屋敷で過ごす子どもたちのストーリーが交互に進むんですが、どちらもホラーテイスト。ずっとなんだか不気味な話が続くんですが、謎が謎を生み、目が話せなくなる展開になっていきます。
オチが凄くて読後感は爽やかに気持ちになれるので、読み終わった後はほんとに自分も異世界から戻ってきたーって気分になりますw


頬に哀しみを刻め

「このミス」で海外ミステリー部門で1位になり、評判の良い海外小説。
白人と黒人のゲイカップルが銃殺されてしまいます。その父親たちが事件の真相に迫っていくんですが、その親父が二人共が元アウトロー。
息子が同性愛者であったことを受け入れずにいたまま失ってしまった男たちの後悔。そして世間の不寛容さを痛感する様は痛々しいのですが、悪人たちを見つけてはバッタバッタと倒していく、ハードボイルドタッチな作品でもあります。
エンタメではポリコレの話はよく出てきますが、身近にマイノリティの存在に戸惑う描写はちょっと考えさせれますね。


フラジャイル

病理医という職業。生検や病理解剖などを行って、病気の原因過程を診断する専門職です。
「強烈な変人だが、極めて優秀だ」と言われる病理医の岸京一郎が自身の能力と勘を駆使して様々な事件に向かい合います。
長瀬智也さん主演でドラマ化もしてる漫画作品です。
医療業界と製薬会社の癒着、医療事故の訴訟の裏側などリアルでもあり、漫画だからこそ個性の強い登場人物が相まって面白い作品となっています。
現時点で27巻まで連載が続いています。


つくもがみ貸します

古道具は100年の時を経ると付喪神となり意思を持つようになると言われています。
時は江戸。古道具屋兼損料屋「出雲屋」を営む姉弟は付喪神と意思疎通ができます。
損料屋というのは、鍋や釜といった料理道具から畳、布団のような日用品などを貸し出す商売です。
付喪神となった古道具を貸し出すことで色んな事件を解決したり、江戸の人々の悲喜こもごもを描いた小説です。アニメ化もドラマ化もしている人気作品ですね。
作者の畠中恵さんは元々漫画家アシスタント、イラストレーターを経て小説家になっているそうで、立体的に文章で物語を見せるのが上手だなぁと話していました。


千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン

ずっと不況が続く中、倒産の話なんかはよく聞く話ですが、日本には創業100年を超える会社10万社以上あるそうです。他国ではなかなかない現象だ層です。その中でも老舗の老舗、千年以上続いている会社をまとめた一冊。
日本は他国とは違い、世は荒れるものの天皇制は現代までも続いています。太平な国だから職人さんが伝統を引き継いでいける風土であることや、老舗が続いていいける理由が書かれたものです。
冒頭で、世界一古い会社として、西暦578年から続いている宮大工の金剛組を紹介。
大化の改新で645年ですから、それよりも前の会社!?飛鳥時代とかですかね。凄すぎませんかw


本にだって雄と雌があります

本にだって雄と雌があり、子供も作る。という奇天烈な冒頭文章からはじまるユニークかつ饒舌に一族の不思議な出来事を描いた快作。
本と本の間に生まれた空を飛ぶ「幻書」をめぐる話。ってなんの話なんでしょう?
大阪弁でのダジャレも混じった会話だらけで幻想的な世界感。と思いきや戦争の話も入ってきたり、泣ける話であったりとジェットコースター的な展開を続いていきます。
著者が寡作な方らしく、ようやく最近に「残月記」など評判の良い作品を出しだしたようでこれからも楽しみな作家さんだそうです。


ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか

紹介者の方がドイツ人の友人と凄く盛り上がったという本だそうです。
欧米の中でも比較的日本人と似てると言われるドイツ。几帳面さがあるところと言われいますが、その几帳面さの方向性は全く違うようです。
題名にあるようにお金をかけずに生活を楽しむ、例えば休日等はレジャーとかショッピングに出かけて活動的に動く日本人に対し、ドイツ人は自然の場所に赴いてゆっくり過ごすしたりするそうです。
長い営業時間はしない。ちょっと不便でも休んでしまう。
休みはきっちり取るといった日本人とは違う几帳面さを紹介している本です。
でも、サービスの質も落ちるそうで、その分は日本のほうが良いのですが。隣の芝は青い的なことでしょうかw


お次は2月にちなんだ本を3冊ほど。

鬼と日本人の歴史

節分のある2月ってことで鬼の本の一発目。
歴史的な資料を元に鬼についてまとめている一冊。
中国から鬼の概念というのは伝わってきたそうなんです、疫病や災害などの具現化したものが最初の鬼のイメージだそうです。
大晦日(旧暦12月30日)に疫鬼や疫神を払う儀式、「追儺(ついな)」の払う相手のイメージが鬼だったりするそうです。
節分の豆まきの「豆」は病を治すものとして、疫病を具現化した鬼にぶつけているわけです。


鬼の日本史

鬼の本、2冊目。
日本には平将門や菅原道真のような歴史上の人物が「鬼」とされる伝承があったり、鬼を退治・改心させる桃太郎のようなおとぎ話もあります。
日本伝承や神話、それらを元に脚色・創作された物語にもスポットを当てて鬼とその概念を持つようになった所以にせまっていく解説本です。
確かに鬼って色んな意味で使われたりするし、色んな概念がまじってるんでしょうね。


チョコレートの歴史     

もうすぐバレンタイデーということでチョコレートについての歴史本。
カカオ豆をすり潰して砂糖を加えたものにココアバターを加えたものが「食べる」チョコーレートの原型なんだそうですが、 原材料のカカオは古代のメキシコから「神様の食べ物」とされ、貴重な薬の材料のような扱いだったようです。それを「飲み物」として摂取する形だったようで、歴史的には飲み物としての方が長いようです。
バレンタイデーのようなお菓子としてのチョコは歴史的に見るとつい最近の話なんですね、本書でも近代の話では後半ちょっとだけだそうで、甘いチョコをイメージは近年のものなんですね。


直木三十五伝

芥川賞は芥川龍之介から。直木賞は直木 三十五(なおき さんじゅうご)から来てるんですね。
この三十五というのは年齢のことだそうで、31歳から始めて年を取るたびに名前を変えていたそう。35歳の時点で同時期の文豪、菊池寛からもうやめるように突っ込まれたそうです。
他に36歳になって三十六では「三十六計逃げるに如かず」と茶化されるのが嫌だったという説もあるそうですが、だいぶ変わった人みたいですねw
実際は当時は売れっ子作家だったのでお金は稼いでいたものの、金遣いは粗く、常に借金取りにつきまとれることが多かったようです。しかし、逃げずにやりあう借金騒動には色んな面白いエピソードがあるそうです。
直木賞は知ってるものの、直木三十五の作品って読んだことがある人ってすくないでは?紹介者の弁。た、確かに。


日本のピアノ100年: ピアノづくりに賭けた人々

日本の物作りの技術者の熱いお話。
今や日本製のピアノは世界的大舞台にでも使われるまでに至るまでになっていますが、元はピアノは海外のものですから、それを日本で作るには色んな苦労があったそうで。
戦前の話と戦後の話で分かれており、戦争というものは日本のものづくり環境に大きな変化が起こったようです。
紹介者いわく、つい最近に浜松にピアノ製造工場の見学行ったそうで、今もなお手作りの部分が多いそうで、技術者たちの力量に委ねられているところもあるようです。
何にでも、その道の人がいるもんですね。


絵本 うたうからだのふしぎ

音声学者の川原繁人さんとゴスペラーズ北山陽一さんによる絵本。
歌う、話すという当たり前の行為には体の中で色んなことが起こることによって起こる事象です。
それを絵本としてわかりやすく説明したのが本書。
表紙になる子供たちは、体の中や外を行き来する「空気」を擬人化しているそうです。
彼らがどのように体の中を巡っていくかが描かれています。
紹介者がゴスペラーズ北山さんのファンということで、手に取ったそうですが、なかなか面白い着眼点で体の仕組みがわかる良書とのこと。

その北山さんのイベントに行った際に入手したものが下記二点です。

本屋の現在地

広島の蔦屋書店で開催されたイベント「広島本屋通り」に合わせて制作された冊子。
中四国の書店ガイドとしても書店カタログとしても使え、参加書店の写真付きの紹介や、インタビュー記事、エッセイ、書店員の選書ページなどがあります。
いいなぁ。大阪の本も欲しいなぁ。


香川BOOK遍路MAP

こちらは香川の書店巡りのフリーペーパー。
個性的な18の小規模書店を紹介したマップです。
四国霊場八十八カ所のように描いています。

実店舗をこのような紹介する企画って、実店舗そのものが珍しくなってきてるってことなんですかねー。


次からは紹介者の方が「面白い小説とは」と考えていたところ「桜木 紫乃」さんという小説家のトークイベントの告知を見て、小説家の話を聞いてみようと思ったそうです。その前に桜木紫乃さんの作品を読んでみたそうです。
その経緯を話してくださいました。


氷平線

北海道に住む人達を中心に描かれた短編集。
中でも「雪虫」という作品が良かったそうです。
自己破産し実家の酪農業を継いだ主人公。
高校時代の元恋人との不倫関係をずるずる続けているところに、父親から跡継ぎして、フィリピンから読めをもらう話を出されます。
そこから物語が動き出します。
北海道のは寂れた街。そこであがいてる人たち。は努力していても状況環境が許してくれない。そんな描く人物像は興味深いものだったそうです。
桜木紫乃のデビュー当時の作品集だそうです。


ラブレス

桜木紫乃さんがブレイクするキッカケになった作品です。
旅芸人や歌手として、戦後の昭和を駆け抜けた一人の女の壮絶で波乱万丈の物語なのですが、流れるままに生きる彼女とは対比するように地に根を張って実直に生きる妹の姿も描かれており、姉妹にも関わらず違いすぎる二人の人生が描かれています。

砂上

細々と暮らしながら作家になることを夢見る女性はある日、一人の編集者と出会います。
その編集者の責めるような問いに小説の書き方について学びを得ていきます。
この小説のテーマは「現実と虚構」
小説、フィクションは虚構のものですが、日常の現実を元にしているものです。それを現実をどう虚構にしていくのか?虚構にするためにはどのように現実を向かっていくのか?
日常に問いを見つけることで、物語を作っていくことに虚構の小説になっていくことに目覚めていく瞬間は読んでいて興奮したそうです。

紹介者の方は現実と虚構が交差することで小説が生まれるというストーリーに大変関心したそうで、「やはり小説はおもしろい」と思ったそうです。
桜木紫乃さんはなかなか芽がでない時代もあったそうで、その時の経験が今作に生きているのかもしれない、もしかしたらその編集者は実在の人物だった?と思ったそうです。

で、実際に桜木紫乃さんのトークイベントに臨んだそうです。
そのトークも大変楽しかったそうです。
しかし、今作の編集者は実在の人物ではなかったと分かったそうですw
やはり虚構w

そのイベントで購入された最新作が下記の一作。

ヒロイン

宗教団体によるテロが起こり犯人とされた女性は指名手配されます。
しかし、無罪であるにも関わらず長い逃亡生活を強いられます。
他人を演じ続けること17年間を描いています。
オウム真理教の起こした事件の実行犯として指名手配されて「走る爆弾娘」と言われた菊地直子をモデルにしています。

別の事件ですが、最近、長年捕まらなかった指名手配犯が捕まりましたね。なんというタイミング!?
以上、桜木紫乃の4作を紹介してくださいました。どれも面白そうですね。

以上が今回紹介された作品でした。
拡がる読書会はお題がジャンルフリーで、お互いのおすすめ本を紹介し合う形式です。
他に面白く話せる内容があれば普通の文庫本と海外に絵本・漫画・写真集・雑誌・チラシ・パンフレットなどなんでもどうぞなのです。
みなさんのおもしろかったー!をぜひ教えてください。
ゆるーい会なので、「読書会ってどんなの?」っていう初心者の方にもオススメです。お気に入りの一冊を持って、好きなように話してくださればOK。話せなくてもて、みんなで一生懸命聞きますw
次回開催概要は↓

ご参加お待ちしております。
過去の開催内容はこちら



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