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開催内容 2023年 12月29日(金)

ごきげんさんです。拡がる読書会の文鳥さんです。
今年最後の読書会。
たくさんの参加者の皆さんに支えられ、開催を続けることができました。
いつも色んなジャンルの作品を紹介していただいて、毎回新しいもの出会う喜び、好奇心がくすぐられる興奮を覚えて楽しませていただきました。
来年もよろしくお願いいたします。

紹介してもらった本で、家で朝方になると聞こえる奇怪な鳴き声はヤモリの声だということが判明した方がいまして、本との出会いってマジ面白いですね。
どの作品がそうだったのかはこの記事を読んでくださいw

今回もたくさん紹介していただきました。
この記事を読んでる皆さんも年末年始のお休み中に読みたくなる作品もあるかもしれません。どうぞ、読んでくださいまし。

英国の幽霊城ミステリー

イギリスにも歴史ある古城がたくさんあります。そして、そこには歴史上の人物の幽霊がでるらしいですよw
その歴史ある城の案内や幽霊の発生場所、幽霊の人物紹介などがイラストとともに13箇所ほど紹介されています。
中でもヘンリー8世を中心とした王妃たちの幽霊がよく紹介されています。
16世紀のヨーロッパは宗教改革や国々の争いが絶えない時代、そんな荒波を上手く乗りこなした君主とも言われているヘンリー8世は暴君の一面もあり、女性問題はグダグダですw
権力闘争に明け暮れ、教会の介入など振り回された女性たちの幽霊のお話がたくさん載っています。
観光名所の案内にもなって感じなので、楽しみ方は注目の仕方で色々楽しめる本です。


自殺帳

自殺に至るまでの心理状況や環境を考察した本。
著者が精神科医で現実に診察した患者の話や、実際に起った自殺事件、そして映画や小説などの自殺に関する心理描写などをいくつもの事例を上げて自殺の理由を7つに分けて分析しています。
現実をフィクションのように、フィクションを現実のように書き表すのが上手な作家さんなので、現実と虚構がわからなくなるんですよね。
全体的に不気味さがある本ですが、淡々と説明があるので読み手が引きずられるようなことはありませんのでご心配なく。
それどころか色んな作品を紹介している本でもあるので不気味な作品を知りたい方にはオススメです。


サラの鍵

フランスで起きたユダヤ人一斉検挙「ベルディブ事件」の史実を元に作られた小説です。
この作品は2つの物語が交互に進行していきます。
一つは現代で、フランス人と結婚したアメリカ人の女性記者がベルディブ事件を調べていく話。
もう一つはベルディブ事件により連れされた少女の話。
検挙される寸前に少女は幼い弟を納屋に鍵を締めて隠していきます。
しかし、家には戻れずに悪くなるばかりの環境。弟を助け出すことはできるのでしょうか?
そして、現代からその事を取材する女性記者はその顛末を知ることができるのでしょうか?
2つの話はどんどんリンクしていくスリリングな構成になっています。


日本アパッチ族

有名なSF作家小松左京による小説。
史実とは違う1960年代の日本。色んな法律が現実とは違う世界になっています。働かないことは罪とされ、失業しても行って期間に再就職しないと死刑だったり追放されたりもします。
そして、帝国陸海軍が再軍備し、核武装とかもしている日本w
主人公は社会から追放されますが、謎の男達に救われます。それがアパッチ。鉄を食べる?人種の一員へとなり生存をかけて軍と対立していきます。
うーん、なんだか凄いトンデモ世界観の作品。
無茶苦茶な設定ですが、さすが小松左京作品。立派なエンタメ作品になっています。


ヤモリの慟哭 ~武器をとるミャンマーの若者たち~

内戦が収まらないミャンマー。著者は雑誌記者としてミャンマーの若者たちを追っていきます。
終わらない戦いを身を投じるがゆえの苦しみや悲しみを描いたノンフィクション小説。
今年出たばかりの作品で、ミャンマーの現状を描いています。
若者が未来のために戦う。という環境は日本とは全然違います。
この本を読んで現状を知っととしても、厳しい現状はまだまだ続いていくんですよね。
ヤモリはいうのは現地でよくいる生き物で、ヤモリの泣き方は物悲しく、現地の若者の悲哀の比喩として表しています。
著者はミャンマーの事を知ってもらうためにこの本を書いているそうで印税収入は寄付に充てられるとのこと。
ヤモリって鳴くんですね。


遠くから見たら島だった

石を使った色んなアート作品がいくつも載っています。
石を器用に積み上げてみたり、模様を利用して絵を書き足してみたり、形に注目して他のものに例えてみたりと、様々なアイデアで石を表現している作品集。オシャレ本かつ好奇心が沸き立ってくる本ですね。

作者のブルーノ・ムナーリ。イタリアの美術家、グラフィックデザイナー。
もう亡くなっている方なんですが、色んな作品を残していて、洋書になるんですが、紹介者の方がいくかの作品を紹介してくださいました。
Cappuccetto Rosso, Verde, Giallo, Blu e Bianco

↑イタリア語の絵本になります。赤ずきんちゃんをモチーフに赤だけではなく色んな色、例えば青や黄色などのずきんを被った少女の話が沢山詰まっています。中でも「白ずきんちゃん」は白い少女で白い雪の世界で物語が進んでいくので、ほとんどのページが白色、つまり文字だけで話が進んだりしますw

ユニークかつ洗練されたデザイン、色使いも多様でおしゃれな作品がたくさんあります。
ブルーノ・ムナーリに関するものを集めたブログがあったのメモ。
ブルーノ・ムナーリけんきゅうかい



そして、ニューヨーク【私が愛した文学の街】

アメリカでも色んな作品の舞台になっている街、ニューヨーク。
ニューヨークを舞台にした作品を紹介しながら街の魅力を伝えている本書。
「ティファニーで朝食を」「賢者の贈り物」「おかしな二人」など。
三島由紀夫のニューヨーク紀行文なども載っています。
日本の文化や価値観はやはり違うわけですが、それを感じるのに実際に旅をして観るのが大事です。そして、その街の精神性を文学を通じて知るには良い書籍かと思います。


古典落語 面白キャラの味わい方

落語の起源は「眠気覚まし」だったと言われているそうです。
長い話をするのに、相手が退屈しないようにオチをつけたりしたのが最初だったそうです。
古典落語にはたくさんの滑稽な登場人物が出てきます。お話の中では大げさにキャラが語られますが、実は誰でも共感出来る部分があるからこと笑えたりするわけです。
著者は立川流の落語家、立川談慶さん。落語さんがその登場人物を深堀りしてみることで、実際のコミュニケーションや生き方のヒントを見つけていこうとする落語の解説本でありエッセイになっています。


試みの地平線 伝説復活編

水滸伝や三国志など歴史小説で有名な北方謙三さん。
以前は男性向け雑誌で若者相手の相談のコーナーを受け持っていました。
その相談内容と回答をまとめられたのが本書となります。
もう人生を終わりにしたいという若者への回答に、
「読書というのはとても孤独な作業である。しかし、一人だけでイメージを結べるような世界に入っていくことが、君には必要なんじゃないか。(中略)とにかく五十冊読むまでは死ぬな。五十冊読んでみて、それでも死にたいと思ったら、また手紙をくれ。」
という自分の世界を作る事を説いていたりします。
ズバッと単純明快な答えを返すことで有名でしたが、中にはこのような深い答えもあり、今の時代にそぐわないところもあるかもしれませんが痛快さは今になっても変わりません。


名婦列伝

ジョヴァンニ・ボッカッチョ。中世イタリアでの詩人、作家。
「デカメロン」はルネサンス文学の代表作でもあります。
そのボッカッチョが歴史上の人物から神話やおとぎ話にでてくる106人の女性を紹介しています。
まだまだ男尊女卑のの思想が強い中世ヨーロッパでの作品ですから、ちょっと偏りはある内容ではあるのですが、当時に女性でも才能のある人を見出しているところは人間性の開放を訴えるルネサンス作家さんならではかもしれません。


決定版! 女性画家たちの大阪

大阪中之島美術館で開催中の展覧会が良かったよーとのことで紹介されました。
主に大正時代に活躍した大阪での女性絵師の作品を展示しています。
女性が活躍することをあまり良しとしない風潮があったにも関わらず、当時でも認められた方々の作品だけに画風も少し特徴的かもしれません。
会期は2023年12月23日(土) – 2024年2月25日(日)なので、この記事がUPされている時点ではまだまだ見に行けますね。


愛するよりも愛されたい 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集1

万葉集にある短歌は大半は恋の歌なんですね。
その万葉集を現代の言葉で意訳しまくっている本。
「胸キュン」とか現代の言葉がバンバンでてます。
表題にあるように奈良弁でもあるので、関西ならではのご陽気な訳となっています。
短歌を直接読んでもピンとこなくても、この本を読めばぐんと解像度が上がること間違いなしw
本屋さんでも平積みしているのを見たことがあります。
今のところ2巻で出ているということで、万葉集だけでなく、色んな短歌を意訳してほしいですね。
太子の少年 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集2



ダンジョン飯

ファンタジーものでは迷宮という舞台は定番です。
しかし、迷宮で冒険を続けるには食事の確保はどうしているのか?
それは迷宮でのモンスターを食料にすること。あくまでも架空の話ですがモンスターの生態をちゃんと描いて冒険者たちが食材を調理するのが上手く漫画で描かれています。
この作品が14巻で最近完結したとのことです。
しかも評判が良い終わり方だったとのことで、最初は奇抜な設定だけで続く物語かと思ったら、ちゃんとよく出来たストーリーだったとのこと。
これは読んでおきたい作品です。


奇貨居くべし(一) 春風篇

題名の「奇貨(きか)居(お)くべし」とは、
珍しい品物は買っておけば、あとで大きな利益をあげる材料になるだろう。 得がたい好機を逃さず利用しなければならないという故事です。
秦の始皇帝の宰相になった呂不韋 (りょふい)の人生を中国を舞台にした小説。歴史物ですが、成り上がり物でもあります。
紹介者曰く、
中国の歴史小説は数あれど、現代のように多様な社会を著しているのは春秋時代ではなかあろうか?と思って読み出したそうです。全5巻。

群雄割拠の春秋戦国時代は複雑です。
それを理解すべく下記の3作品にも及んだとのことです。
春秋左氏伝〈上〉

春秋時代の魯の国を中心とする中原諸国の興亡を記した中国最初の編年史。

史記〈6〉―列伝〈2〉

中国前漢の武帝の時代に司馬遷によって編纂された歴史書。

古代中国における周王朝時代のマトリックス年表―西周及び春秋・戦国時代

周の始まりから秦の統一までの各国の事象を年表でまとめたもので、奇貨居くべしの作者、宮城谷 昌光さんの作品を理解するための資料集だそうです。
春秋戦国時代を描いた作品を理解するには抜群の副読書とのことです。
いやはや、一つの作品を理解するために他の本を手に取る。
素晴らしい読書活動ですね。


以上が今回紹介された作品でした。
拡がる読書会はお題がジャンルフリーで、お互いのおすすめ本を紹介し合う形式です。
他に面白く話せる内容があれば普通の文庫本と海外に絵本・漫画・写真集・雑誌・チラシ・パンフレットなどなんでもどうぞなのです。
みなさんのおもしろかったー!をぜひ教えてください。
ゆるーい会なので、「読書会ってどんなの?」っていう初心者の方にもオススメです。お気に入りの一冊を持って、好きなように話してくださればOK。話せなくてもて、みんなで一生懸命聞きますw
次回開催概要は↓

ご参加お待ちしております。
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