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開催内容 2024年6月29日(土)

ごきげんさんです。拡がる読書会の文鳥さんです。

近年では雨が続く日々の合間の晴れの日。
湿気が残りますが、晴れるとやっぱりいい気分ですね。
今回ははじめましての方が多く、新しいジャンルも広く紹介されて、実りのある内容となりました。
M-1の予選に挑戦するという方がいて、M-1の話で盛り上がりました。
いやはや、すごい行動力。

定期開催がウリのこの読書会ももうすぐ2周年。まだまだ頑張っていきますよーー

自分以外全員他人

傷つきやすく人付き合いが苦手な中年男性の視点から描かれる日常を描いた小説。
死にたい・・・のではなく、死のうと考えている毎日。うまくいかない家族仲、仕事先でのうざい客。そして、自己中心的な主人公の主観といった全体的に落ち込む内容なんですが、主人公があちこちで気になる小さな出来事は結構共感でたりするんですよね。
ホント他人は「分かり合えないもの」とする彼の人生の後半は目に余るほど衝動的な行動をします。
鬱々な小説ですが、スラスラ読める文章でつい読了していましたw

映画 バッドボーイズ RIDE OR DIE

人気映画シリーズ4作目。
二人のイケイケ黒人刑事が悪党相手に派手にぶちかます!のは今作でも完璧です。
ただ、年齢を重ね、家族を持ち、刑事としての長年のキャリアから出てきた過去の失敗が二人の環境を大きく変えています。
圧倒的強さに、最新機器による捜査で進めますが、父として夫として抱えるものが多くなっている二人の活動には物語の深みを与えています。
でも、多様性を逆にいじってくるジョークや、開き直ったバカさ加減も良いスパイスとなって安心のアメリカンアクション娯楽映画にしあがっています。
主演のウィル・スミス。2年ほど前のアカデミー賞でビンタ事件を起こしてアカデミー賞は出禁らしいですが、アメリカでは本作は大ヒットして業界自体にまだまだ大きい存在感を残しているのは凄いですね。


円の支配者 - 誰が日本経済を崩壊させたのか

今は経済的にも大変な我が国ですが、太平洋戦争を体験しながらも世界上位に食い込むレベルまで発展したのは日本人の勤勉さだけが要因ではありません。発展するための「システム」というのをうまく取り込んだからと本書で語られています。その説明とともに、バブル経済の形成から崩壊、長期不況の政府と日銀の対応を批判的に検証し、アジアの新興国の台頭などの国際的な経済環境の変化といった外部要因と内部の政策ミスが相まって、日本経済の停滞を招いたと結論付けています。
失敗を繰り返さないためにも過去の分析は大事ですね。


世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)

近未来の東京が舞台「ハードボイルド・ワンダーランド」
幻想的で夢のような街が舞台「世界の終り」
この2つの物語が互いに影響し合い、最後には一つの結末に向かって収束していくお話。
なんとも不思議な構造の物語ですが、村上春樹さんの作品の中で一番好きという紹介者。
文章力や創造力は素晴らしいので、読み出すと止まらないとのこと。
そして、「僕はハルキストではありませんけど・・・」
村上春樹さんの本を紹介してくださる方、結構いるんですが、大体の方は最後に最後にこの一言を添えていきますw
不思議な魅力を持った作家さんですねー。


さて、ここからイタリアの児童文学を3作紹介です。
日本とは違った不思議がたくさん詰まってておすすめです。

鏡の前のチェス盤

10歳の少年は、ある日の粗相のせいで部屋に閉じ込められます。その部屋にあった大きな古びた鏡。その前にはチェス盤。
突然、鏡に映ったキングが話しかけてきます。
「きみも鏡の世界に来てみないか」
そこから淡々とした語り口で、異世界が描かれていきます。
その世界を闊歩している人間たちの招待。現実と虚無。
児童向けとはいえ、全編通して奇談・幻想譚的なテイストを帯びて大人でも楽しめる作品です。


ぼくのがっかりした話

小学校の卒業試験に3回も落ちた男の子。
今まで12人の家庭教師をつけてもらったにもかかわらず、勉強ができません。
13人目の家庭教師は風変わりですが、おとぎ話をたくさん聞かせてくれます。そして、彼から一歩で長距離進めるという魔法の靴を拝借してしまいます。
家を飛び出た少年は靴のおかげで様々な町へ行くことができました。そして、なんとそこにはおとぎ話の登場人物がでてくるのです。
財産を失って没落したアラジン、不眠症に悩む眠れる森の美女など。ハッピーエンドで終わったはずのおとぎの国の住人は今ではがっかりするような有り様。
少年はこの状況をどうやって救う?のでしょうか。
いやー、ホントにがっかりする物語りですw


パパの電話を待ちながら

イタリア中を飛び回るセールスマンのお父さん。さみしい思いをさせないために娘に毎日9時に電話でお話を聞かせる約束をします。
彼のお話はショートショート集として掲載されています。
イルカになる少年やら、宇宙ヒヨコやら、とんでもキャラクターが数々登場し、シュールでポップな物語が盛り沢山です。
イタリアを代表する児童文学作家、ロダーリの不思議な物語。


エステルハージ博士の事件簿

こちらはアメリカの奇妙な小説。
架空の国で起こる解決困難の事件を広く知識が豊富エステルハージ博士が立ち向かっていきます。
怪奇かつ幻想小説でもあり、ただのミステリー作品でありません。
ジャンルとしては定まらないかもしれません。
世界の描写に独特の味がある作品。


スタープレイヤー

主人公の女性は突然現れた男にくじを引くようにすすめられ、引いてみたらなんと一等賞。
というわけで、異世界に飛ばされますw
え?なんで?って展開ですが、そこでは主人公は「どんな願いでも10個叶う」という力を手に入れます。それが「スタープレイヤー」
さて、どう願いを叶えるのか?
願いの叶え方にも工夫が必要です。使途を考えるうち、夕月は自らの暗い欲望や、人の抱える祈りの深さや業を目の当たりにします。
それを乗り越えていく成長物語としても読める本作。


成瀬は信じた道をいく

本屋大賞を受賞した「成瀬は天下を取りにいく」の続編。
相変わらず、我が道を行く成瀬。
一見、変な行動や理念は女性人に影響されず、逆に人に影響を与えていきます。
「成瀬あかり」のマイペースな人生を幼馴染の女の子が語り手となっている書き方が主人公のキャラクターを上手く浮き上がらせている感じです。
強い女性といっても、誰かをひっくり返すような話ではなく、自身の目標に向かってういく直向きさは読んでいて勇気づけられます。


柳橋物語

17さいの「おせん」は幼馴染の大工から結婚の約束をしますが、幼馴染は上方へと修行にいってしまいます。その約束を胸に過ごしていきますが、大火事や大切な人の死など過酷な運命に記憶喪失にまでなってしまいます。さらに火事で助けた赤子を育てていきます。
さらに苦難の人生が続いていくのですが、一生懸命生きる江戸の市井の人たちが鮮やかに浮かびあがる人間の本質や愛情の深さを探る作品。

架空の球を追う

森 絵都さんの短編集。
数ページのものもあったり11篇の短編が詰まっています。
中でも紹介者さんが印象が残った話は「パパイヤと五家宝」
セレブに憧れる主人公はある日、セレブな人をつけて、その人が買っていきセレブな人の気持ちを味あってみようとしますが途中で「五家宝(ごかぼう)」を見つけます。
五家宝は埼玉県で生産・販売されている和菓子で身近で、それを見た途端に冷静になってしまうという小話的なお話です。
「足るを知る」といいますか、自身の幅を思い知って落ち込みますが、無理しないという生き方を考えさせられるお話ですね。
言葉にできないなにか大切なものを短いお話の中で伝えてくれる短編集です。


大阪人の「うまいこと言う」技術

大阪人のコミュニケーションを円滑にする洒落言葉などに注目した本です。
大阪は関東よりも武士が少なく、商業が盛んだったため、身分の違いあまりない土壌があったことで上下ではなく水平的な人間関係ができやすかったという大阪の歴史的背景からもアプローチしています。
大阪は直接的な言い回しが多いように思いますが、実はうまく遠回しで何かを表現するのも得意だそうです。
例えば物を買わず帰る客を「夏のはまぐり」といいます。はまぐりは春に出回る食品です。つまり夏には身が腐って、貝だけが残っている状態。
つまり、身腐って、貝腐らん(見くさって、買いくさらん)を意味する隠語だそうです。良う出来てるw

M-1に挑戦している紹介者の方。予選一回戦突破を祈っておりますw

ウルトラ・ニッチ 小さく始めろ!ニッチを攻めろ!

和牛についてだけ注力したことで人気が出た完全会員制の高級焼肉店、WAGYUMAFIA(和牛マフィア)の浜田寿人さんの著書。
下手に手を広げずに小さいことろで攻めていく方法を提案したビジネス書になります。
大企業が狙わないニッチに市場に着目や開拓のノウハウなどが惜しみなく書かれているとのこと。
著者は「小さく始めよ。一人でやれ」「グローバルを狙え、ニッチ世界一を狙え」「情熱が持てるもの、好きなことをやれ」といった具体的なアドバイスは起業家やビジネスパーソンには刺激的な一冊となっています。


センス・オブ・ワンダー

1960年代にアメリカでの環境問題を告発した女性生物学者レイチェル・カーソンが過ごしたメーン州の海岸と森について記した書。
毎年、夏の数か月を過ごした自然について、一緒にいた姪の息子に語りかけるようにページが進んでいきます。
鳥の渡りや潮の満ち干、春を待つ固いつぼみ・・・実際にあった風景なんですが、幻想的で紹介者曰く、本が読み終わるのが辛かったとのこと。
紹介者の方が自然を探索するツアーに言ったときの話をしてくださいまして、苔といえレンズとライトを使って大きく写すと身近な小さな自然に感嘆と愛着が生まれるそうです。
なんだか自然を歩きたくなってきましたw

以上が今回紹介された作品でした。
拡がる読書会はお題がジャンルフリーで、お互いのおすすめ本を紹介し合う形式です。
他に面白く話せる内容があれば普通の文庫本と海外に絵本・漫画・写真集・雑誌・チラシ・パンフレットなどなんでもどうぞなのです。
みなさんのおもしろかったー!をぜひ教えてください。
ゆるーい会なので、「読書会ってどんなの?」っていう初心者の方にもオススメです。お気に入りの一冊を持って、好きなように話してくださればOK。話せなくてもて、みんなで一生懸命聞きますw
次回開催概要は↓

ご参加お待ちしております。
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