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「クマ被害」②~山の民が見つけた答え~

日本で唯一。
江戸時代から伝わる「上室(うわむろ)栽培」で「三島独活」(みしまうど)を栽培している中井さん。

過疎地域に嵐を呼ぶ!」中井優紀さんが、山で起こっていること & 大切なメッセージを伝えてくれたのでシェアさせていただきます🙏


【熊】

昨日の夜、うちの庭から聞き慣れない獣の声がずっとするので、YouTubeで調べたら、熊。

朝起きて、我が家の柿の木見たら、柿がめっちゃ食べられてて、木に熊の爪痕と食べた残骸が。

今年は夏の猛暑で木の実も少なく、近隣で広大な山が禿山になったので、自分の食べる分だけ収穫して、残りは動物に置いていました。

昨年も、すぐそばのうちの畑で目撃情報もあったので、まぁ近くにいるだろうなと思いながら、いつも農作業しています。

先日も、作業中に、まぁまぁ、大きい動物がガサガサしていて、熊か、猪かなぁと話していたところでした。

市は、不要不急以外は山に近づかないように、注意するようにと、告知するけど、この地に住み、仕事をする私たちには、どうすることもできません。

ここにいるよ、という気配を互いに出し合い、一定の距離を保っています。

毎年、きのこ狩りに行けば、爪痕など、クマの気配はずっとあったし、近畿圏では珍しく、山林のうち90%近く天然林が残り、餌が豊富な茨木は、熊の縄張りであることは、地元なら誰もが知っていたこと。

我が家は、熊が出没する大きな要因になっている「彩都東」地区の地権者の1人でもあったので、動物との境界が、地元にもたらす影響を散々主張し、反対してきました。

私たちが農家になったきっかけは、高速道路の開発工事でした。

行き場を失い、縄張りから出た動物の獣害被害や、環境変化による水の変化など、開発に、反対していた地元への影響は、非常に大きかったけれど、100%開発の影響だと証明できないから、と、行政もNEXCOも、何の補償をすることなく、地元は泣き寝入りでした。

この経験から、憤りよりも、「行政は何かあれば簡単にハシゴを外すこと。」「この国では、大多数の小さな利益のためなら、マイノリティの意見など簡単に無視されること。」を痛感しました。

激動の時代に備えて、行政に期待しても、大変な目に合うという危機感が、食やエネルギーなどのライフラインを地給地足していくきっかけになっています。

結局、地元への補償と動物との境界をどのように作るのか、対策をするつもりなのか、何も回答はなく、我が家は開発区域の端っこだったので、開発エリアから外され、広大な山が削られました。

ちなみに、開発予定地区として、市街化調整区域からは外され、長らく休耕地になっていた山林と農地は、高い固定資産税を毎年請求されています。

市の担当者が、持続可能なまちづくりを市民のためにしていくのだと開発を先導し、暮らしが何ひとつ変わらない人が決め、利益を得る人がいる一方で、地元の小学校には熊が現れ、自然豊かな地にいながら、こどもたちは運動場での活動を制限され、自宅の庭で自由に遊ぶこともできなくなりました。

今年の大豆は、電気柵の隙間から入ってくる、ウサギに全部食べられ、これまで全く被害のなかった畑にも、鹿や猪がやってくるので、電気柵の費用負担も大きく、農業経営にも多大な影響が出ています。

これまで世界中で同じことが起こっているので、開発を進めた人たちは、こうなることを分かっていて、見ないふり、知らないふりで、進めています。

こどもたちは、「すべての生き物から、いろんなものを奪うのに、なぜ人が、山を破壊することを決められるの?」と私に問います。

それぞれの正義があり、信じるものがあることも理解できるし、私が何を主張しても、何も変わらないこともわかっています。

もちろん私たちも、現代の便利さの享受を受けている一員である以上、不自由や危険も甘んじて受け入れるつもりです。

ただ、私の友達には、「簡単に、悪気なく、突然、暮らしは変わる。」ことを、伝えたいです。

生きていくために必要な、食べること、エネルギーについては、真剣に考え、備えておくことを強く勧めます。

これだけの人口の食を、石油資源なしで支えることは現状では不可能で、(もちろん、いろんなチャレンジはするけど)人がめっちゃ減らない限り、資源は限られていて、気候変動もますます激しくなり、特に日本は労働人口も減るので、今後ますます、私たちの暮らしには、制限が生まれるはずです。

気候変動は永遠に続く災害で、SDGsをもてはやし、環境保全だなんだと、お花畑で意識高めているステージではなく、ひとりひとりが、どうサバイバルするか、真剣に向き合う時が来ていると感じています。

その①はこちら
「クマ被害」①~子ども・若者が畑で見つけた答え~

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