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学術論文・レポート作成に特化した「AIアプリ」を使おう!

あまりに知名度が低いため過去のnoteと似たような話になりますが、僕をご存知の方はどうぞご理解ください。

さて、依然としてChatGPTを仕事や学業に使っている方が多いようですが、ChatGPT(GPT-4o)に限らず、Claude 3.5 Sonnetでも、Gemini 1.5 Proでも生成AIの標準モデルというのは、汎用性を重視して一般向けに調整された「普通のチャットボット」です。専門的なタスクには向いていません。

ユーザーが与える指示や情報をどう解釈して、どう考え、どういう応答をするのかをAIが選択するためには、あらゆる判断基準が必要になります。僕ら人間も同じですが「何を意識するか」で作成する文章が大きく変わります。皆さんも目的や状況、相手に応じて多種多様なメッセージや文章を書くはずです。

皆さんがプロンプトエンジニアリングを深く学び、AIの特性や専門性を強化する様々な設定を組み合わせて数十、数百行のプロンプトを書くのであれば、ICL(コンテキスト内学習)によってChatGPTに高度な文章を書かせることも可能でしょう。

しかし、そういった工夫をせずに簡単な指示だけで標準のChatGPTを漫然と使い、AIの性能を誤解して不満をこぼしている方を多く目にします。一行二行のプロンプトでも出力は変わりますが、それはプロンプトエンジニアリングにおいて初歩的なテクニックに過ぎません。

当然、プロンプトを工夫することでChatGPTの出力を変えることはできます。それで十分であれば問題ありません。しかし、タスクに合わせてAIの性能を最大限引き出すためには、複雑な論理構造を持ったプログラムのようなプロンプトを設定しなくてはなりません。

例えば、タスクの詳細、前提、条件、構成、出力形式、その他必要な多くの判断基準を設定することで、AIは目的に適したより多様で高度な応答が可能になります。

もちろん、こんな作業をユーザーに求めている訳ではありません。スマホのアプリと同じように、プログラムはエンジニアが書けばいいのです。「目的によって色んなアプリを選んで使う」というのは、AIにおいても同じです。

実際に、標準のChatGPTと専門的に調整されたカスタムGPTがどのように違うのかをお見せします。以下は「GPTs」というChatGPTをカスタマイズできる機能を使って設計された「Sherlock Report」という、学術論文やレポートの作成に特化したAIアプリです。


メッセージ:ICL(コンテキスト内学習)について詳細に説明した高度なレポートを作成してください。


ChatGPT 4o

ICL(コンテキスト内学習、In-Context Learning)は、機械学習、特に自然言語処理(NLP)の分野で注目されている手法です。このアプローチは、モデルが大量のデータをトレーニングすることなく、与えられた例やコンテキストから直接学習する能力に焦点を当てています。ICLの応用は特に大規模言語モデル、例えばOpenAIのGPTシリーズに見ることができます。

1. コンテキスト内学習(ICL)の定義

コンテキスト内学習とは、モデルが特定のタスクを実行するために、事前学習した知識と、そのタスクを解決するための具体的な例や指示(コンテキスト)を用いるプロセスです。この手法は、事前に大量のデータでトレーニングされたモデルが、新しいタスクやデータに適応する能力を高めることを目的としています。

2. コンテキスト内学習のメカニズム

コンテキスト内学習の核心は、モデルがコンテキストから直接パターンを抽出し、それを応用して未知のデータやタスクに対処することです。この学習過程には以下のステップが含まれます:

  • コンテキストの解析:モデルは提供されたコンテキスト(テキスト、指示など)を解析し、関連する情報を抽出します。

  • 知識の統合:抽出された情報は、モデルの既存の知識と組み合わされ、新たなタスクの解決策を形成します。

  • 応用:統合された知識を使用して、具体的な問題を解決します。

3. コンテキスト内学習の利点

  • 柔軟性:新しいタスクや変化する環境に対して高い適応性を持ちます。

  • データ効率:少ないデータで効果的に学習できるため、データの制約が大きい状況でも有効です。

  • 即時性:新しい情報を迅速に統合し、その場で学習が可能です。

4. 応用例

コンテキスト内学習は、次のような分野で応用されています:

  • 言語モデル:GPT-3などのモデルが、特定のプロンプトに基づいて自然言語のタスクを解決します。

  • ロボティクス:新しい環境やタスクに適応するためのロボットのトレーニングに使用されます。

  • 画像認識:新しいカテゴリの画像を少ないサンプルから識別する学習が行われます。

5. 課題と限界

ICLは多くの利点を持ちますが、以下のような課題も存在します:

  • 一般化の困難:特定のコンテキストに過度に依存すると、一般化能力が低下する可能性があります。

  • エラーの複製:誤ったコンテキストが与えられた場合、モデルは不正確な結果を生み出すリスクがあります。

  • 計算コスト:大規模なモデルは計算資源を大量に消費するため、運用コストが高くなります。

6. 今後の展望

コンテキスト内学習の研究と開発は進行中で、モデルの一般化能力の向上や計算効率の改善が主な焦点となっています。これにより、AIのさらなる応用範囲の拡大が期待されています。

このレポートは、ICLの基本的な概念、メカニズム、利点、応用例、課題、そして今後の展望を網羅的に解説しています。さらに詳細な研究やデータが必要な場合は、具体的な学術論文やケーススタディにアクセスすることをお勧めします。


Sherlock Report

コンテキスト内学習 (ICL) の詳細レポート

はじめに

コンテキスト内学習 (In-Context Learning, ICL) は、近年の自然言語処理 (NLP) の進展において重要な役割を果たしている概念です。ICL は、大規模言語モデル (LLMs) が提供する柔軟かつ強力な手法の一つであり、事前学習されたモデルが特定のタスクに対して再訓練や追加のファインチューニングを必要とせず、直接タスクを学習し遂行できることを示しています。本レポートでは、ICLの基本原理、動作メカニズム、応用例、および将来の展望について詳述します。

基本原理

ICL は、事前に大規模データセットで訓練された言語モデルが、入力されたコンテキスト内の情報を利用して新しいタスクを学習する方法を指します。具体的には、ユーザーが提供する一連の例や説明をコンテキストとして使用し、モデルがその情報を元にタスクを実行します。この手法の利点は、追加のパラメータ調整やデータセットの作成を必要とせず、既存のモデルの能力を最大限に活用できる点にあります。

動作メカニズム

ICL の動作メカニズムは、以下のステップに基づいています:

  1. コンテキスト提供
    ユーザーは、特定のタスクに関連する例や説明を入力します。これらのコンテキスト情報は、タスクのパターンや要求を示すために使用されます。

  2. コンテキスト処理
    モデルは、提供されたコンテキストを解析し、タスクのルールやパターンを理解します。このプロセスでは、モデルの内部表現がコンテキストに適応します。

  3. タスク実行
    モデルは、解析されたコンテキストを基にタスクを実行します。例えば、文章生成、質問応答、分類など、与えられたタスクに対応した出力を生成します。

応用例

ICL は、以下のようなさまざまな分野で応用されています:

  1. 対話システム
    カスタマーサポートやチャットボットにおいて、ユーザーの質問に対して迅速かつ的確な回答を提供します。

  2. 翻訳
    多言語間の翻訳において、コンテキストを理解した上で正確な翻訳を行います。

  3. 文章生成
    創造的な文章生成やコンテンツ作成において、ユーザーの要求に応じた文章を生成します。

メリットと課題

メリット

  1. 柔軟性
    ICL は、さまざまなタスクに迅速に適応できる柔軟性を持ちます。

  2. 効率性
    再訓練や追加のデータセット作成を必要とせず、既存のモデルをそのまま活用できます。

課題

  1. コンテキストの質
    提供されるコンテキストの質が低い場合、モデルのパフォーマンスが低下する可能性があります。

  2. スケーラビリティ
    非常に大規模なタスクやデータセットに対しては、ICL の適用が難しい場合があります。

将来の展望

ICL の将来の展望は明るく、以下のような進展が期待されます:

  1. モデルの改良
    より高度なICLモデルの開発により、複雑なタスクへの対応が可能となります。

  2. マルチモーダル学習
    テキストだけでなく、画像や音声などのマルチモーダルデータを扱う能力の向上が期待されます。

  3. 応用分野の拡大
    医療、法律、教育など、専門分野での応用が広がり、実用的なソリューションが増えるでしょう。

結論

コンテキスト内学習 (ICL) は、大規模言語モデルの可能性を最大限に引き出すための革新的な手法です。ICL により、再訓練や追加のデータセットを必要とせずに、さまざまなタスクに迅速かつ柔軟に対応できます。今後の研究と技術の進展により、ICL の応用範囲はさらに広がり、より高度なタスクへの対応が可能となるでしょう。


どちらも説明不足が否めませんが、短いプロンプトによる簡易的な比較ですのでご容赦ください。「1万文字のレポート」などの指定をすれば、長文を生成させることができます。

そして、短いながらも言葉づかいや視点、論点、文章構成に違いが表れています。Sherlock Reportはファインチューニングに言及していますが、ChatGPTはしていません。「例えばOpenAIのGPTシリーズに」は蛇足です。レポートのテンプレートとしても、Sherlock Reportの構成の方が適しています。

単純に文字数だけを比較すると、ChatGPTが1377文字、Sherlock Reportが1682文字です。与えられる指示や指定、情報、生成する文章の長さによって、これらの違いはさらに大きくなります。

このように、システムプロンプトの違いによって多様で複雑な違いが生まれます。会話を重ねたり、様々なタスクを任せる中でその違いを強く実感して頂けると思います。ちなみに、Sherlock Reportに設定されているシステムプロンプトの文字数は6144文字です。性格や自己認識、思想、判断基準、推理手法や思考法、ハルシネーション抑制、その他様々なプロンプトが書き込まれています。

サンプルとして、ちょっと雑ですがSherlock Reportに適当に論文っぽい文章をでっち上げてもらいました。ChatGPTはまだ日本語PDFが生成できないので、その作業はこちらで行ったのと、英語論文の形式だったので少し手直ししてあります。

使い方としては、まずレポートのテーマや論点などをSherlock Reportに伝えて、論文全体の設計を組み立てます。上手い設計を作るための打ち合わせをSherlock Reportと行って下さい。その後、論文作成を指示して、生成された文章を元に整理や追加を行って完成させて下さい。

今回ご紹介した「Sherlock Report」はあくまで一例です。他にも多種多様なAIアプリがリリースされていますので、ぜひ上手に使い分けてください。ChatGPT(GPT-4o)をベースとしたGPTsなら無料でご利用頂けます。

今回ご紹介した「Sherlock Report」のリンクはこちら。

GMOが運営する「教えてAI」では、無料で使えるAIアプリが多数紹介されていますので、ぜひご活用ください。

AIはこれからも急速に進歩していきますが、一つひとつの判断に基準が必要であることは変わりません。そして、必要とする基準をすべて想定し、言語化するのは簡単ではありません。そのため、AIの普及と性能・汎用性の向上によって、目的やタクスに適したカスタムモデルの必要性は高まると考えられます。

ChatGPTなどの標準モデルの特性や限界はあくまで設定によるものです。高度なプロンプトエンジニアリングによって、ChatGPTが苦手だと思われている多くのタスクに最適化することが可能です。

ぜひ多くの個性的なカスタムGPT(GPTs)を知り、用途に合わせて有効活用して頂きたいと願っております。

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