マハーバーラタ/6-5.バガヴァッドギーター③~カルマ~

6-5.バガヴァッドギーター③~カルマ~

アルジュナは言った。
「行いを統括する神ジャナールダナ(クリシュナ)よ。知識が行いよりも優れているというのであれば、なぜ私に恐ろしい行いをさせようとするのですか? ケーシャヴァ(クリシュナ)よ。

まるで矛盾しているかのように聞こえる言葉で、私の考えを混乱させているかのように思えるのです。自由を得る為にはどちらがよいのか、一つに決めて教えてください」

シュリーバガヴァーン(クリシュナ)は言った。
「おお、罪の無い者よ。この宇宙の始まりの時に私によって語られたことなのだが、この世界には二つの専心するライフスタイルがある。サーンキャ(隠退者)の為のジニャーナヨーガと、ヨーギー(行いを追求する者)の為のカルマヨーガの二つである。

カルマ(行い)をしないことによってナイシュカルミャ(行いのない状態)を得るのではない。単なるサンニャーサ(隠退した生活)によって自由という成功を達成するのでもない。

実際、一瞬でさえカルマをせずにいられる人など誰もいない。なぜならプラクルティ(源)から生まれたトリグナ(三つの質)によって私達は行いをさせられているのだから。

たとえ行動器官を制御して座っていたとしても、考えが感覚の対象を忘れられない人は惑わされていて、間違った振る舞いをする人だと言われる。

アルジュナよ。一方で、考えをもって感覚器官を制御しながら、執着を手放し、行動器官を使ってカルマヨーガをする人ははるかに優れている。

すべきカルマ(行い)をしなさい。カルマはアカルマ(何もしないこと)よりも優れている。アカルマは自分の体ですら維持できないのだ。

ヤジニャの目的(イーシュワラに捧げること)の行いから外れた者はカルマによって束縛される。クンティーの息子(アルジュナ)よ。それゆえ、執着から離れて、その目的で行いをしなさい。

宇宙の始まりの時にプラジャーパティ(創造神)はヤジニャと共に人間を生み出し、『このヤジニャによってあなた達が繁栄しますように、このヤジニャがあなた達のカーマドゥク(望みを叶える牛)となりますように』と言った。

このヤジニャによって神々を有らしめなさい。その神々があなた達を有らしめますように。互いに有らしめあい、あなた達が最も価値のあるもの(モークシャ)を得ますように。

ヤジニャによって有らしめられた神々はあなた達に望みの物を与えてくれる。ですから、彼らに捧げることをせずに、与えられた物を楽しむ者はまさに泥棒なのだ。

先に神に食事を捧げてから食べる人は不純から解放される。一方で、自分の為だけに料理する人は罪深く、パーパ(罪)を食べる。

ここから先は

2,303字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?