マハーバーラタ/6-21.終わりの始まり

6-21.終わりの始まり

(両軍の主な登場人物はこちら

戦いの火ぶたが切って落とされた。

最初に動いたのはカウラヴァ軍。
総司令官ビーシュマを先頭にしてドゥルヨーダナの弟ドゥッシャーサナが前進した。

続いてパーンダヴァ軍も動き始めた。
総司令官ドゥリシュタデュムナの指揮の下、全軍が一斉に前進した。

その光景は恐ろしく、耳をつんざくような騒音が両軍から鳴り響いた。
その中でも一際大きな音を発していたのは、まるでライオンが野に放たれたかのように興奮したビーマの咆哮であった。
ビーマは雄たけびを上げながらドゥルヨーダナに向かって突進した。

それを見たドゥルヨーダナの12人の弟達が守りを固め、ビーマに向かって矢のシャワーを浴びせた。突進してくるビーマの怒りから必死に軍を守っていた。

大勢で一斉にビーマを攻撃しているのを見て、ドラウパディーの息子達、アビマンニュナクラサハデーヴァ、そしてドゥリシュタデュムナが自らビーマに加勢した。
この二つの軍の戦いは激しく、まるで二つの森が嵐に包まれているかのようであった。

太陽が天頂に達してもその戦いの激しさは衰えることはなかった。

ビーシュマが前進していくと、アルジュナに遭遇した。
アルジュナの弓は一瞬たりとも休むことはなく、その弓から放たれる矢は雨が落ちるよりも速かった。

パーンダヴァ軍のサーテャキは同じヴリシニ一族のクリタヴァルマーと戦い始めた。

アルジュナの息子アビマンニュはコーサラ王ブリハドバラと対戦した。
ブリハドバラは鋭い矢を放ってアビマンニュの旗を切り裂いた。
激怒したアビマンニュとの戦いは互角であった。

ビーマは宿敵ドゥルヨーダナと戦い、お互いに矢の雨を降らせていた。

ドゥッシャーサナはナクラと一騎打ちを始めた。

ドゥルヨーダナの弟ドゥルムカがサハデーヴァに挑んだ。

カウラヴァ軍として戦うことになったマドラ王シャルヤは自らの甥にあたるユディシュティラと戦っていた。

パーンダヴァ軍の総司令官ドゥリシュタデュムナは自らの師ドローナに挑んだ。

戦いは長く続き、既に夕方となっていた。

ビーシュマは敵軍深くまで突っ込んで戦っていた。
パーンダヴァ軍は多くの戦死者を出していた。

ドゥルヨーダナは無鉄砲に敵軍に突っ込んでいくその老人を守るべく5人の英雄、ドゥルムカ、クリタヴァルマー、クリパ、シャルヤ、ヴィヴィンサティを送った。

老人ビーシュマの戦いぶりはまるでダンスを踊るかの如く、素早く機敏で、彼の戦闘馬車が通り過ぎた後には濃い土煙が立ち上がっていた。
戦闘馬車の中から止めどなく矢を降らせるその立ち姿に、人々は見入ってしまっていた。

彼に向かって突進したのはアビマンニュであった。
一人ビーシュマに向かって進み、ビーシュマを守る戦士達と戦った。彼の放つ矢は言葉よりも鋭かった。
シャルヤ、クリタヴァルマー、そしてビーシュマにまで数本の矢を当てることに成功した。

カウラヴァ軍の戦士たちはその若者の素晴らしい武勇に驚いた。
アビマンニュの勢いは止まることなく、ビーシュマの旗を切り裂いた。まるで怒り狂う神のように恐ろしい姿であった。

単騎で突入したアビマンニュを支援する為に援軍がやってきた。
ヴィラータと彼の息子シュヴェータとウッタラクマーラ、ドゥリシュタデュムナ、ビーマ、勇敢なケーカヤ兄弟、サーテャキといった英雄達であった。

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