マハーバーラタ/5-15.クリシュナのヴィシュヴァルーパ

5-15.クリシュナのヴィシュヴァルーパ

ドゥルヨーダナは集会場を出て、ラーデーヤとシャクニ、ドゥッシャーサナを呼び集めた。
「今度は母を連れてきたんだ。
何度も長い話を聞かせられるのでもううんざりだ。これ以上言葉は聞きたくない」

ドゥッシャーサナが言った。
「今度はここにいる私達四人を縛り上げてユディシュティラの元へ引き渡そうとするだろうな。誰かが提案したことを父は止められないだろう」

ドゥルヨーダナはいらいらした様子でため息をついた。
ドゥルヨーダナが言った。
「クリシュナは私達を縛り上げるよう助言するだろう。
そうなる前に私達が先にクリシュナに同じことをするんだ。
ずっとそうすることを考えてきた。
あの虎を縛り上げたことをパーンダヴァ達に伝えれば、きっと彼らの心は折れるだろう。毒牙を抜かれた蛇のようなものだ。
そうなれば戦争なんてしようとは思わないさ。
さあ、急ごう」

そのような事態に備えてサーテャキがこの場に同行していた。
彼はドゥルヨーダナ達の計画を推測していた。
クリタヴァルマーの所へ行った。
「あなたの友人はクリシュナを捕えようとしている。
急がなければ。
あなたは軍隊を集めてくれ。
私は集会場へ行って先にクリシュナに彼らの計画を伝える」

サーテャキは集会場へ駆け込み、話し始めた。
「ドゥリタラーシュトラ王よ。
あなたの息子の狂気を見てください。愚かにもクリシュナを捕えようとしている。
まるでシルクの布切れで火を受け取ろうとするようなものだ。
そんなことを考えるのは愚か者か狂人のどちらかだ」

ヴィドゥラは彼の話を聞いてぞっとした。
そしてこれから起こる甥ドゥルヨーダナと兄ドゥリタラーシュトラの不幸を嘆き始めた。
クリシュナは微笑んで彼をなだめた。
「大丈夫です。恐れる必要はありません。
私を捕えるなんてそんな簡単ではありませんよ。
彼は罪に満ちたあらゆることをしてきたが、もうこれが最後の行いです。
待って何が起きるか見てみましょう」

ドゥリタラーシュトラは焦り、息子を呼び出した。
「息子よ。そこまで落ちぶれているとは思っていなかった。
この地上で最も偉大なクリシュナを捕えようというのか?
そんなこと神々でさえできない。あなたは狂っている。
月を手で掴もうとする子供よりも愚かだ。
そよ風を両手でつかむ方が簡単だ。
太陽を素手でつかむ方が簡単だ。
大地の重さを支える方が簡単だ。
あの偉大な人を捕らえるなんて考えるのは止めるんだ」

クリシュナはドゥルヨーダナに向かって微笑んだ。
「残念だ。この私を捕らえようとは、まさに愚かだ」

クリシュナがそう話している時、集会場は人で満たされていった。
「見よ。パーンダヴァ、アンダカ、ヴリシニ、12人の太陽、11人のルッドラ、8人のヴァスーがここにいる。彼らが見えるかい?」
クリシュナが大きな声で笑った。
顔からまばゆい輝きが放たれ始めた。
体全体が輝いた。

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